チャーター機第4便で198人帰国 12人が入院

チャーター機第4便で198人帰国 12人が入院
中国の湖北省武漢での新型コロナウイルスの感染の拡大を受けて、現地から帰国する日本人などを乗せたチャーター機の第4便が7日午前、羽田空港に到着しました。厚生労働省によりますと、このうち発熱などの症状があった12人が入院したということです。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、政府は、中国の湖北省に滞在する日本人の帰国を支援するため、これまでに3便のチャーター機を派遣し、合わせて565人が帰国しています。

そのチャーター機の第4便が6日夜、羽田空港を飛び立ち、日本時間の7日午前0時すぎ、湖北省の武漢の空港に到着しました。

そして、7日午前7時40分ごろに武漢の空港を出発し、羽田空港には午前10時15分ごろに到着しました。

第4便には、帰国を希望する日本人と、今回初めて搭乗が認められた日本人の配偶者といった中国籍の人などおよそ80人の合わせて198人が乗り、厚生労働省によりますと、このうち発熱などの症状があった日本人9人と中国人3人の合わせて12人が入院したということです。

他の人は、政府が用意したバスで別の医療機関に移動して、ウイルス検査と医師の診察を受けたあと、埼玉県和光市にある「税務大学校和光校舎」に移動しました。

厚生労働省は、検査でウイルスが確認されなかった場合でも、これまでに帰国した人と同様、宿泊施設に12日と半日の間、滞在してもらうことにしています。

帰国の大学生「安どの気持ちでいっぱい」

新型コロナウイルスの感染の状況が深刻な中国・湖北省の武漢にある大学に留学している山口県の大学生2人は、政府が派遣したチャーター機の第4便に搭乗し、帰国の途につきました。2人はいずれも体調に問題はなく、NHKの電話取材に対し「不安も大きかったが安どの気持ちでいっぱいだ」と話しています。

山口県の大学から中国・武漢の大学へ留学している女子学生2人は、先月下旬から武漢から600キロ余り離れた湖北省の友人の実家を訪れていたところ、感染拡大を防ぐための厳しい移動制限で武漢に戻れなくなっていました。

日本大使館からの働きかけで滞在先の地元政府から移動が認められ、2人は6日、地元政府が手配した車で武漢の空港に到着しました。

このうち1人がチャーター機の第4便に搭乗する直前の日本時間の7日午前7時前、NHKの電話インタビューに応じました。女子学生は「体温をはかるときの手順などが張り出されていたのでそれを見て検査に臨んだ」と話していました。

学生が撮影した映像や写真からはチェックインカウンターの前で担当者が検疫の手順を説明する様子のほか、マスクやクッキーなどが配られたことがわかります。

配られた物資については日本語に加えて中国語の説明文も張り出されていて、第4便に搭乗した、中国籍の配偶者などへの配慮も見受けられます。

女子学生は「今までも2回ほど帰ることができると思ったのがダメになり、不安も大きかったが無事に帰国できると思うと安どの気持ちでいっぱいだ。お世話になった人たちにお礼を言いたい」と話していました。

菅官房長官「希望する大部分の帰国実現」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、チャーター機の第4便で帰国する国籍・地域の内訳について、日本が119人、中国が77人、台湾が2人で、年齢の内訳は、6歳以下が51人、60歳以上の高齢者が9人、それ以外が138人だと明らかにしました。

そして、菅官房長官は、「帰国後2週間は、外出を控えていただくとともに、健康状態の確認を継続的に実施するなど健康面のケアに万全を期していきたい」と述べました。

また、搭乗前の中国側の検査で発熱などの症状がある人はいなかったと報告を受けているとしたうえで、帰国後は、埼玉県和光市にある税務大学校和光校舎に滞在してもらう予定だと説明しました。

一方、菅官房長官は、「第4便の派遣によって、湖北省内に在留する邦人のうち、希望する大部分の方の帰国が実現したと思っている。現時点での帰国希望者は数名であり、帰国を希望しない方も数十名程度いると承知している。政府としては、あらゆる手段を追求して、帰国を希望するすべての人が帰国できるよう対応していきたい」と述べました。

また、チャーター機で帰国した中国籍の配偶者の費用負担について、「搭乗した外国籍の人は、日本国籍保持者と親族関係を有しており、これまで帰国している邦人への対応と差異を設けることは可能なかぎり避けるべきだ。また、単独でチャーター機に搭乗できない、日本国籍保持者に同行する外国籍の親族については、同行が必要不可欠であることから、費用負担を求めるのは必ずしも適切ではない」と述べ、政府が費用負担する考えを示しました。

茂木外相「残る希望者は数名 全員の帰国実現を」

茂木外務大臣は、記者会見で、第4便に搭乗した198人について、「中国出国時の情報では、日本人が119人、中国が77人、台湾が2人だ。日本人の配偶者や親子関係にある方について、人道的な理由も含めて中国側に説明し理解をいただき、帰国が実現した」と述べました。

そのうえで、「湖北省内の日本人で、希望する大部分の方の帰国が実現した。現地に残っている帰国希望者は数名のレベルだ。チャーター機の派遣も含め、あらゆる手段を追求し、希望者全員の帰国を実現したい」と述べました。

また、第3便で、出国に際して何らかの症状があり、搭乗が認められなかった日本人7人も、第4便には搭乗し、帰国したということです。