イギリス EUから離脱 加盟国で初めて 貿易協定交渉は難航か

イギリス EUから離脱 加盟国で初めて 貿易協定交渉は難航か
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イギリスは半世紀近く加盟していたEU=ヨーロッパ連合から離脱し、イギリスとEUは歴史的な節目を迎えました。双方は新たな関係を築くため、ことし末までに自由貿易協定の締結を目指すことになりますが、交渉は難航も予想されます。
イギリスは31日午後11時、日本時間の1日朝8時に、前身のEC=ヨーロッパ共同体を含め47年にわたって加盟してきたEUから離脱しました。

拡大を続けてきたEUにとって加盟国が離脱したのは初めてで、加盟国は27か国になりました。

離脱を受けてジョンソン首相はツイッターで「この国の暮らしにとって極めて大きな転換点だ。団結して離脱がもたらすチャンスをいかそう」と呼びかけました。

一夜明けた1日、イギリスの主要な新聞には「EUにさよならを言った日」といった見出しが一面を飾り、市民の間からは「EUから離脱し、自分たちだけになったほうが必ず国はよくなる」という声が上がる一方で、「落ち込んでいる。この先、何が起きるかわからず心配ばかりだ」と、先行きへの懸念を示す声も出ていました。

イギリスは、離脱に伴う急激な変化を避けるために設けられた移行期間に入り、EU加盟国と同じルールが適用されるため、EUとの間で関税なしで自由にモノを取り引きできるなど、ことし末まで実質的な変化はありません。

移行期間の間、イギリスとEUは新たな関係を築くため、自由貿易協定の締結を目指すことになりますが、できるだけ有利な条件で交渉を妥結させたいイギリスに対し、EU側は容易に譲歩しない考えを示していて交渉は難航も予想されます。

「さよならEU」の大歓声

ロンドンの中心部にあるイギリス議会前の広場には、離脱の瞬間を祝おうとイギリスの国旗を持った大勢の人が集まりました。

2016年の国民投票の際、イギリス国内で離脱の世論を主導した離脱党のファラージュ党首が壇上で演説し、「もうすぐわれわれは民主的で、主権のある、独立した、誇りある国になる」などと演説すると、大きな歓声がわきおこりました。

そしてカウントダウンのあと、現地時間の午後11時、離脱の瞬間を迎えると、「さようならEU」とか「イギリスは自由だ」などのことばとともに大歓声が上がり、人々は抱き合って国歌を歌っていました。

米国務省 「英政府の決定を支持」

アメリカ国務省は31日、イギリスがEUから離脱したことについて「イギリス政府の決定を支持する。強い結び付きがある同盟国との協力を続けていく」という声明を出しました。

アメリカが離脱を支持する最大の理由は、今後のイギリスとの貿易の拡大にあります。

アメリカ第一主義を掲げて各国との貿易を大幅に見直しているトランプ政権は、中国に次いで貿易赤字が多いEUとの間で、貿易協定を結ぶことを目指していますが、EUに加盟する各国の反発などで交渉が進んでいません。

こうした中、アメリカはEUを離脱したイギリスと速やかに2国間の交渉にとりかかりたい考えで、アメリカ産の農産品の輸出拡大などの実現を目指しているとみられます。

仏マクロン大統領 「深く考えるべき歴史的な警告」

フランスのマクロン大統領は31日、テレビ演説を行い、イギリスがEU=ヨーロッパ連合から離脱することについて「EU各国が記憶にとどめ、深く考えるべき歴史的な警告だ」と述べ、EUの統合を今後も進めていくためには改革を推し進めることが重要だと訴えました。

そのうえで離脱後のイギリスとの関係について「できるだけ緊密で、安定した関係となることを望むが、これまで何十年も保ってきた関係とは同じではない」と述べました。

「EUのへそ」が南東に移動

イギリスがEU=ヨーロッパ連合から離脱することでEUの地理的な中心、いわば「EUのへそ」が南東に移ります。

新たな「へそ」となるドイツの村では記念の式典が行われます。

緯度や経度などのデータに基づくEUの地理的な中心は、現在、ドイツ南部バイエルン州のベステルングルント村にあります。

これが、イギリスがEUから離脱することで南東におよそ50キロ移動し、新たな「EUのへそ」は同じバイエルン州のガートハイム村に移ることになります。

人口およそ80人、畑が広がるガートハイム村では、イギリスが離脱する日本時間の1日午前8時にあわせて、地元の住民が参加して記念の式典が行われます。

現地にはEUの中心を示すポールや、EUの旗が掲げられていて、式典を前にした31日には、住民たちが記念撮影に訪れる様子が見られました。

ガートハイム村の代表は「村が有名になるのは喜ばしいことだが、イギリスがEUから離脱していいことは何もない」と話しています。

離脱の影響を懸念する投稿相次ぐ

イギリスがEU=ヨーロッパ連合から離脱した時刻と前後して、イギリスのツイッターにはEU離脱を意味する“#Brexit(ブレグジット)”以外に「私はヨーロッパ人」を意味する“#IamEuropean”や「今もヨーロッパ人」という意味の“#Still European”といったハッシュタグのついたツイートが多数、投稿されました。

こうしたツイートには「離脱は何の利益もない。痛みと悲しみしかもたらさない」とか「私たちは戻ってきます。再びEUに加入するための運動がきょうから始まります」といった離脱による影響を懸念する投稿が多く見られました。