新型肺炎 中国本土の死者563人 武漢封鎖2週間で重要な時期に

新型肺炎 中国本土の死者563人 武漢封鎖2週間で重要な時期に
中国で新型のコロナウイルスの感染拡大が続く中、中国本土での死者は73人増えて合わせて563人となり、患者の数も2万8000人を超えました。状況が最も深刻な湖北省武漢では事実上の封鎖措置が始まって6日で2週間となり、ウイルスの潜伏期間が最長で2週間とされる中、感染拡大が収まっていくかどうか重要な時期を迎えています。
中国の国家衛生健康委員会は、新型のコロナウイルスに感染した患者の数が5日新たに3694人確認され、2万8018人になったと発表しました。

新たな患者の数が3000人を超えたのは3日連続で、そのおよそ8割が湖北省の患者となっています。

また、死亡した人も湖北省を中心に73人増え、中国本土では合わせて563人となりました。

感染拡大が最も深刻な湖北省武漢では、交通機関をすべて運休にするなど当局による事実上の封鎖措置が始まって、6日で2週間となります。湖北省では、武漢以外でもほとんどの地域でこうした封鎖措置がとられていますが、感染者や死者の増加は続いています。

その一方、湖北省以外では、新たに確認された患者の数が2日連続で減っています。ウイルスの潜伏期間は最長で2週間とされており、封鎖措置によって、感染拡大が収まっていくかどうか重要な時期を迎えています。

今後13か所の臨時病院も運用開始予定

湖北省武漢では新型コロナウイルスに感染した患者を専門に治療する病院が突貫工事で建設され、1000人の患者の受け入れが可能な「火神山病院」がすでに運用されているほか、今週中にも1600人の受け入れが可能な「雷神山病院」の運用も始まる予定です。

ただ、急増する患者に医療態勢が追いつかず、中国のメディアは2つの専門病院のほかにも武漢の会議場や体育館などを転用し、今後13か所を臨時の病院とする予定だと伝えています。

このうち、2か所が5日夜から臨時の病院として運用されていて、合わせて2400人の患者を受け入れることができるということです。

臨時の病院は症状が比較的軽い患者を対象にしているとされていますが、患者の家族からは症状の重い患者も運ばれ、十分な治療を受けることができていないと不満の声もあがっています。

患者の家族が悲痛な叫び

中国版ツイッター、ウェイボー上では、湖北省武漢の人たちが十分な治療を受けられないと、窮状を訴える声が相次いで投稿されています。

このうち医療態勢が追いついていないとして、助けを求める投稿をした30歳の女性が、NHKの電話インタビューに応じました。

この女性の57歳の父親は39度近い高熱を出し、体育館を転用した臨時の病院に隔離されているということです。

女性は「病院のベッドが足りないため重症の患者であっても、臨時の病院に入っています。しかし、臨時の病院には医療従事者がいないようで、患者にとって非常に危険です」と状況を説明しました。

そして「武漢市政府は感染したと診断された患者を、すぐに治療すると口では言っていますが、実行していません。私はウェイボー上で社会に助けを求めるしかなく、世論によって武漢市政府がみずからの政策を実行するよう願っています」と話していました。

また、この女性は父親に十分な治療を受けさせるため、上海など別の都市の病院に移したいと希望していますが、当局が武漢から出ることを制限しているため、連れて行くことができないということです。

そのうえで「娘として父親が必ず生き続けられるよう願っています。父親は臨時の病院で十分な支援を受けられずパニックになっているようでした。武漢市政府の対応を監視し、多くの患者が生き続けられるようにしてほしい」と訴えていました。