“経営者よ、立ち位置は自分で決めよ”

“経営者よ、立ち位置は自分で決めよ”
本格的に動き始めた2020年の日本経済。東京オリンピック・パラリンピックが開かれる記念すべき年、なのですが、アメリカとイランの緊張関係が一気に高まる中、7日に開かれた新年恒例の経済界のパーティでは、経営者から中東情勢への懸念の声が多く聞かれました。米中関係、イギリスのEU離脱をめぐる動きなど国際情勢の影響で不透明さも高まる日本経済。ことしの景気はどうなるのでしょうか?年初に顔をそろえた経営トップの声から、探ります。(経済部記者 林麻里代)

海外情勢に懸念高まる

経団連、日本商工会議所、経済同友会の3つの経済団体が毎年主催する「新年祝賀パーティー」。ことしもおよそ1800人の企業経営者が顔をそろえました。

NHKでは、18人の経営者にことしの景気についてインタビューしました。東京オリンピック・パラリンピックへの期待感の次に、多く聞かれたのは、海外経済への警戒感でした。

パーティーが開かれたのは、イランによるアメリカ軍の拠点への攻撃が伝えられる前日でしたが、新年早々、両国の緊張が一気に高まっていたことで、さまざまな業界のトップが懸念を示しました。
西武ホールディングス 後藤高志社長
「東京でオリンピック・パラリンピックが開催され、間違いなくいろいろな需要が喚起される。ただ一方で、先行きの景況感は盛り上がっていないうえ地政学リスクではアメリカとイランの緊張関係が極端に高まってきた」
資生堂 魚谷雅彦社長
「米中の貿易摩擦やブレグジットの問題に加えて、年初からのアメリカとイランの対立など、不透明なところが多く、それなりに厳しい環境だ」
ディー・エヌ・エー 南場智子会長
「中東の情勢など非常に不安定になっていて読みきれない年になると思う」
また、中東から原材料を輸入している化学メーカーの経営者は、早速対応を迫られていました。
三菱ケミカルホールディングス 越智仁社長
「中東はわれわれの化学産業の原料のベースになっている。常に緊張が高まっている状態というのはわれわれにとっては大きく影響してくるので原料の調達先の多様化などいろいろと対応を考えないといけない」
中東情勢の緊迫化で、8日の日経平均株価は、一時、600円を超える値下がりとなりました。株安に加えて、原油高、円高への懸念と、経営者としては緊張感の高い新年のスタートとなっているようです。

“立ち位置は自分で決めよ”

緊張が高まるアメリカとイランだけでなく、海外では、米中の対立の長期化やイギリスのEU離脱をめぐる混迷など、ことしも不透明な状況が続きます。

こうした中、日本としてはどう対応すべきなのか。私は日本商工会議所の三村会頭の発言に注目しました。三村会頭はパーティーの後の記者会見で、こう強調しました。
日本商工会議所 三村会頭
「現在のトランプ大統領のアメリカファーストという言動については全面的に賛成することはできない。一方で、中国はマーケットとしては魅力的だが、東シナ海などで展開される安全保障の考え方についても賛成できない。私たちは、他動的ではなく、一つ一つの案件ごとに、自分たちの立ち位置は自分たちで決めるという時代に入ったのだ」
一歩先の予測もつかない中、「これが正解だ」という誰もが安心できる答えはなく、みずから状況を判断して、行動すべきだというのです。

ことしはおよそ半世紀ぶりに東京でオリンピックが開催される年ですが、経営者には、ビジネスチャンスをつかむ手腕もさることながら、不透明な時代を読み解く冷静な戦略も求められているのかもしれません。
経済部記者
林麻里代
平成7年入局
流通業界や情報通信などの取材を経て
現在は経団連など経済団体の取材を担当