世田谷一家殺害 住宅を初公開「4人が一生懸命 生きていた」

世田谷一家殺害 住宅を初公開「4人が一生懸命 生きていた」
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20年前、東京 世田谷区で一家4人が殺害された事件で、遺族が現場の住宅の中を一部のメディアに初めて公開しました。家族が使っていた家具などはそのまま残されていて、遺族は警察から住宅の取り壊しを打診されたことについて「4人がここで一生懸命生きていたことを知ってほしい。早期の取り壊しとならないよう求めたい」と訴えています。
平成12年の大みそか、東京 世田谷区の住宅で、会社員の宮沢みきおさん(当時44)、妻の泰子さん(当時41)、長女で小学2年生だったにいなちゃん(当時8)、長男の礼くん(当時6)の一家4人が殺害されているのが見つかりました。

事件は未解決のままことしで20年となりますが、18日、泰子さんの姉の入江杏さん(62)が、4人が生きた証しを知ってほしいと住宅の中を一部のメディアに初めて公開しました。

家には遺品を保管している箱が積まれていますが、玄関先にはみきおさんと泰子さんが新婚のころに購入した大きな鏡が置かれていたほか、にいなちゃんの長靴やプールバッグ、フラフープも残されていました。

また、2階の子ども部屋には、にいなちゃんが使っていたピアノがそのままの状態で置かれていたほか、リビングには家族が食事をともにしたダイニングテーブルが残されていて学習教材もありました。
リビングの壁には、にいなちゃんと礼くんが背丈を比べ合った、たけくらべの記録が手書きで記されていましたが、事件が起きる1か月前の2000年11月で途絶えていました。
一方、礼くんが倒れていたベッドや、犯人が脱ぎ捨てた帽子などが置かれていたソファーなど、凄惨(せいさん)な事件の痕跡も残されていました。

現場の住宅をめぐっては、警視庁が住宅内の状況を証拠として保全する作業は終わり、建物の老朽化も進んでいるとして遺族に取り壊しを打診しています。

入江さんは、現場を公開するとともに警察に要請書を提出し「4人がここで一生懸命生きていたことを知ってほしい。取り壊しについては、4人のみたまにどう応えたらいいか考えあぐねて現場の公開に至ったが、早期の取り壊しとならないよう求めたい」と訴えていました。

“4人の生きた証し”

住宅には遺品を保管している箱が積み上げられていますが、至るところに4人の息遣いが感じられる「生きた証し」が残されていました。

泰子さんの姉の入江杏さん(62)は、「このリビングでにいなちゃんとおしゃべりしたり、礼くんをひざにのせて本の読み聞かせをしたことが思い出されます。こんなに狭いところで一生懸命に子育てをしながら4人が生き生きと暮らしていたこと、ここが家族の団らんの場だったということを知ってもらいたいです。この現場の空気を皆さんの記憶にとどめてもらい、事件を解決に導きたいです」と涙ながらに話していました。

事件の凄惨さを物語る痕跡

現場の住宅には、事件の凄惨さを物語る数々の痕跡が残されていました。

犯人は2階の浴室にある窓から家の中に侵入し、リビングのソファーの上に帽子を脱いで置き、付近にトレーナーやヒップバッグを脱ぎ捨てたとみられていますが、浴室の窓やソファーは当時のままの状態で残されていました。

また、2階の子ども部屋には、礼くん(当時6)が倒れていた2段ベッドが残されていて花束が供えられていました。

このあと、犯人は階段を下りた1階でみきおさん(当時44)を襲い、さらに3階のロフトに上がって泰子さん(当時41)とにいなちゃん(当時8)を襲ったとみられています。

このロフトにつながる収納式のはしごも残されていましたが、今は壊れているため3階に上がることはできなくなっているということです。

また、犯人は持ち込んだ包丁の刃が欠けたため、台所で別のものに取り替えたとみられていますが、その際包丁を取り出したとみられる流し台の収納スペースもそのままの状態でした。

犯人は台所の冷蔵庫からアイスクリームを取り出して食べていたとみられますが、冷蔵庫も当時のまま置かれていました。

20年の歳月 建物の老朽化も…

ことしの年末で事件から20年となりますが、現場の住宅は建物の老朽化を感じさせるところがみられました。

泰子さんの姉の入江杏さんが、家の鍵を開けてドアを開いたとき、「ギーッ」というさびた金属がこすれるような大きな音がしました。

そして、2階の子ども部屋の天井には、雨漏りしている箇所が2か所あり、雨水を袋にためてチューブを通して浴室に流すような対処が施されていました。

また、3階のロフトにあがる収納式のはしごは残されていましたが、すでに壊れていて使うことはできないということです。

住宅はことしで築30年となり、建物の外壁は一部が剥がれ落ちたり、亀裂が入ったりしているところもありました。

遺族「取り壊し撤回を」

事件現場の住宅について、警視庁は遺族に取り壊しを打診していて、先月末には「証拠を保全するために現場を取り壊さないよう遺族に求めていた要請を解除する」という内容の通知が遺族に届けられたということです。

入江さんは、18日に現場を公開したあとに捜査本部が置かれている成城警察署に向かい、通知の撤回を求める要請書を提出しました。

要請書では「どのような理由で証拠の保全が完了したと判断したのか、未解決のまま現場を取り壊すのが適切なのか遺族としては不安以外の何もありません」としたうえで、「十分な説明がない中で取り壊しはできないと考えています。4人の御霊(みたま)への責任を全うするため、改めて説明を求めるとともに、早期の取り壊しとならないよう要請します」と記されています。

入江さんは「警察は現場を3D映像で再現しているといいますが、実際に現場が残っているからこそ肌で感じられるものがあると思っています。警察には真摯(しんし)に受け止めて、遺族の思いをくんでもらいたいです」と現場の住宅を取り壊さないよう訴えていました。