新型ウイルス 電話相談に外国人からの問い合わせ急増

新型ウイルス 電話相談に外国人からの問い合わせ急増
新型コロナウイルスの感染の報告が相次ぐ中、日本政府観光局が設置する観光情報などの電話相談窓口に、国内外の外国人などから、新型コロナウイルスに関する問い合わせが急増していることがわかりました。専門家は「相談窓口や医療現場での多言語対応の強化は、感染拡大防止のために重要だ」と指摘しています。
日本政府観光局が設置する「Japan Visitor Hotline」は、海外からの観光客向けに英語や中国語、韓国語の3つの言語で24時間対応する電話相談窓口です。ふだんは観光情報や急病などへの問い合わせに対応していますが、今月はじめごろから、観光客だけでなく国内在住の外国人などや海外からも、新型コロナウイルスに関する問い合わせが急増しているということです。

問い合わせの数は、先月上旬から中旬にかけては、1日当たり観光に関する問い合わせが3件ほどでしたが、今月3日には、新型コロナウイルス関連の問い合わせが73件寄せられ、16日までに合わせて732件にのぼっています。

このため、日本政府観光局が業務を委託している新宿区にある民間の通訳センターでは、中国語の通訳の人員を増やすなど態勢を強化して対応にあたっています。

具体的な内容としては、中国人観光客からの相談で、来日後に9歳の子どもが発熱し新型コロナのおそれもあるので助けてほしいとの要望があり、英語での対応が可能な病院を紹介したということです。

海外からも相談が相次いでいて、日本への旅行を予定しているイギリスの男性から、新型コロナウイルスへの感染防止対策や渡航制限の有無などについてたずねられたということです。

政府観光局の電話相談 急増

日本政府観光局が設置する電話相談窓口には、今月に入って海外からの観光客や在住者からの問い合わせが急増しています。

今月3日には、家族で日本を訪れた中国人観光客からの相談では、9歳の子どもが発熱し、新型コロナのおそれもあるので助けてほしいとの要望があり、英語での対応が可能な病院を紹介したということです。

また日本への渡航を心配する海外からの問い合わせも増加しています。

今月9日には、日本への旅行を予定しているというイギリスの男性から、新型コロナウイルスへの感染予防対策や渡航制限について尋ねる相談があり、手洗いやマスクの使用など一般的な対策とともに、その時点での渡航制限について紹介しました。

日本政府観光局が業務を委託している通訳センターの吉川健一社長は「先月終わりの時点と比べても、10倍近い問い合わせの件数になっている。中国人の通訳者を増員して24時間態勢で対応できるようにしているので、海外からの旅行者などへ正しい情報を伝え、サポートしていきたい」と話しています。

日本政府観光局の渡辺厚地域連携部長は「正確な情報で日本の安全管理の状況を伝え、安心して日本を訪れてもらえるように情報提供を務めていきたい」と話しています。

相談窓口設置も外国人対応に課題

厚生労働省は新型コロナウイルスに関する電話の相談窓口を設置しています。今月7日からは無料で通話できるフリーダイヤル化していて、1日平均でおよそ1000件の相談が寄せられていますが、基本的には日本語のみでの対応となっています。

一方、東京都をはじめとした都道府県は一般の人向けの窓口のほかに、中国 湖北省などへの滞在歴がある人などを対象とした「帰国者・接触者相談センター」の窓口も設置しています。

このうち東京都や神奈川県の窓口では、日本語が話せない外国人からの問い合わせに対しては、別の場所にある通訳センターを介してやり取りをする態勢をとっていますが、これまでに通訳を介して対応した事例はほとんどないということで、多言語対応の態勢作りや周知が課題となっています。

専門家「相談窓口などの多言語化を」

観光分野の危機管理が専門のJTB総合研究所の高松正人さんは「海外からの旅行者や在住者は自分が感染しているのではないかという不安な気持ちをもっているが、十分に情報提供がされていない現状がある。相談窓口の多言語化は必要で、日本人と全く同じ対応とはいかないまでも、正確で迅速な情報提供を行うことが重要だ。現在、世界から見ると日本は中国に次いで感染者が多く、危ない国という認識が出始めている。中長期的にみて、今後、日本に外国人が訪れなくなるのではないかと心配している」と話していました。

また感染症に詳しい水野泰孝医師は「中国からの入国に渡航制限は設けられているが、全面的に禁止されているわけでなく、今も中国からの旅行者が来日できる状況は続いている。これまでに感染源に近い人と接触した可能性は国内の日本人よりも、中国からの観光客や国内在住の中国人のほうが高いと考えることができる。相談窓口や医療現場での多言語対応の強化は、感染拡大防止のために重要で国が責任をもって進めるべきだ」と話していました。