中国 極めて異例 毎年3月5日開幕 全人代 延期の方向で検討

中国 極めて異例 毎年3月5日開幕 全人代 延期の方向で検討
中国では新型コロナウイルスの感染者の数が7万人を超えました。感染の拡大が続く中、来月5日から始まる予定の重要会議、全人代=全国人民代表大会を延期する方向で検討が始まり、新型コロナウイルスの影響は経済面から政治面に及んでいます。
中国の保健当局、国家衛生健康委員会は新型コロナウイルスによる死者の数が、16日に湖北省を中心に新たに105人増えて1770人になったと発表しました。

また、中国での感染者の数は「臨床診断」で判定された人も含めると、新たに2048人増えて合わせて7万548人となり、7万人を超えました。

こうした中、国営の新華社通信によりますと、全人代の常務委員会の幹部会議が17日に開かれ、来月5日から始まる予定の全人代の延期について、今月24日に開かれる常務委員会で審議することを決めました。

事実上、延期する方向で議論されるものとみられます。

全人代は、中国全土から3000人近くの代表が出席し、中国の向こう1年間の重要政策などを決める会議です。

1998年以降、毎年3月5日に開幕することが慣例となっていて、延期されれば極めて異例の事態で、新型コロナウイルスの影響は経済面から政治面に及んでいます。

一方、日系企業の間では停止していた工場の操業を再開する動きも出始め、トヨタ自動車とホンダ、それに日産自動車とマツダが17日から一部の工場で生産を開始しましたが、帰省先から戻ってきた従業員がまだ少ないことなどから、今後の生産の回復を懸念する声も出ています。

また、中国政府は高速道路や有料道路の料金を17日から当面、無料にし、企業活動の本格的な再開に向けて物流コストを引き下げることでサプライチェーンの回復を支援していく方針です。

全人代とは

全人代=全国人民代表大会は、中国全土から3000人近くの国民の代表が出席し、中国の向こう1年間の重要政策などを決める会議で、建国まもない1954年に初めて開かれました。

1966年から10年間続いた文化大革命の混乱期には、ほとんど開催されませんでしたが1978年以降は毎年1回、開催されています。

特に1985年以降は毎年3月に開催されていて、1998年以降は3月5日に開幕することが慣例となっています。

憲法上は、国の最高権力機関とされていて、憲法改正などの重要法案を審議するほか5年に1度、国家主席や首相が選出されることになっています。

ただ実際には、重要事項は共産党の指導部が事前に決めるため、全人代は党の決定を追認するだけで、形骸化しているという指摘も出ています。

憲法で1年に1度の開催が義務づけられていて、北京の天安門広場の西側に建つ人民大会堂で開かれ、初日に首相が施政方針演説にあたる政府活動報告を行います。

共産党最高指導部の1人、栗戦書氏を委員長とする全人代常務委員会が全人代を召集することになっているほか、開会期間以外で法案を審議する際には常務委員会が代行します。

毎年、全人代が開かれる前には、各省や市ごとに地方レベルの人民代表大会が開かれますが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、雲南省と四川省に加え、広東省広州や山東省青島など主要都市でも相次いで延期される異例の事態になっていました。