新型ウイルス 都内病院で感染患者の受け入れ準備進む

新型ウイルス 都内病院で感染患者の受け入れ準備進む
国内で初めて、新型コロナウイルスの感染者が死亡するなど、感染の確認が相次いでいる中、東京都内の病院では、今後、患者の受け入れを想定して準備が急ピッチで進められています。
東京 多摩市にある日本医科大学多摩永山病院は、国や都道府県が指定する「感染症指定医療機関」にはなっていませんが、新型コロナウイルスで多くの患者が出るなどした場合には東京都から受け入れを要請されていて、準備を進めています。

14日、病院内で行われた緊急のミーティングでは院内で感染が起こるのを防ぐため、入院患者への院内での面会を原則禁止する方針を決めたほか、品薄で追加の発注が難しくなっているアルコール消毒液などの在庫状況や配置場所を確認しました。

この病院では、感染症に対応した専用の病室に空きがないため、急きょ人の行き来が少ない病棟のいちばん奥にあるトイレ付きの個室など2床を新型コロナウイルスの患者や感染の疑いがある人の受け入れに使うことを決めたということです。

また、患者と接触する際には医師やスタッフはガウンやマスク、それにゴーグルや手袋を着用し、手洗いやアルコール消毒を徹底することにしています。

日本医科大学多摩永山病院の丸山弘感染制御部部長は「新型コロナウイルスは検査で陰性となってもその後、陽性が判明するケースもあるので、疑いがある人をどの程度、フォローするのかなど情報が少なくて困っている。診療に必要な情報を行政と医療機関が速やかに共有できる態勢を整える必要がある」と話していました。

一般医療機関でも入院可能

新型コロナウイルスによる感染症は、国の「指定感染症」となったため、感染が確認された場合、患者は国が指定する全国4か所の「特定感染症指定医療機関」と都道府県が指定する全国406か所の「第1種、第2種感染症指定医療機関」にある感染症に対応した病室に入院することになっています。

厚生労働省によりますと、感染症に対応した病室は、全国すべて合わせて1871床あるということです。

また、法律では緊急の場合などには指定医療機関以外の一般の医療機関に入院することもできるとされています。

厚生労働省が今月、各地の自治体に出した通知によりますと、一般の医療機関に入院する場合は個室が望ましいものの、診断が確定している患者どうしであれば、複数の患者が同じ病室に入院することも差し支えないとしています。

また、感染の拡大を防ぐため、ほかの病気の患者とはトイレを分けることなどを呼びかけています。

院内感染対策が重要

新型コロナウイルスでは重症化するリスクが高いとされる、持病のある人が多くいる医療機関での「院内感染」を防ぐことが重要です。

中国の湖北省・武漢にある武漢大学の病院からの報告によりますと、先月28日までにこの病院で感染が確認された患者138人のうち、41%にあたる57人が医療スタッフや別の病気で入院していた患者だったということで、院内感染だとみられるということです。

中には、1人の入院患者から10人以上のスタッフに感染したとみられるケースもあったということです。

国内でも、感染予防を専門とする学会などが院内感染を防ぐためのガイドを発表しています。

それによりますと、すべての医療機関で、医療スタッフは手指の消毒を行うほか、せきの症状がある人などを診察する際にはマスクを着用するなどの標準的な予防策を徹底する必要があるとしています。

そのうえで、感染が確認された人や疑いがある人を診療する医療機関では、一般患者と診察室や動線を分けることや病室の換気や消毒などを十分に行うこと、それに受付や警備員などの医療以外のスタッフにも感染の予防策を徹底するよう求めています。