新型コロナウイルス 感染したら出る症状は その治療は

新型コロナウイルス 感染したら出る症状は その治療は
WHO=世界保健機関などによりますと、今回の新型コロナウイルスに感染し、発症した際の主な症状は、
▽発熱、
▽せき、
▽息苦しさなど呼吸器症状、
▽それに、筋肉痛やけん怠感などが報告されているということです。
重症化した場合、
▽肺炎や呼吸困難を引き起こしたり、
▽腎臓の機能が低下したりすることがあるということです。

WHO 約20%で重症化か

症状の重さについてWHOはほとんどの人は軽い症状ですが、およそ20%で重症化するとみられるとしています。

一方で、中国の保健当局によりますと、あまり発熱せず、ほぼ平熱だった患者もいたということです。

潜伏期間 最短1日 最長14日

また、感染してから症状が出るまでの潜伏期間について、中国の保健当局は比較的、症状が軽い患者ではおよそ10日前後で、最も短いと1日、最長で14日だとしています。

死亡した患者 免疫低下させる持病の人多い

患者の年齢については、WHOによりますと、これまでのところ主に成人だということですが、小さな子どもから高齢者まで幅広い世代で患者が報告されているということです。

WHOなどによりますと死亡した患者は高血圧や糖尿病、それに心臓や血管の病気といった免疫を低下させるような持病があった人が多かったということです。

致死率 2%~3%程度で推移

発症した患者のうち、死亡した人の割合を示す致死率については、1月29日現在、2%から3%程度で推移しています。

症状や致死率などのデータは今後、さらに患者の数が増えると変わる可能性があります。このため正確な致死率やどれぐらい重症化しやすいかなどはまだよくわかっていません。

ワクチンや特効薬なく対症療法

今回の新型コロナウイルスは、人の間でたびたび感染が広がっていたこれまでの「コロナウイルス」とは違うため、すでに感染した人以外は誰もこのウイルスに対する免疫を持っていないと考えられています。

新型コロナウイルスに対しては、インフルエンザのようにワクチンや特効薬はありません。このため発症した場合、症状に応じた治療、いわゆる対症療法が行われます。

例えば、呼吸困難には酸素吸入を行ったり重い場合は人工呼吸器を付けたりするほか、脱水などで点滴を行ったり、細菌が感染して肺炎が悪化するのを防ぐため、抗生物質を投与したりと、症状に合わせてさまざまな治療を組み合わせて対処します。

国立感染症研究所によりますと、こうした治療を行っている間に、患者自身が免疫を獲得し、ウイルスが排出されるのを待つということです。

医師会「医療機関来る前にまず電話を」

日本医師会の松原副会長は記者会見で、今回の新型コロナウイルスについて「当初の中国の発表ではSARSよりも軽いということだったが、いまはかなり危険なものであると認識している」と述べました。

そのうえで「感染の可能性がある方は医療機関に来る前にまず電話をしていただき、どこの施設で対応できるのか確認をしてもらいたい」と述べ、病院での二次感染を防ぐため、まず最寄りの保健所や医療機関に電話で相談したうえで、専門の医療機関を受診するよう呼びかけました。

感染力の目安 今後変わる可能性も

感染力の目安として、WHOは、今月23日の時点で、患者1人が別の人に感染させる数を1.4人から2.5人と推測されると発表しました。

この数値は、SARSでは1人以下、インフルエンザは2人から3人、はしかは12人から18人とされています。こうした数値は今後の感染者の情報によって変わる可能性があります。

また、中国の保健当局は、潜伏期間中にも感染を広げるおそれを指摘しましたが、これについてWHOは、限定的なケースの可能性があるとして、さらに調査が必要だとしています。

感染力については今後、ウイルスの性質が変化するおそれもあることから、引き続き、注意深く調べていく必要があります。

確定診断 遺伝子レベルでの検査

新型のコロナウイルスの確定診断には遺伝子レベルでの検査が行われます。

国立感染症研究所が作成したマニュアルでは、検査を行う際には、のどや鼻の奥にある粘膜や分泌物のほか、たんや血液、尿など、さまざまな検体が使われます。

国立感染症研究所や各地の地方衛生研究所では、送られてきた検体に含まれる遺伝子をPCRと呼ばれる方法などで増幅させて調べます。

この方法を使うと、コロナウイルスの遺伝子の断片が含まれていれば検出することができ、ウイルスの感染があったかどうかを確定することができます。

このほか、検体に含まれるウイルスの遺伝子を直接、解析する装置を使って診断することもできるということです。

厚生労働省などによりますと、検査結果が出るまでには、「リアルタイムPCR」と呼ばれる検査では、4時間から8時間ほど、また、ウイルスの遺伝子を詳細に解析する装置を使った場合には、1日から3日程度かかるということです。

