中国から帰国 発熱などの症状も検体の検査受けられず 京都

中国から帰国 発熱などの症状も検体の検査受けられず 京都
新型のコロナウイルスをめぐり、中国から帰国した人を診察した京都市の医療機関が感染の可能性があるとして市に検体の検査について相談したところ、国の基準では検査対象にあたらないとして断られていたことがわかりました。医療機関からは、「柔軟に対応してほしい」という戸惑いの声があがっています。
京都市内にある診療所では、中国の江西省や上海に2週間余り滞在し、帰国した男性が3日、39度の熱とのどの痛みなどを訴えて診察を受けました。

この診療所によりますと、男性に肺炎の症状はみられませんでしたが、インフルエンザの症状とも異なっていたことなどから、院長は、男性が新型コロナウイルスに感染している可能性があるとして、京都市に検体の検査について相談したということです。

これに対し京都市は、中国・湖北省への滞在歴がないことなどから、国の基準では検査対象にあたらないとして対応を断ったということです。厚生労働省は、検査対象の基準について、発熱やせきなどの症状があり、湖北省に渡航歴があるか、症状のある湖北省に滞在した人と濃厚接触をした人などとし、きのう、全国の自治体に通知しています。

男性はその後、熱は下がったものの、せきなどの症状が出たため、自宅で療養してもらい、経過をみているということです。診療所の院長は、「自覚症状がない患者からもコロナウイルスは検出されており、湖北省と接点がないと検査しないことに疑問を感じる。医師が検査を必要だと判断したケースには柔軟に対応してほしいし、医療機関としても、現状ではどうすればいいか分からない」と話しています。

京都市健康安全課は、検査を断っているケースもあるとしたうえで、一般論として、「検査には長い時間がかかり、国の基準以外にも検査対象を拡大してしまうと、際限がなくなり、より優先すべき疑わしい事例の検査に時間がかかるなど混乱してしまう。限られた機材と人材の中ではすべてに対応するのは難しい」とコメントしています。