お札に落書き…どうすれば?

お札に落書き…どうすれば?
皆さんの中で、こんな経験をした方はいませんか?
「教科書に掲載されている偉人の顔に落書きしたこと」。
あるある!と思った方も少なからずいることでしょう。
でも、これが教科書ではなく、紙幣=お金だったらどうでしょう?
「そもそも使えなくなる?」「手元に来たらどうすればいいの?」
そんな疑問に答えるべく、取材してみました。
(ネットワーク報道部記者 郡義之 斉藤直哉)

ん?なんだこのお札

“事件” は今月19日に起きました。
舞台は札幌市東区の美容室です。

男性客が代金を支払った直後のことでした。
「ん?何これ?」

千円札を受け取った男性店主は目を丸くしました。紙幣に描かれている野口英世の下に何か書かれています。
よく見ると「世界のナベアツ」の文字。
店側は当惑しつつも、とりあえず代金として受け取ったと言います。

店主の大野恵一さんによると、その千円札は男性客がATMで引き出した、しわ一つない新札に書かれていたそうで、「もちろん初めてのことで、銀行に入金しても受け入れてもらえるのかと思って悩みました」と話します。

妻に話したところ、実は妻の知人も落書きされた紙幣を持っていたことが分かりました。
そこには野口英世の文字の隣に「野口五郎」と書かれてあったそうです。

「近く、銀行に入金しようかと思いますが、なかなか貴重なので手元に置いておこうかとも思っています」と大野さんは話しています。

落書き、わたしも見つけました

実はこうした落書きされた紙幣、大野さんのようなケース以外でもいくつかある事が分かりました。
ネットの書き込み
「お金下ろしたら訳わからんハンコ押された千円札大量に出てきた」
「郵便のATMでおろした千円札 なんじゃこりゃーー!!まさか偽札じゃないよね??」
「お金おろしたらお札全部に『世界のナベアツ』ってハンコ押されてて笑いを抑えきれなかったw」
さらに、こんな疑問も。
ネットの書き込み
「今ATMで金下ろしたらすげー落書きされた千円札出てきたんだけど交換出来んのこれ?」
「お札に落書きしていいんだっけ」
その一方で、批判の声も出ています。
ネットの書き込み
「こういうことお金にやらないでって思うのです。接客業でこのお札受け取るけど、これお釣りとして使えないんですよ。受け取ることによって嫌な気持ちをするお客様がいるかもしれないお札は使えないんだから」
「こんなの渡されるのも嫌だし渡すのも嫌」
「お札に落書きするなんて罰当たりもいいところ」

落書きはトラブルの原因にも

紙幣に落書きすると、どんな問題があるのでしょうか。
紙幣を発行する日本銀行(日銀)に聞くと、落書きがあると偽札と見分けがつきにくくなり、紙幣の流通に支障が出るおそれがあるということです。
また、ATMの製造を手がける大手メーカーに聞くと、落書きがあっても紙幣の検知に支障がない範囲の書き込みであれば識別が可能ですが、場合によっては読み取りができないなどトラブルの原因になるということです。
日銀発券局は「みんなで使うお金なので大切にきれいに扱ってほしい」と話しています。

トラブルの元になりかねない落書きされた紙幣。
いったいどれくらい流通しているのでしょうか。

日銀によりますと、古くなったり破れたりして破棄される紙幣は昨年度1年間で26億1000万枚に上っていて、このうち落書きされた紙幣も含まれているとみられますが、正確な数は分からないということです。

落書き紙幣 交換してもらえる?

落書きされた紙幣をもし見つけたらどうすればいいのでしょうか。

日銀に聞いたところ、東京 日本橋にある日銀本店のほか、各地の日銀支店の窓口で交換に応じているということです。

でも「自宅や会社の近くにない」という人もいますよね。
一般の銀行などはどのように対応しているのでしょうか。
複数の大手金融機関に尋ねたところ、落書きされた紙幣の取り扱いについてはっきりとした基準はないそうです。
ただ、一部の金融機関は「破損した紙幣」とみなして、窓口で交換に応じるケースもあるとしています。

別の金融機関の担当者は、落書きされた紙幣が持ち込まれたケースはほとんどないとしたうえで、「仮に持ち込まれたとしても、その場で判断することは難しく、本店や日銀に判断してもらうため、多少時間がかかる」と話しています。

ちなみに、落書きはないものの、何らかの理由で紙幣が破れてしまった場合はどうなるのでしょうか。

日銀によると、新しい紙幣と引き換えてくれるそうです。
ただし、条件があります。
▽破れて手元に残っている面積が3分の2以上の場合は全額、
▽5分の2以上~3分の2未満の場合は半額、で引き換えています。

お札も “みんなのもの”

落書きされた紙幣、実際に手にしたら皆さんはどう感じますか?

「落書きは罪に問われるおそれがあるのか?」と財務省に尋ねたところ、「個別の事案ごとに司法の場において判断されるため、一概にお答えすることはできません」とのことでした。

とはいえ、紙幣も公園の遊具や電車の座席などと同じ立派な公共物、みんなのものです。

わざと汚すと、思わぬトラブルにつながりかねないことを、心にとめておく必要があると思います。