ゴーン被告出国 検察が異例コメント「正当化の余地ない」

ゴーン被告出国 検察が異例コメント「正当化の余地ない」
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中東のレバノンに出国した日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン被告について、東京地方検察庁は5日、「国外への逃亡は我が国の司法手続きをことさらに無視し、犯罪に当たり得る行為で正当化される余地はない」などと厳しく批判するコメントを出しました。検察が捜査中の事件の被告についてコメントを出すのは極めて異例で、迅速に捜査を行い元会長の逃亡の経緯を明らかにするとしています。
海外への渡航が禁じられていた日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告(65)は先月30日、中東のレバノンに入国し、東京地方検察庁などは不正な手段で出国したとして出入国管理法違反の疑いで捜査しています。

これについて東京地検の齋藤隆博次席検事は5日コメントを発表し、「ゴーン被告が、正規の手続きを経ないで出国し逃亡したことは我が国の司法手続きをことさらに無視したもので犯罪に当たり得る行為だ。必ず出頭するとの誓約を破り、みずからの犯罪に対する刑罰から逃れようとしたにすぎず、その行為が正当化される余地はない」と元会長を厳しく批判しました。

ゴーン元会長は出国後に「有罪が前提とされ、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなる」などとする声明を発表しましたが、齋藤次席検事は「我が国ではすべての被告に公平な裁判所による迅速な公開裁判を受ける権利を保障している。検察は公平かつ適正な刑事裁判を実現すべく法の手続きに基づいて公判活動を行ってきておりゴーン被告の権利が十分に保障されていたことは明らかだ」と主張しています。

検察が捜査中の事件の被告についてコメントを出すのは極めて異例で、関係機関と連携して迅速に捜査を行い元会長の逃亡の経緯を明らかにするとしています。

東京地検コメント全文

東京地方検察庁の齋藤隆博次席検事が出した「ゴーン被告の国外逃亡について」というコメントの全文です。(以下、コメント全文)

今般、被告人カルロス・ゴーン・ビシャラが、保釈の指定条件として、逃げ隠れしてはならない、海外渡航をしてはならないと定められていたにもかかわらず、正規の手続きを経ないで出国し、逃亡したことは、我が国の司法手続きを殊更に無視したものであるとともに、犯罪に当たり得る行為であって、誠に遺憾である。

我が国の憲法及び刑事訴訟法においては、例えば被疑者の勾留は、厳格な司法審査を経て法定の期間に限って許されるなど、個人の基本的人権を保障しつつ、事案の真相を明らかにするために、適正な手続きが定められている。

また、我が国においては、全ての被告人に、公平な裁判所による迅速な公開裁判を受ける権利を保障しており、検察官によって有罪であることにつき合理的な疑いをいれない程度の立証がなされない限り、被告人を有罪としてはならないこととされている。

そして、検察においても、法廷において合理的な疑いを超えて立証できると判断した場合に限り、被疑者を起訴している。

その結果として、我が国においては、有罪率が高くなってはいるものの、裁判所は、被告人側にも十分な主張立証をさせた上で、独立した立場から、公判に提出された証拠に基づき、合理的な疑いを超えて有罪が立証されたかを厳密に判断しており、公正な裁判が行われていることに疑いはないと確信している。

本件において、検察は、法に定められた適正手続を厳格に履行し、被告人ゴーンの権利を十分に保障しつつ、捜査・公判手続を進めてきたものである。

被告人ゴーンは、豊富な資金力と多数の海外拠点を持ち、逃亡が容易であったこと、国内外で多様な人脈と大きな影響力を持ち、事件関係者などに働きかけ、罪証隠滅する現実的な危険性があったこと、裁判官、裁判所も保釈に関する決定中で認定しているとおり、当初の勾留期間中に妻などを介して事件関係者に対する働きかけを企図していたことから、公正かつ適正に刑事手続を進める上で、被告人ゴーンを勾留することは必要やむを得ないものであった。

かかる事情が存在したにもかかわらず、被告人ゴーンは、公判審理に向けた主張と証拠の整理を適切かつ円滑に行うためには、弁護人らとの間で十分な打合わせの機会を設ける必要性が高いなどの理由で保釈を許可され、昨年4月25日に保釈された後は、弁護人らと自由に連絡し、公判準備を行うことが可能な状態であったことに加え、検察は、公正かつ適正な刑事裁判を実現すべく、法に定められた手続に基づき、被告人ゴーンの弁護人に証拠を開示するなどの公判活動を行ってきており、被告人の権利が十分保障されていたことは明らかである。

このような状況の下で、被告人ゴーンが、必ず出頭するとの誓約を自ら破り、国外に逃亡したのは、我が国の裁判所による審判に服することを嫌い、自らの犯罪に対する刑罰から逃れようとしたというにすぎず、その行為が正当化される余地はない。

検察においては、関係機関と連携して、迅速かつ適正に捜査を行い、被告人ゴーンの逃亡の経緯等を明らかにし、適切に対処する所存である。