人から人への感染 世界では

中国で感染が拡大する新型のコロナウイルスについて、これまでに中国以外の4つの国と地域で、人から人への感染が起きたとみられています。

このうちベトナムのケースでは、湖北省武漢から訪れた60代の男性の感染が確認されたのに加えて、この男性の20代の息子でこの数か月間は武漢を訪問していなかった20代の息子にも感染が確認され、WHOは今月24日、父親から息子への感染が起きたとみられると発表しています。

台湾では、武漢に滞在したあと台湾に戻ってコロナウイルスへの感染が確認された女性の50代の夫も感染が確認され、保健当局は28日、家庭内で感染が起きた可能性があるという見方を示しました。

ドイツでは南部バイエルン州の自動車部品メーカーで働く33歳のドイツ人男性の感染が確認されましたが、この男性が1週間前に参加した講習会の中国人講師は、その後、ウイルスの感染が確認されたということで保健当局は講習会で人から人への感染が起きた可能性があるという見方を示しています。

さらに、この男性と同じメーカーで働いていた3人も新たに感染が確認されたということで、他の社員についても感染していないか検査を行うことにしています。

このほか日本では奈良県に住み、武漢への渡航歴が無い60代の日本人男性がウイルスに感染していることが確認されています。

ワクチン 治療薬の開発は

今回のワクチンや治療薬の開発も始められています。

オーストラリアのメルボルンにあるピーター・ドハーティー感染・免疫研究所は29日、患者のサンプルからウイルスを分離し、培養することに成功したと発表しました。
研究所によりますと、中国以外で新型のコロナウイルスを培養できたのは初めてだということで、ウイルスはWHO=世界保健機関を通じて各国の研究所にも提供され、潜伏期間中でも感染の有無を調べられる検査法やワクチンの開発などに役立てられるということです。
キャットン副所長は「今回の培養によって停滞していたものごとが前進する」と述べ、新型のコロナウイルスに対応するための研究が、今後加速していくことになると意義を強調しました。

また、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、アメリカメディアの取材に対して「3か月以内にワクチンの効果や安全性を確かめるための臨床試験を始める」と話しています。

WHOは、同じコロナウイルスの一種で、重い肺炎を引き起こす「MERS」の対策として開発中のワクチンなどが、新型のコロナウイルスにも効果がないか探っていくとしています。

さらに、治療薬の開発について、エイズの発症を防ぐために使われている2種類の薬が、同じコロナウイルスのSARSの治療に効果があったという報告があるということで、中国・北京市の保健当局は、複数の病院で肺炎の患者の状態に応じて、これらの薬を投与する考えを示しているということです。

米博士 ワクチン開発に着手 3か月以内に試験へ

アメリカ厚生省は28日、中国で感染が広がっている新型コロナウイルスへの対応について記者会見を開きました。この中でNIHのアンソニー・ファウチ博士は、ジカ熱のワクチンなどを開発している製薬会社「モデルナ」と協力してワクチンの開発に着手したことを明らかにするとともに、3か月以内に初期段階の試験を始めることができるという見通しを示しました。

またアメリカの医薬品大手の「ジョンソン・エンド・ジョンソン」もワクチンの開発を始めたことを公表したほか、エボラ出血熱のワクチンを開発しているアメリカの製薬会社「イノビオ」やオーストラリアのクイーンズランド大学も、日本などが資金を拠出している感染症対策の国際的な枠組みから最大10億円の資金提供を受けてワクチン開発を進めています。

さらにアメリカ・テキサス州のベイラ-大学もニューヨーク血液センター、それに中国の復旦大学などと協力してワクチン開発に取り組んでいます。

ベイラ-大学のワクチン専門家、ピーター・ホテズ教授は「ワクチンの開発スピードはどんどん早くなっている。しかし、ヒトに対して使うまでには効果と安全性を十分確認する必要があるので、開発には少なくとも1年かかるだろう」と述べています。