新型ウイルス クルーズ船 乗客の下船始まる 約500人が下船へ

新型ウイルス クルーズ船 乗客の下船始まる 約500人が下船へ
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新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船で、ウイルス検査で陰性と確認され症状がみられなかった乗客の下船が19日から始まりました。厚生労働省によりますと、19日の下船は午後4時すぎに終わったということです。
これまでに542人の感染が確認された横浜港に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内には、17日正午の時点で3100人の乗員と乗客が残っています。

厚生労働省は全員にウイルス検査を実施し、このうち結果が陰性で14日間の健康観察期間内に症状がみられなかった乗客の下船を、19日午前から始めました。

船を下りた乗客の中には、大きな荷物を持った夫婦や家族連れとみられる人たちもいて、船に残っている人たちに手を振っていました。

ふ頭の駐車場に待機していた10台以上のバスは順次出発し、10人近くを乗せた1台目のバスは、横浜駅近くのバス停留所に午前11時40分ごろ到着しました。マスクを着用した人が多く、バスから荷物をおろしたあと、スーツケースを引きながら自宅などに向かいました。

厚生労働省は下船した人たちについて、自宅などで通常の生活を送ってもらい、数日間は健康状態を電話で確認することにしています。

厚生労働省によりますと、19日の下船は午後4時すぎに終わりました。
19日一日で、およそ500人が船を下りる予定で、厚生労働省は実際に下船した人数について確認を進めています。

乗客の下船は、21日ごろまでには終える予定です。

ただし、感染が確認された人と同じ部屋にいた場合は、検査結果が陰性でも感染した人が部屋を離れてから14日間は船内に残り、健康状態に問題がなければ下船してもらうことにしています。

一方、乗員については、乗客の下船を優先して進めたあとで、クルーズ船の運航会社と協議し、希望者を下船させるなどの対応を検討するということです。

下船した乗客は…

結婚40年の記念に妻とクルーズ船に乗船したという神奈川県の71歳の男性は「客室内のテレビのニュースで陽性の人が次々に増えていくのを見て、自分たちも早く検査の結果を知りたいと思っていました。きのう正式に陰性だと知らされたときはほっとしました。客室内ではテレビを見ながらラジオ体操などをして過ごしていましたが、14日間は長かったです。家に帰ってお茶漬けなどを食べてゆっくりしたいです」と話していました。

クルーズ船から降りて神奈川県内の自宅に帰るという乗客の70代の女性は「きのうの夜、陰性だとわかりました。陰性だとは思っていましたが、感染してみんなにうつしてはいけないと思って、指示があるまで船室にずっといました。思いがけないクルーズになってびっくりしました。家に帰ったらおすしやラーメンを食べたいです」と話していました。

妻と2人でクルーズ船に乗船していたという千葉県の62歳の男性は「検査を受けたあと、結果が出るまでの間、もし陽性反応がでたらどうしようと、不安の日々を過ごしていた。結果的に陰性となりほっとしたが、疲労がたまっているのでゆっくり寝たいです。孫たちに会いたいですが、すぐに会うわけにもいかないと思い、複雑な気持ちです」と話していました。

また、船内での生活について「持病の薬などは事前に陸にいる娘に必要なものを知らせておいたので、スムーズに配達してもらえました。窓がなく太陽の光が入らない部屋だったので、気分的に落ち込むことが多く、精神的に苦労しました」と話していました。

“独房に入れられたような感じ”

クルーズ船から19日夫婦で下船した京都市の74歳の男性はNHKの取材に対し「突然、独房に入れられたような感じでした。夫婦で下船できてよかったです」と話しました。

19日下船した京都市上京区の岡村吉雄さん(74)は先月20日、横浜からクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船しました。

その後、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、そして沖縄を訪れ、観光などを楽しんだということです。しかし、先月25日に香港でクルーズ船から下りた男性が新型コロナウイルスに感染していることがわかり、状況が一変したといいます。

船の8階の窓がある16平方メートルのツインの部屋に宿泊していた岡村さん夫妻は、情報が少ない中で、部屋に洗濯物や湿らせたタオルを干すなどして湿度を保ち、感染防止に努めたということです。

岡村さん夫妻は検査で陰性でしたが、船内では感染が拡大していったということです。また、船内では、乗客の感染がわかったあとも部屋の外に出られる時間が設けられていて、感染を広げないために、ほかの人と会話する際には2メートル以上離れるよう指示がありましたが、当初、多くの乗客がより近い距離で会話していたということです。

また、岡村さんは糖尿病の治療のためのインスリンや注射器が足りなくなり、同じ注射器の針を何度も使わざるをえなかったということで「このころがいちばん気分が落ち込みました。旅行日数分しか薬を持ってきていないので、みんな大変だったと思います」と話していました。

19日の下船については「無事に船から出ることができてよかったです。前半は、クルーズを楽しんでいましたが、突然、独房に入れられたような感じでした。夫婦で下船できたのがよかったです」と涙ぐみながら話していました。

豪州など航空機派遣へ

菅官房長官は午前の記者会見で、「きょう未明、早期の下船を希望する韓国人などの乗客3人と乗員4人が韓国のチャーター機を利用して出国した。オーストラリアもすでに自国チャーター機で自国民を帰国させる意向を固め、航空機の運航日程について最終調整中との報告を受けている」と述べました。

このほか、現時点で、カナダ、イタリア、イスラエル、イギリス、香港、台湾が帰国のための航空機を派遣する意向を示していることも明らかにしました。

加藤厚生労働相「下船後隔離必要なし」

加藤厚生労働大臣は、衆議院予算委員会で、下船した乗客の隔離の必要性を指摘され「国立感染症研究所からは、14日間しっかり管理され、検査が陰性で、最終的に健康確認されていれば公共交通機関を使ってもいいという示唆があり、最終的に判断した。懸念もあるので、乗客の皆さんには健康カードを渡して、何か生じれば直通で話をいただく。また地域においてフォローアップもしっかりやらせていただく」と述べ、隔離は必要ないという認識を示しました。

また、加藤大臣は、船内での対応について「発症してから感染までの期間を考えると、船が横浜港に入港する前に感染したと思われる。私どもは民間の力を借りながら多くの医師や自衛隊など総勢300人で最大限の対応をした。残念ながら感染者は出ているが、重症化を防ぐために病院への搬送など適切な対応をできるかぎりしている」と述べました。

立民 逢坂政調会長「政府は十分なサポートを」

立憲民主党の逢坂政調会長は、記者団に対し「下船できてよかったという声がある一方、通常の生活に入ることに不安を感じている人もいるようだ。政府には、十分なサポートをしてほしいし、国民の不安を払拭(ふっしょく)できるよう最大限の対応をしてほしい」と述べました。