新型ウイルス 牧場の技能実習生にも影響 不安募る北海道酪農

新型ウイルス 牧場の技能実習生にも影響 不安募る北海道酪農
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国からの技能実習生が働く北海道の牧場では実習生の帰国や新たに受け入れる実習生の入国の見通しがたたず、不安を募らせています。
幕別町忠類地区の多田篤さんの牧場では8人の中国人技能実習生が働いていて、乳牛の搾乳や子牛の世話などを担当しています。

このうち、4人はいずれも中国・湖北省の出身でことし4月に実習期間を終え帰国する予定でした。

しかし日本と中国を結ぶ航空便の運休が広がっていることや、中国国内での感染に終息の兆しが見えないことから、予定どおりに帰国できるのか不安を募らせています。
このうち韓瑞テイさん(30)は湖北省に住む夫と9歳の長男、それに両親の状況を心配し毎日、電話をかけているということです。

韓さんの家族は体調に問題はないということですが、現地では、外出をせずに自宅で過ごし続けているほか、長男の学校は休校が続いているということです。

韓さんは「家族の健康が不安です。早く家族に会いたいので4月に中国に帰りたい」と話していました。

また、この牧場では来月、湖北省から2人の技能実習生を受け入れる予定でしたが、湖北省に滞在歴のある外国人は入国拒否の対象となるため、見通しがたっていないということです。

多田さんは「関係機関と協力してなんとか帰国させてあげたい。早く事態が終息するのを願っています」と話していました。

「テイ」は女へんに亭

来日の見通したたず

JA北海道中央会によりますと、ことし4月から農作業の現場に出る中国人技能実習生は、今月から来月にかけて日本を訪れる予定になっていました。

ところが、今週、一部の農協に確認した結果、少なくとも30人ほどの中国人技能実習生について、来日できるかどうか見通しがたっていないということです。

JA北海道中央会は「現場から不安の声が上がっている。まずは情報収集を進め、どのような対策ができるかを検討したい」と話しています。

不可欠な存在に

北海道によりますと、道内の外国人技能実習生は年々、増え続け、このうち、中国人の実習生は大きな位置を占めています。

外国人技能実習生の数は、おととしには合わせて1万人余りに上り、このうち中国人は3471人と全体の35%でベトナム人に次いで2番目に多くなっています。

業種別でみると「農業」が2765人と27.6%に上っています。中でも、このところ、十勝や釧路地方など北海道東部の酪農家の受け入れが顕著に増えています。

都市圏から離れた地域の酪農家の間では人手不足が深刻になっていて、中国人の技能実習生は不可欠な存在になっているのが実態です。