武漢の在留邦人帰国のため 28日夜 チャーター機 第1便 派遣へ

武漢の在留邦人帰国のため 28日夜 チャーター機 第1便 派遣へ
中国での新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて安倍総理大臣は、衆議院予算委員会で、現地に滞在する日本人の希望者を帰国させるため、28日夜、中国 武漢に向けてチャーター機を派遣するとしたうえで、帰国後も健康面のケアに万全を期す考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は「中国政府との調整が整ったことから、武漢の在留邦人の帰国のため、チャーター機の第1便を今晩、武漢空港に向けて派遣することを決定した。チャーター機は、あす午前中に羽田空港に戻る予定だ」と述べました。

そして安倍総理大臣は、希望者全員の帰国に向け、あらゆる手段を追求するよう指示していることを説明したうえで「機内で医師による健康確認を行うととともに、帰国後は一人一人の健康状態を改めてしっかりと確認する。その後も2週間、外出を控えていただき、健康状態の確認を行うなど、ケアに万全を期していきたい」と述べました。

また加藤厚生労働大臣は、チャーター機内での感染防止策について「搭乗前に症状を聞き、すでに発熱などの疑いがある場合は、少し間を置いてゾーンを作り、症状のない方は違う座席に乗ってもらうオペレーションを考えている」と述べました。

官房副長官「過去50年間にはなかったこと」

岡田官房副長官は記者会見で、「感染症を理由に政府が邦人退避のために航空機を派遣したという事例は少なくとも過去50年間にはなかったものと承知している」と述べました。

また記者団が「チャーター機で帰国する人は、全員日本国籍か」と質問したのに対し、岡田副長官は「目下調整中で、確定的なことを申し上げる段階ではない」と述べました。

さらに、民間のチャーター機に加え、政府専用機も使用するかどうかについて、「『あらゆる手段』と申しあげていることは、そうした可能性も排除しないということだ」と述べました。

河野防衛相「当面はチャーター機」

河野防衛大臣は記者会見で、「政府専用機の要請があれば、準備したいと思うが、当面は、チャーター機になろうかと思う。政府専用機だと乗せられる人数が100人余りということになるが、チャーター機はおそらく200人以上と倍になる」と述べました。

立民 福山幹事長「差別的な対応にならないか心配」

立憲民主党の福山幹事長は記者会見で、「チャーター機で帰国した人たちをどうケアするのかが大事で、差別的な対応にならないか心配している。一方で、国内に入る際に症状の確認をしなければ感染拡大のおそれがあるので、専門家の意見をしっかり聞いて対応してほしい。また、日本の観光産業にはかなり大きな打撃となるので、政府は憂慮すべきだ」と述べました。

チャーター機を待つ人は

今月21日から仕事で武漢に出張し、ホテルに滞在しているという40代の男性は所属する会社から日本政府のチャーター機で帰国するよう連絡を受け、飛行機の到着を待っているといいます。

男性によりますと武漢では今月25日頃から電車やバスなどの公共交通機関がほとんど動かなくなったということです。

男性が28日、ホテルの窓から外を撮影した映像には車の往来や外を歩く人の姿はなく閑散とした様子が映っています。また、水や食料、それにマスクなどの物資が不足しているほか、滞在しているホテルでは従業員の姿も減りタオルなどの備品も交換されなくなったということです。

男性は「食料などを買いに行くには外出しなければなりませんが、外に出るのは怖いです。ウイルスは目には見えない。相手が見えないものだからこそ怖いです」と話していました。

また、日本政府がチャーター機を準備していることについて、「正直早く帰りたいです。日本政府がこのような状況の中で飛行機を飛ばしてくれることはありがたいと思っています」と話していました。

男性は現在、発熱やせきなどの症状はないということですが、「会社から帰国後は一定期間、症状が出ないか別の場所で待機して様子を見ることになっていると聞いています」と話していました。

武漢の国際空港では

政府が派遣するチャーター機が到着するのは武漢郊外にある武漢天河国際空港です。

国内線と国際線、合わせて3つのターミナルを有する中国有数のハブ空港の1つですが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために現在、事実上、閉鎖されています。

武漢の中心部からは北西におよそ25キロ離れていて、通常は、直通の地下鉄やリムジンバスで結ばれています。また、高速道路を経由すれば、市内から車で1時間ほどの距離です。

一方で、武漢市の地元当局は感染の拡大を抑えるため地下鉄やバスなど市内の公共交通機関の運行を停止させているほか、中心部では許可された車以外の通行を禁止しています。

このため、政府は現地に滞在する日本人の空港までの移動手段について、手配した車を市内のホテルなどに巡回させるほか、駐在員の会社側が手配した車で空港まで向かってもらうことを検討しています。