東京 奥多摩町で今も約40世帯が孤立 台風19号から3か月

東京 奥多摩町で今も約40世帯が孤立 台風19号から3か月
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台風19号からまもなく3か月となりますが、東京 奥多摩町では今もおよそ40世帯が孤立していて、地区の外との往来には仮設の通路を歩いて渡る状態が続いています。
奥多摩町の日原地区は、去年10月の台風19号による大雨で地区につながる唯一の都道が崩落し、依然としておよそ40世帯70人が孤立しています。

今月12日で台風から3か月となるのを前に9日、NHKの取材班が初めて地区に入りました。

崩落現場では仮設の道路を建設する基礎工事が行われているものの、今も斜面は大きく崩れたままで車両の通行はできません。
このため、車を降りて幅1メートルほどの仮設の歩道を通るしかなく、町と地元の自治会では、住民や関係者向けに、崩落現場をはさんでJR奥多摩駅と集落を結ぶ無料の送迎車を平日は5便、土日は2便それぞれ運行しています。多いときで1便当たり8人ほどが通院や買い物などのために利用しているということです。

仮設の道路で車の通行ができるようになり孤立が解消するのは、ことし春以降になる見通しです。

野生動物が住宅のすぐ近くに出没

孤立が続く奥多摩町の日原地区では、台風19号以降サルやイノシシなど野生動物が住宅のすぐ近くに出没するようになったということです。

9日正午ごろ、NHKのカメラは住宅の屋根に上るサルの姿をとらえました。日原地区では以前からサルやイノシシ、それにシカなどの野生動物が出没していましたが、去年10月の台風19号以降、住宅のごく近くで目撃されるようになったということです。

地元の自治会では孤立して以来、路線バスが運休したり、年間およそ10万人が訪れる「日原鍾乳洞」など人気の観光地に入れなくなったりして人通りがほとんどなくなったことが影響しているとみています。
地区内ではイノシシやサルによる農作物の被害も出ていて、畑の土を掘り起こしたり収穫前のハクサイやホウレンソウを食べたりしているということです。

住民の72歳の女性は「人の声が聞こえずバスも通らないので堂々と出てきています。こんなに荒らされるのは初めてです。どうしようもありません」と話していました。

奥多摩病院 週に1回の診療活動を継続

奥多摩病院は、日原地区で行ってきた週に1回の診療活動を孤立して以降も続けていて、地域の医療を確保しています。

町が運営する奥多摩病院は、毎週木曜日に日原地区内の診療所に医師と看護師、それに事務スタッフを派遣していて、台風19号の直後から途切れることなく医療活動を続けています。

9日は整形外科の診療が行われ、10人ほどの患者が、肩や腕に注射をしてもらったり薬を受け取ったりしていました。

診療所によりますと、去年11月ごろはインフルエンザの予防接種のため受診する患者が増えたということですが、地域の人の健康状態に大きな悪化はみられないということです。

台風のあとから診療所を受診するようになった74歳の女性は「町の中心部にある病院まで行くのは、仮設の通路を歩いて車を乗り換えるので疲れます。こちらに来てくれてとても助かります」と話していました。

日原診療所の小林俊之医師は「台風後、人と交流することが減っているようなので、診療所に来て話す機会を持つことが刺激になればと思います」と話していました。