新型肺炎 「指定感染症」に指定 何が変わるの?

新型肺炎 「指定感染症」に指定 何が変わるの?
新型コロナウイルスによる肺炎などの感染症を、法律に基づく「指定感染症」と「検疫感染症」にする政令が2月1日に施行されます。

「指定感染症」「検疫感染症」になることで、何が変わるのか?まとめました。

強制的な入院や一定期間の休業指示が可能に

政令では、指定感染症と検疫感染症の対象を新型コロナウイルスによる感染症と定めています。つまり、肺炎だけに限らず新型コロナウイルスによる感染症全体が含まれます。

指定感染症では都道府県知事が患者に対して、感染症の対策が整った医療機関への入院を勧告し、従わない場合は強制的に入院させることができるほか、患者に一定期間仕事を休むよう指示できます。

この対象となる患者は新型コロナウイルスによる感染症と確認された人のほか、ウイルスに感染していることが疑われる人も含まれています。

ただしどこまでが「疑われる患者」にあたるのかは施行までに別途通知するとなっていて、まだ明らかになっていません。

一方、チャーター機の第1便で帰国し感染が確認された男女2人のように、ウイルスに感染していも症状が出ていない人については強制的に入院させることはできませんが、仕事の制限などはできることになっています。

入国時に診察検査を実施 従わない場合は罰則も

検疫感染症に指定されると、日本に入国する人に対し、発熱などの症状がみられ検疫官が必要と判断すれば、検疫所で診察や検査を受けさせることができ、従わない場合は罰則があります。

厚生労働省は今後、症状のある無しにかかわらず中国からの入国者全員に武漢の滞在歴や症状の有無などを聞く質問票を配布して、必要に応じて個別に健康状態を確認することにしています。

専門家「診療態勢を整える必要」

新型コロナウイルスによる肺炎などの感染症が「指定感染症」となることについて、感染症の予防対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「疑いの患者も含めて迅速な検査が可能になり、治療もスピーディーになるため感染拡大を抑える対策として1日も早く指定したことは有効だと考えられる」としています。

一方で、対応が可能な専門的な医療機関の数はかぎりがあるとして「指定感染症ではないが、2009年の新型インフルエンザの際には『感染症指定医療機関』に発熱などを訴える患者が外来に殺到し、医師や設備が足りず通常の外来診療が行えなくなるなど深刻な影響を与えた」と指摘しました。

今後の新型コロナウイルスの感染の広がりによっては同様のことが起こる可能性があるとして「医療機関や行政が密に連携し、特定の医療機関に患者が殺到した場合は別の医療機関が通常の診療を引き受けるなど、工夫して受け入れ態勢を整える必要があるのではないか」と話しています。