クルーズ船 ウイルス陽性は10人 うち乗客9人 日本国籍は3人

クルーズ船 ウイルス陽性は10人 うち乗客9人 日本国籍は3人
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新型コロナウイルスに感染していた香港の男性が乗船し、横浜港沖に停泊していたクルーズ船で、発熱の症状がある人などのウイルス検査が行われ、これまでに31人の結果が判明し、このうち10人がウイルスに感染していたことが確認されました。
10人のうち、乗客は9人で、日本国籍が3人、中国籍が3人、オーストラリア国籍が2人、アメリカ国籍が1人となっています。また、フィリピン国籍の乗務員1人も含まれているということです。
厚生労働省によりますと、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は3日夜から横浜港の大黒ふ頭の沖合に停泊し、船内で乗客と乗員全員の合わせて3700人余りの検疫が行われました。

そして、発熱やせきなどの症状があった120人と、症状がある人や香港の男性と濃厚接触した153人の合わせて273人から検体を採取して順次、ウイルス検査を実施しています。

これまでに31人分の結果が判明し、このうち乗客9人と乗員1人の合わせて10人がウイルスに感染していたことが確認されました。

クルーズ船には海上保安部の船が派遣され午前7時半ごろから感染が確認された男女10人を神奈川県内の複数の医療機関に搬送しています。

10人は、50代と60代がそれぞれ4人、70代と80代がそれぞれ1人で、いずれも症状が重い人はおらず、このうち50代の女性1人と60代の男女2人の3人の乗客は日本人だということです。

感染が確認された人のうち2人は、先月22日にクルーズ船が立ち寄った鹿児島県で、ウイルスに感染していた香港の80代の男性と、オプションのバスツアーで半日一緒に過ごしていたということです。

国内で感染が確認された人は33人となりました。

船内に残るおよそ3700人の乗客と乗員については原則として14日間、
船内にとどまり、客室などで待機してもらう方針だということです。

クルーズ船は先月20日に横浜を出発し、鹿児島を回って香港に立ち寄った際、船を下りた香港に住む80歳の乗客の男性が、新型コロナウイルスに
感染していることが確認されていました。

厚生労働省は国内では現在、流行が認められている状況ではなく、かぜやインフルエンザ対策と同様に、手洗いやせきエチケットなどの感染症対策に努めてほしいと呼びかけています。

陽性反応の10人 うち日本国籍は3人

クルーズ船の運航会社はホームページで、新型コロナウイルスの陽性反応が確認された10人について国籍などを明らかにしました。

10人のうち、乗客は9人で、
▽日本国籍が3人、
▽中国籍が3人、
▽オーストラリア国籍が2人、
▽アメリカ国籍が1人となっています。

また、フィリピン国籍の乗務員1人も含まれているということです。

運航会社「最低14日間停泊」

クルーズ船の運航会社はホームページでコメントを出し、「船は引き続き検疫下におかれ、横浜港にとどまります。厚生労働省の定めにより、検疫期間は最低14日間となります」と今後も横浜港での停泊を続けることを明らかにしたうえで、「乗務員はお客様全員が快適に過ごしてもらえるように努力します」としています。

また、横浜港で食料などの積み込みを行う前に、真水の精製など運航に必要な作業を行うとして、停泊している場所をいったん離れる可能性も示唆しています。

乗客と乗員 273人から検体採取

厚生労働省によりますと、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、横浜港沖に到着した際、乗客2666人、乗員1045人の合わせて3711人が乗船していました。

乗客には合わせて56の国と地域の人がいて、このうち日本人の乗客は半数近い1281人います。

乗客と乗員のうち、発熱やせきなどの症状がある120人と、症状がある人や香港の男性と濃厚接触した153人の、合わせて273人から検体を採取してウイルス検査を行っています。

このうち、香港の男性と先月22日に鹿児島でオプションのバスツアーに参加し濃厚接触した人は36人いるということです。

鹿児島でバスツアーに40人参加 2人の感染確認

今回のクルーズ船ツアー客で最初に新型コロナウイルスの感染が確認された香港の80代の男性は、先月22日船が鹿児島に立ち寄った際、現地でバスツアーに参加していました。

バスツアーには男性を含めてクルーズ船の乗客40人が参加し、午前中から半日かけて、県内の観光地を回ったということです。

その後、バスツアーの参加者のうち男性を含む4人は25日に立ち寄った香港で船を下り、残りの36人はそのままクルーズ船でベトナム、台湾、那覇を経由して横浜に向かったということです。

厚生労働省は、この36人の乗客について、香港の男性と濃厚接触があったと判断してウイルス検査を実施し、このうち2人の感染が確認されました。

また、運転手とガイドは健康観察をしているということです。

クルーズ船 16日間で香港、台湾などめぐる旅程

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、アメリカのクルーズ会社が運航している大型客船です。

先月20日に横浜を出て、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、それに那覇を16日間でめぐり、4日午前6時半に横浜港に到着する予定でした。

香港当局によりますと、このクルーズ船に乗っていた香港に住む80歳の男性が、先月25日香港で船を降りたあとに新型コロナウイルスへの感染が確認されました。

男性は乗船する前の19日からせきの症状があり、20日に横浜港からクルーズ船に乗船し、22日に鹿児島を経て25日に香港で下船したということです。

鹿児島では下船して船の乗客を対象にしたバスツアーに参加していたということです。

男性の感染確認を受け、クルーズ船は3日から横浜港の沖に停泊し乗客と乗員全員に検疫が行われ、発熱やせきなどの症状があり、感染が疑われる人などにはウイルス検査を行っています。

厚生労働省によりますと、船には当初、乗客2666人、乗員1045人の合わせて3711人が乗っていました。

5日午前9時の時点でウイルスへの感染が確認され病院に搬送された人などを除く3699人が船内に残っています。

乗客のおよそ半数、1281人が日本人で、香港や台湾など合わせて56の国と地域の人がいたということです。

運航会社によりますと、当初、同じ船で4日夕方横浜港を出発する予定だった別のクルーズについては中止したということです。

厚労相「検査の結果までに複数日」

加藤厚生労働大臣は衆議院予算委員会でクルーズ船の乗客・乗員に行っている検査について、「各地で出された分析結果を国立感染症研究所に渡し、最終的な判断を行う手続きで進めている。きょう中に全部できるかというと難しく、複数日かかる」と述べました。

また、感染の有無を迅速に調べる簡易検査キットの開発について「検査キットを作り、性能試験をするプロセスなどが必要で、それなりの時間がかかる」と述べたほか、ワクチンの開発についても、安全性の確保などが必要だとして一定期間を要するという認識を示しました。

乗客の70代男性「一刻も早く対応を」

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客の70代の男性は5日午前、NHKの電話取材に対し、「妻が使っている薬がまもなく切れるので一刻も早く対応してほしい」と話しています。

男性によりますと、5日午前8時すぎ、船内放送で10人の感染が確認されたことや原則14日間、全員、それぞれの部屋にとどまるよう案内があったということです。

男性は「きのうまでは共有スペースで卓球などをして過ごすことができたが、けさからは部屋から出られない状態です。朝食を食べようとレストランに行きましたが、『食事は部屋でとってください』と言われ、ルームサービスを待っているがまだ届いていません。船内は混乱した様子はないが、どうしようもないので部屋にいるしかありません」と話していました。

そのうえで「妻が使っている血行をよくするための漢方薬があと数日で切れるので心配です。船内は高齢者が多く、高血圧の薬などを使っている人もいると思うので、一刻も早く対応してほしい」と話していました。