新型肺炎 中国の死者は41人に 武漢中心部は乗用車通行禁止に

新型肺炎 中国の死者は41人に 武漢中心部は乗用車通行禁止に
新型のコロナウイルスの感染が拡大する中国では患者の数が1200人を超え、死亡した人も41人に上っています。こうした中、感染が最も深刻な湖北省・武漢の当局は感染拡大を防ぐためとして、市の中心部では許可された車以外、通行を禁止することを明らかにしました。
中国では新型のコロナウイルスによる肺炎の患者が増え続け、中国の保健当局、国家衛生健康委員会は25日、患者の数が中国のほぼ全土にわたる全国29の省や市などで合わせて1287人になり、このうち症状の重い人が237人に上っていると発表しました。また、死亡した人は湖北省を中心に合わせて41人に上っています。

一方、中国の国営メディアは、当初、新型のコロナウイルスの対応に当たっていた武漢の病院に勤務する62歳の医師が25日朝、死亡したと伝えましたが、地元の保健当局は、死亡した医師はすでに退職していると発表しました。

感染が広がる中、武漢の当局は、さらなる拡大を防ぐためとして、26日午前0時から市の中心部では許可された車以外、通行を禁止することを明らかにしました。

地元当局は、無料のタクシー合わせて6000台をすでに配備したとしていて、買い物などにはタクシーを利用するよう求め、市民の自家用車での外出を禁じた形です。

また地元メディアによりますと、武漢だけでなく湖北省のほぼ全域でバスの運行を取りやめたり高速道路を封鎖したりするなど、人の動きを制限しています。

一方、国営の中国中央テレビは中国各地から武漢に向けて医療専門家や軍の救援チームが続々と派遣される様子を伝えていて、国をあげて感染拡大の防止に躍起になっています。

2歳女児の感染も確認

中国南部・広西チワン族自治区河池市の保健当局は25日、2歳の女の子が新型のコロナウイルスに感染したことが確認されたと発表しました。女の子は武漢に住んでいて、1月21日から広西チワン族自治区を訪れたあと発熱などの症状が出たということで、病状については安定しているとしています。

武漢の病院 患者急増に対応追いつかず

一部の中国メディアは、感染が最も深刻な湖北省武漢の病院で患者の急増に対応が追いついていない状況を伝えています。

北京のメディア「財新」や「新京報」によりますと、武漢の病院では今月22日の時点で、発熱を訴える患者のために設けられた待合室はマスクを着けた大勢の市民であふれかえり、診察まで7時間以上も待たされる人が出ているほか、中には徹夜で待って翌日の午後にようやく診察を受けた患者もいたということです。

また、ベッドの数が不足しているため、患者の中には症状が軽いとして薬を処方されるだけで帰宅させられる人もいたということです。

このほか、病院の廊下に急きょ設けられた経過観察のための区画で点滴を受ける人もいて、病院内で感染が広がっているおそれがあると伝えています。

一方で、医療従事者の負担も大きくなっていて、看護師の中には10数時間連続で働き「倒れそうだ」と漏らす人もいたということです。

しかし、こうした状況は中国の国営テレビなど主要なメディアではほとんど伝えられず、中国政府が社会に不安が広がるのを防ごうとしていることが背景にあると見られます。

中国版“紅白歌合戦”でも肺炎特別企画

新年を旧暦で祝う中国では25日が元日で、大みそかにあたる24日夜、国営の中国中央テレビでは恒例の中国版“紅白歌合戦”が生放送されました。

ことしの番組では、新型コロナウイルスの感染が広がる中、最前線で活動している医療従事者の様子が急きょ、特別企画で伝えられました。

ステージ上の大型モニターに防護服を着た医師らが治療に当たる姿が映し出される中、キャスターたちは「私たちは絶対に勝つ。がんばろう武漢、がんばろう中国」などと呼びかけていました。