新型肺炎 中国で感染確認9000人超 春節Uターンで拡大警戒

新型肺炎 中国で感染確認9000人超 春節Uターンで拡大警戒
新型のコロナウイルスの感染拡大が続く中国では、感染が確認された人の数が9000人を超え、2003年に流行した新型肺炎「SARS」の世界全体の患者の数を上回りました。中国では、旧正月の「春節」にあわせた大型連休が2日に終わり、北京などの都市部では、帰省先から戻る人が増えるため、感染拡大をおさえ込めるか、重要な時期となります。
中国の保健当局、国家衛生健康委員会は、新型のコロナウイルスによる肺炎の患者が30日、1982人増えて、9692人になったと発表しました。

2003年に流行した新型肺炎「SARS」の世界全体の患者の数は8096人でしたが、中国国内だけで、これを上回ったことになり、感染の拡大が続いています。

また死亡した人の数も43人増えて、213人となりました。

こうした中、中国では、旧正月の「春節」にあわせた大型連休が、2日で終わることから、帰省先から北京などの都市部に戻る人で移動が増える時期を迎えます。

31日、中国の保健当局が開いた会見で、中国政府の幹部は「末端の住民組織を通じて、1戸ごとに感染が疑われる人がいないか、感染地域から来た人がいないかを把握していく」などと述べ、警戒を強めて予防対策を徹底する方針を示しました。

こうした方針を受けて北京では、地方から戻った人については居住地の住民組織への届け出を義務づけ、特に感染が深刻な湖北省から戻ってきた人については、当面外出を禁止とするほか、上海や広東省などでは、連休が終わったあとも、さらに1週間業務を再開しないよう企業に求めるなど、都市ごとに感染拡大への予防措置を強化しています。

春節Uターン 届け出や健康診断を徹底 北京

新型のコロナウイルスの感染拡大が続く中国では、旧正月の「春節」に合わせた大型連休が、来月2日まで延長されましたが、北京や上海などの都市部では、今後、帰省先から戻ってくる人が増加します。

こうした中、北京では、感染が拡大している地域から戻った人については、居住地の住民組織への届け出が義務づけられています。

特に、感染が深刻な湖北省から戻ってきた人については、当面、外出を禁止し、医療スタッフによる健康診断を義務づけるとしています。

北京中心部に近い団地では、住民組織の担当者が湖北省から戻ってきた人がいないか、入り口で監視にあたり、団地を訪れた人に体温検査を求めていました。

このほか、北京市の当局は、市内のホテルや地下鉄の駅、それにデパートなど、人が多く集まる場所で、施設内の消毒の頻度を増やしたり、訪れた人のマスクの着用や体温検査の徹底を指示するなど、対策を強化しています。

中国農村部では道路封鎖も

新型のコロナウイルスの感染拡大が続く中国では、農村部などを中心に部外者を進入させないよう、道路を封鎖する動きも出ています。

このうち、内陸部・河南省の農村部で今月28日に撮影された写真では、大型のトラックが道路をふさいでいる様子が確認できます。これは、村の外から、部外者を進入させないようにする措置とみられます。

薬局でマスクを買い求める長い列 広州

新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて、マスクが品薄となるなか、南部の広東省広州の薬局では、マスクを買い求める人たちの長い列が見られました。

広州市内の繁華街では、旧正月の大型連休が2日まで延長されたため、31日も多くの店が閉まったままで、通りを歩く人もまばらでした。

こうした中、繁華街にある薬局では、31日、マスクの販売が行われ、店の外には、マスクを買い求めようとする人たちの長い列ができ、警察官が警戒にあたっていました。

店を訪れた60代の女性は「1時間以上並びました。ようやく手に入れることができてうれしいです。マスクがないとどこにも行けません」と話していました。

一方で、各地で在庫が不足し、マスクが売り切れた薬局も少なくありません。

郊外にある薬局の店主は「1日100人ほどの客が“マスクはないか”とたずねてきます。いつ入荷できるかも分からず、心配です」と話していました。

このほか、マスクが品薄となるなか、高額で売りさばく業者も出てきているということで、市民のひとりは「マスクが通常の7、8倍に値上がりしていて高すぎる」と嘆いていました。

マスク工場 春節返上し24時間態勢で製造 上海

新型のコロナウイルスの感染が広がり、中国国内で、マスクが品薄になる中、上海市内にあるマスク工場が国内外のメディアに公開され、24時間態勢で製造していると強調しました。

上海市内の薬局では品薄になっているマスクを買い求めようという人が長い列を作るなど、市民の不満が高まっています。

こうした中、上海市郊外にあるマスク工場では、春節に合わせた休みを返上して今月27日から生産を再開しているということで、31日も多くの従業員が出勤して、マスクの生産にあたっていました。

この工場は、もともと海外への輸出が多かったということですが、現在は、1日当たりおよそ8万枚のマスクを製造し、中国国内向けに出荷しているということです。

マスク工場の経営者は、「今は増産を求める政府の要求に応えるため、24時間態勢で生産を続けている」と話していました。

黄岡市の保健当局トップ解任

感染の拡大が深刻な湖北省武漢に隣接する黄岡市では、保健当局のトップが患者の数など、地元の現状を十分に把握していない様子を国営テレビで報じられ、解任されました。

国営の中国中央テレビは、29日、黄岡市の衛生保健委員会の唐志紅主任ら幹部たちが、中国政府から派遣された調査チームと現地の医療態勢などについて協議する様子を伝えました。この中で、唐主任は、市内の病院で収容している患者の数など、基本的な質問にも答えることができず、協議中に電話で確認したり、記者のインタビューに対しても、「わからない」などと答えたりしていました。

この映像は、ネット上でも広く拡散され、批判の書き込みも相次ぎ、黄岡市の地元当局は30日夜、唐主任を解任したと発表しました。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ネット上では、当局の初期の対応などを批判する声が出ていて、今回の解任は、国民の不満が高まらないよう、厳しく対処している姿勢を示すねらいもあると見られます。