クルーズ船調査の責任者「船内に待機措置は適切」

クルーズ船調査の責任者「船内に待機措置は適切」
新型コロナウイルスへの感染の報告が相次ぐなか、横浜港に停泊するクルーズ船内で調査を行った専門家がNHKの取材に応じ、乗員や乗客を船内で待機させたことは国内での感染を抑えるうえで適切な対応だったという見解を示しました。その一方、船内での感染を防ぐ対策では不十分な点があったと指摘しています。
岩手医科大学の櫻井滋教授は、今月11日から2日間、日本環境感染学会の調査チームの責任者として横浜港に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で調査を行い、感染予防対策の指導に当たりました。

NHKはマスクを着用して2メートル以上離れるなど、感染対策をとったうえで櫻井教授のインタビューを行いました。

この中で櫻井教授は、3700人余りの乗客と乗員をクルーズ船内に留め置いたことについて「大勢の人を収容できる巨大な検疫所が陸上にない以上適切な方法だった」と述べ、国内での感染を抑えるうえで適切な対応だったという見解を示しました。

一方で、船内で集団感染が起きたことについて、櫻井教授は船内での感染予防の対策には不十分な点があったと指摘しています。その1つが、乗員が「N95」と呼ばれる機密性の高いマスクを着けていたことで、櫻井教授は「15分もすると息苦しくなってずらしたり緩めてしまっていた。その際に、顔の周辺を手で触ってしまい、ウイルスの感染が広がった可能性がある」としています。

また、手や指の消毒の方法についても「乗員のマニュアルでは、水道水で手を洗ってからアルコールを塗って消毒していたが、手に水が残っていると消毒の効果が薄められる」として問題があったと指摘しました。

そのうえで、櫻井教授は、一般の家庭でも参考にしてほしいこととして、帰宅時や食事の前後などに頻繁に手を洗うことや、ドアノブや水道の蛇口など手で触れやすい場所をペーパータオルなどで定期的に拭くことの重要性を強調しました。