新型肺炎 緊急事態宣言ってどういうこと? Q&Aで記者解説

新型肺炎 緊急事態宣言ってどういうこと? Q&Aで記者解説
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、WHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

でも、それって、どういうことなの? 私たちはどうすればいいの?
科学文化部の藤ノ木優記者が解説します。

「緊急事態宣言」って、どういうこと?


WHOが「緊急事態宣言」を出したけど、どんな意義があるの?


1月31日の時点で、新型コロナウイルスの感染のほとんどは中国本土で起きています。

ただ、今後さらに感染が世界に広がるおそれがあることから、国際社会全体で警戒感を高め、対策を強める必要があるとWHOが示した、ということです。

WHOはちょうど1週間前にも緊急委員会を開きましたが、その際は中国本土以外ではヒトからヒトへの感染が見られないなどとして「緊急事態にはあたらない」としました。

ですがその後も中国での感染拡大が止まらず、さらに日本などでもヒトからヒトへの感染が確認されたことが、今回の緊急事態宣言につながったというわけです。

日本をはじめ各国では、すでに検疫体制を強化したり、武漢への不要不急の渡航をやめるよう呼びかけたりと、強い対策を取っています。

このため、WHOの「緊急事態宣言」は象徴的な意味も強いとみられます。

WHOのテドロス事務局長は記者会見で、医療体制がぜい弱な国への支援を行うなど、国際社会が連帯して感染の拡大を防ぐことを呼びかけました。

症状がない人からも広がるの?


感染していても症状が出ていない人が確認されたけど、症状のない感染者から知らない間に感染が広がることってあるの?


専門家は、症状が出ていない人からもウイルスが排出されて感染する可能性は「否定できない」としています。

今回の新型コロナウイルスは、せきやくしゃみなどの飛まつによって感染するとされています。なので一般的にこれらの症状が出ていない場合には、感染が広がるリスクは比較的低いと考えられています。

新しいウイルスなので、分からないことも多く、症状が出ていない場合にどのくらい感染するのかについては、まだ調査が必要です。

そこで、はっきりとしたことが分かるまでは、国などの対策については「症状がなくても感染することがある」ということを前提に考えていくことが求められます。

日本でも感染って広まるの?


これからどうなるの? 日本でも感染が広がっていくの?


これまでに日本国内で感染が確認されたのは、武漢に滞在していた人や、武漢からのバスツアー客の運転手やガイドの人たちです。

こうした武漢とのつながりが確認されている範囲であれば、まだ対策を取ることが可能だと考えられています。

ただ、今後感染がヒトからヒト、そしてその先のヒトへと次々に感染が広がる状況になってしまうと…感染源の追跡はできなくなり、封じ込めは難しくなり、対策も新たな局面を迎えます。

そうなると、診療体制の充実など、新たな対策が必要となります。

ウイルスはどのくらい危険なの?


今回の新しいコロナウイルスって、どれくらい危険なの?


危険性をはかる目安のひとつが致死率です。今のところ、今回の新型コロナウイルスの感染による致死率は2%から3%で、約10%とされているSARSと比べると低いとされています。

それでも感染する人が多くなってくると、持病のある人や高齢者を中心に、症状が重くなる人や亡くなる人も多く出ることになります。

そうなってしまうと社会に与える影響は大きく、混乱が広がるおそれがあります。こうしたことにならないよう、対策を取る必要があります。

どう予防すればいいの?


ウイルスに感染しないように予防したい! どうすればいいの?


大事なのは、手洗いと消毒です。

新型コロナウイルスには、インフルエンザなどと同じく基本的な感染予防策が有効だとされています。

手洗いを念入りに行うと、呼吸器系の感染症のリスクが最大50%下がるという報告もあります。

そして、症状のある人がほかの人に感染を広げないために、せきやくしゃみが出るなど体調がするれない人はマスクを着用すること。

マスクなどがない場合には、手のひらではなく、腕で口を覆うことです。

こうした基本的な対策を一人ひとりが徹底して行い、自分とともに社会全体を守るという意識を持つことが大切になってきます。