新型ウイルス肺炎「正しく怖がる」助けとなる情報まとめ

新型ウイルス肺炎「正しく怖がる」助けとなる情報まとめ
中国 湖北省の武漢から広がった新型コロナウイルスの感染、中国政府からWHO=世界保健機関に最初に報告されてから1か月余り。この間、ウイルスについてさまざまなことが分かってきました。今のところ言えることは「警戒は引き続き必要だ」ということ。「ただしく怖がる」助けとなる情報をまとめました。

感染力・致死率は?

感染力は今のところ、感染した人、1人から広がるのはWHOでは1.4人から2.5人、中国の疾病予防センターが出した初期の患者の報告では2.2人としています。

今後、変わる可能性はありますが、いずれにせよ、今のところインフルエンザと同じぐらいの感染力です。

一方の致死率は、現段階では感染の中心になってきた武漢ではおよそ5%、中国本土ではおよそ2%、中国以外では1%ほどです。

感染の広がりが武漢や中国本土とそれ以外では大きくことなること、それに特に武漢では多くの患者が出たため医療機関が十分に対応しきれない状況になったことなども影響しているものとみられます。

いずれにしても致死率が10%ほどだったSARSなどと比べると、高くはないといえます。

しかし仮に致死率が低くても、分母にあたる感染者の数が多くなれば、当然、重症化する人、亡くなる人の人数は増えますので警戒は必要です。

感染をできるだけ広げない対策が引き続き必要です。

海外から治療に向けた研究報告も

感染を防いだり、症状を抑えたりするためのワクチンや、治療に向けた研究の報告も中国、アメリカ、タイなどから出ています。

ウイルスはヒトの細胞の表面にある「受容体」と呼ばれるたんぱく質に結合することで感染しますが、中国の疾病予防センターのグループは、新型コロナウイルスが17年前に流行したSARSのウイルスと同じ「受容体」に結合すると報告しました。

研究グループは、SARSのために開発が進められてきた治療薬やワクチンが使える可能性があるとしています。

またアメリカのCDC=疾病対策センターなどの研究グループは新型コロナウイルスによる肺炎になった患者に、エボラ出血熱の治療薬として開発が進められてきた抗ウイルス薬を投与したところ、翌日以降、酸素吸入の必要がなくなり、発熱も治まるなど、症状が改善したとしています。

さらにタイの保健省は中国人の患者に対し、インフルエンザの治療薬とエイズの発症を抑える薬を組み合わせて投与したところ、コロナウイルスが検出されなくなり、症状に改善が見られたと発表しています。

ただこれらの報告はまだ初期の段階で、いずれも治療方法としてはまだ確立しておらず、実際に広く患者に使えるようにするにはさらなる臨床試験が必要です。

潜伏期間にも感染広げる?

これまで感染しても症状が出ない潜伏期間について、さまざまな報告がありますが、平均5日前後、最長で10日から2週間とされています。

例えば、潜伏期間はインフルエンザの場合、2日から4日程度とされています。

これと比較すると、新型コロナウイルスは長いと言えます。

潜伏期間が長いと、検疫でも感染した人に症状が出ないまますり抜けてしまうなど、水際対策が難しくなります。

実際に感染した人がすりぬけている可能性があるものとして、医療体制を整えるべきだと指摘する専門家も多くいます。

さらに新型コロナウイルスについては、潜伏期間で症状が出ていないのに感染したと見られるケースも報告されています。

症状が出ていないのに感染を広げることはインフルエンザでも知られていることで、周りで誰もせきをしていないのにインフルエンザになったというケースもあります。

同様のことが新型コロナウイルスでも起こるとみられています。

2月4日、北海道大学の研究グループは、中国などでは患者の2人に1人が潜伏期間中の患者から感染したとみられるという研究結果を発表しました。

知らず知らずのうちに感染を広げてしまうおそれがあるということです。

注意が必要な人は?対策は?

今のところ、新型コロナウイルスに感染しても全員が肺炎になる訳ではなく、多くの人の症状は軽いとされています。

ただ重症化した人の多くは高齢者や持病のある人だったという報告があるため、一般の感染症と同様に免疫が弱くなっている人などは注意が必要です。

具体的には高血圧や糖尿病、心臓病といった持病がある人や、リウマチなどで免疫抑制剤を使っている人、高齢の人などです。

さらに妊娠中の女性はウイルスに感染しやすいため、人混みを避けるなどの注意が必要です。

また乳幼児は自分で手洗いを徹底したり、マスクをしたりするなどの予防が難しいため、やはり注意が必要です。

感染症対策の基本として、手洗いの徹底や休養をとることなどをしっかりと習慣づけることが大切です。