浮世絵と中国版画 構図など共通点 相互に影響か 専門家

浮世絵と中国版画 構図など共通点 相互に影響か 専門家
中国 清の時代に作られた版画と日本の浮世絵の関わりについて、国内外の研究者が初めて本格的な調査を進めた結果、構図や人物配置など多くの共通点が見つかり、中国版画と浮世絵が相互に影響を及ぼしていた可能性が高いことが分かりました。
中国版画は風景や人物などを色鮮やかに刷り出した版画で、清の時代を中心に大量に制作されました。

その世界有数のコレクションが広島県廿日市市の「海の見える杜美術館」にあり、同じ時代に日本で作られていた浮世絵との関わりなどについて、国内外の専門家が研究会を設けて、初めて本格的な調査を進めてきました。

その結果、江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿や菊川英山らの作品と中国版画との間に、構図や人物配置など多くの共通点が見つかったということです。

さらに作品の制作年代を調べたところ、浮世絵に見られる多色刷りや空ずりといった技法は、中国版画で先に用いられていたことが分かり、浮世絵が成立する過程に中国版画の影響があったことがうかがえるとしています。

一方、明治時代初期に日本国内で時事的な題材を扱った浮世絵が広まったあとに、中国でも同様の作品が作られていたことなども分かり、中国版画と浮世絵が相互に影響を及ぼしていた可能性が高いことが明らかになりました。

研究会の委員長を務める上智大学の小林宏光名誉教授は「日本の浮世絵の源流が中国版画にあることは明らかで、兄弟のような関係と言える。これまでほとんど研究されてこなかった両者の関係を考えることは、お互いの文化を理解するうえで大変意義深い」と話しています。

美術館は研究の成果を踏まえて、再来年にも作品を一般公開する予定です。

具体的な共通点は

今回の調査では、「海の見える杜美術館」が所蔵する中国版画と、江戸時代に作られた浮世絵との間に、構図や色づけ、人物配置など多くの共通点があることが確認されました。

このうち、菊川英山の「萬事吉兆圖」という浮世絵の作品は、2体の神の周りに縁起物のハスの花や貨幣が描かれている様子などが、中国版画の作品とそっくりで、2つの作品の時期を調べたところ、英山が中国版画の作品を模倣した可能性が高いことが分かりました。

同じように、喜多川歌麿の浮世絵、「和合神之圖」のもとになったと見られる中国版画の作品も見つかりましたが、歌麿のほうが描写が精密で、中国版画をただ模倣するのではなく、作品として、さらに発展させようとしたことがうかがえるということです。