新型肺炎 日本人帰国用のチャーター機 武漢に向け出発

新型肺炎 日本人帰国用のチャーター機 武漢に向け出発
新型のコロナウイルスの感染が拡大する中国・湖北省武漢から帰国を希望する日本人を乗せるための最初のチャーター機が、28日夜8時半すぎに羽田空港を飛び立ちました。チャーター機はおよそ200人を乗せて、29日早朝に、羽田空港に戻る見通しです。
中国の湖北省武漢を中心に新型のコロナウイルスの感染が拡大する中、武漢では空港が事実上、閉鎖されるなど公共交通機関がストップし、現地に滞在する日本人についても帰国が困難な状況となっています。

外務省では、これまでにおよそ650人が帰国を希望していることを確認していて、政府は全日空のチャーター機を手配して、希望者全員を順次、帰国させることを明らかにしています。

その最初のチャーター機、ボーイング767型機が、28日夜8時半すぎに羽田空港を飛び立ちました。

チャーター便には、医療チームや政府関係者などおよそ10人が乗り込んだほか、マスクや防護服など大量の支援物資も積み込まれたということです。

この第1便ではおよそ200人が帰国する予定で、29日未明に武漢を出発し、29日早朝に羽田空港には戻ってくる見通しです。

チャーター機 29日午前7時半ごろ日本着予定

外務省は、日本時間の29日午前1時ごろに武漢の空港に到着後、おおむね午前4時ごろに帰国希望者を乗せて出発し、午前7時半ごろに羽田空港に到着する予定だとしています。

また、ボーイング767の機体を使用し200人程度が収容可能で、医療チーム4人と、外務省から「海外緊急展開チーム」のメンバー1人を含む職員6人が同乗するということです。

一方、日本への帰国を希望する人は28日朝の時点でおよそ650人いると確認され、JETRO=日本貿易振興機構が確保した車両を使って、空港まで輸送する方向で調整しているとしています。

政府は、チャーター機の搭乗者から、エコノミークラスの片道の正規運賃を徴収する予定だとしています。

海鮮市場や空港周辺に住む人の帰国を優先

外務省は28日朝の時点で、およそ650人いる帰国希望者のうち、第1便のチャーター機に乗るおよそ200人については、はじめに肺炎患者が相次いだ武漢の海鮮市場や空港の周辺に住んでいる日本人を優先する方向で調整中だとしています。

ただ、出国時の中国当局による検疫の結果、発熱などの症状がある人は、チャーター機への搭乗が認められない可能性もあるとしています。

また、費用負担については、エコノミークラスの片道の正規運賃、およそ8万円の支払いを搭乗者に求める方針です。

外務省は、希望者全員の速やかな帰国に向けて、第2便となるチャーター機についても、早急に派遣できるよう中国側と調整しているとしています。

帰国者への対応

チャーター機に乗って中国の湖北省武漢から帰国する日本人について、厚生労働省は機内にサーモグラフィーを持ち込んで医師や看護師も配置し、発熱やせきなどの症状がないかを確認します。

そして、症状がある人はマスクを着用したうえで、ほかの人とは離れた座席に座ってもらうことにしています。

日本に到着後、症状のある人は感染症に対応している指定医療機関に、また症状が見られない人も別の医療機関に送り、それぞれウイルス検査を受けてもらいます。

症状のある人には、検査結果が出るまでは入院してもらい、症状の無い人でも、結果が出るまでは自宅か国が用意したホテルに待機してもらって、毎日、健康状態をチェックすることにしています。

検査の結果、感染していないことがわかった人でも、帰国後2週間は、健康状態のチェックを続け、極力外出を控えるよう要請するということです。

武漢の日本人男性 帰国希望も連絡待ち

湖北省武漢に滞在している20代の日本人の男性は、日本への帰国を希望しているものの、日本政府のチャーター機に乗れるか、これまでのところ情報がなく、大使館側の連絡を待っている状態だと話しています。

日本時間の28日夜8時すぎ、NHKの電話インタビューに応じた男性は「今夜、チャーター機が日本を出発する予定だという連絡はありましたが、集合場所などについて、現時点で具体的な話は来ていません」と話していました。

そのうえで「一応、荷物は整理して、すぐに出発できるような状態にはしています。帰ると決まったのであれば、早く帰りたいです。今の武漢の状態だと、生活を続けるのはかなり難しい状況です。このあとのチャーター機がいつになるのか分からず、食料などをどのくらい用意しておけばいいのか不安です」と話していました。

仏チャーター機 30日に現地へ

一方、フランスのビュザン保健相は28日、パリ市内で記者団の取材に応じ、中国の湖北省武漢に滞在するフランス人で、希望する人を帰国させるために派遣するチャーター機が、今月29日にフランスを出発し、30日夜に武漢に到着する見通しだと明らかにしました。

また、チャーター機は複数用意され、症状のない人は最初の便に搭乗し、新型のコロナウイルスへの感染の疑いがある人や症状がある人は、そのあとの別の便で帰国するということです。

1便目のチャーター機は、今月31日か来月1日にフランスのパリに到着する見通しだということで、そのあとの便のスケジュールは決まっていないということです。

チャーター機でフランスに戻る人は帰国後2週間は、経過観察の対象になるということです。

また、ビュザン保健相は、ほかのヨーロッパの国々とも連携し、場合によっては、チャーター機にフランス以外のヨーロッパの国の国民を搭乗させる可能性もあるとしています。