ぼくもわたしも “年賀状配達員”?

ぼくもわたしも “年賀状配達員”?
ことしも年が明けてから1週間以上が過ぎましたが、皆さんのところには何枚の年賀状が届きましたか?最近は「年賀状じまい」として出さない人も増えているようですが…。その一方で、自分が書いた年賀状を自分で相手先まで届けてしまう “配達員” がいるそうです。それっていったい、誰がやっているんだろう?なんでやっているの?取材してみました。(ネットワーク報道部記者 郡義之 國仲真一郎)

“配達員” っていったい誰?

知られざる “年賀状配達員” とは誰なのか?
ネット上を探してみると…ありました、ありました、手がかりとなる投稿。
「次女の友達がわざわざ自転車乗って年賀状持ってきた。住所わからないから友達の家回って渡してるんだってさ」
「我が家の娘たちは学区内の友達には自分の足で送ってます。もらってくれたお友達も歩いて持ってきます。一周して新しい文化になりました」
“年賀状配達員” の正体とは、子どもたち。
友だちに送る年賀状を自分で配って歩いているようです。

でも、ポストに投かんすれば届けてくれる年賀状を、どうしてわざわざ?
このツイートを投稿した「みみくらげ」さんに話を聞きました。

小学3年生になる息子さん。
これまでほとんど年賀状を書いたことはありませんでしたが、ことしは自分から「書きたい」と言ってきたそうです。

聞くと学校の授業で書き方を教わったのだとか。

手書きで4通、近くに住む仲のいい友だちに年賀状を書き上げました。

ただ、息子さんが通う小学校には連絡網や住所録もなく、郵送しようにも住所が分かりません。

そこで息子さん、住所は分からないものの、ハロウィーンなどをきっかけに住んでいる「場所」が分かっている家に直接届けることにしたそうです。

元日に実家へのあいさつを済ませ、翌日の夜。
家族3人で散歩をしながら「年賀状配達」をしたそうです。

友だちからの年賀状も、同じように住所が書かれていませんでした。

近所に住む子どもたちも「みみくらげ」さんの息子さんと同じように自分で書いた年賀状を自分で “配達” しているそうです。
みみくらげさん
「親のほうはことしから枚数を減らしていたのですが(笑)。はがきに書くという行為がなんだか大人っぽくてうれしいみたいですね」

背景はやはり…

取材した記者は、いま30代と40代ですが、小学生のころは、クラスごとに連絡網や名簿が各家庭に配られていました。

そこには自宅の電話番号以外に、住所や親の名前などが書かれていたのを記憶しています。

でも、今はどうなっているのでしょう。

東京 世田谷区の小学校に聞いてみると、「今は連絡網はなく、必要に応じてメールなどで一斉連絡しています」とのこと。

背景にあるのは、やはり個人情報の問題です。

都内のある自治体の教育委員会の担当者は「個人情報保護の観点から、児童・生徒の住所などの情報の目的外使用は、より厳しくなっています。連絡網をやめたり、連絡網があっても次に回す家庭の電話番号しか教えないなどの対応をとっている学校もあります」と話しています。

減り続ける年賀状

正月の風物詩ともいえる年賀状。

毎年元日に配られる枚数は年々減少傾向にあります。

日本郵便によると、ことしの元日に配達された年賀郵便物(速報値)は12億8700万通でした。

前の年の元日と比べて1億4500万通、率にして10%余り少なくなっています。

10年前と比べると8億通近くも減っているそうです。

最近は、ラインやツイッターなどのSNSで新年のあいさつを済ませる人や、高齢などを理由に年賀状そのものを出さない人もいて、年々その傾向は強まっているといいます。

絆も深まるんです

友だちの家に自分で年賀状を届けた子どもたち。

実は、わたしたちの職場でも聞いてみたところ、ことしの初詣の帰りに半日かけて息子の友人に直接配って歩いたという声も聞かれました。

ふだんはそんなに会話がないそうですが、「親子で話しながら友だちの家を探していると、なんだか絆も深まるような気がしてね」とちょっとうれしそうでした。

個人情報の保護が進む中で、子どもたちが友だちの住所を知らないため年賀状を出すことができなくなっていることに驚きましたが、心を込めて書き上げたはがきを何とか届けたいという子どもたちの思いに、ほっこりさせられました。

時代は変わっても親しい友人に新年のあいさつをしたいという気持ちはかわらないと感じます。