デビュー前から大人気!期待の星「ALFAーX」って?

デビュー前から大人気!期待の星「ALFAーX」って?
まもなく年末年始の帰省ラッシュ。西へ東へと多くの人が大移動を繰り広げる季節がやってきます。

「車内も混雑するし、どうせ帰るなら、びゅーっと短時間で帰りたい」

そんなことを思う人も少なくないはず。でも実は、そんな気持ちに応えるべく、今、新たな新幹線が開発されているんです。「おっ」と思ったそこのあなた。そんな“次世代”の新幹線の一端をのぞいてみませんか。
(社会部記者 都築孝明/ネットワーク報道部記者 郡義之)

長すぎる“鼻”

次世代型新幹線の試験車「ALFAーX(アルファエックス)」。JR東日本が2030年度までの完成を目指し約100億円をかけて開発した試験車両です。記者はその車両を見に行くべく、工場がある山口県へと向かいました。
もともと鉄道ファンではない記者でも、次世代型と聞けば、少し気持ちも高まります。担当者に案内され、まず目に飛び込んできたのは、何とも不思議な形の車両です。なんと言っても、いちばんの特徴が、そのすらっと伸びる長い鼻。車両の長さ25メートルのうち、鼻に当たる部分がなんと22メートル。実に8割以上を占めます。

これまで、JR東日本管内を走る新幹線では「はやぶさ」や「こまち」のように“長い鼻”を持つ車両が走っていることは知っていましたが、これだけ長い鼻を持つ車両は初めて見ました。でも、そもそもの疑問。なんでこんなに鼻が長いわけ?

鼻が長いその理由とは…

「それは、トンネルでの騒音対策なんですよ」

私の疑問に答えてくれたのは、JR東日本の広報担当者です。JR東日本によると、今、同社管内で走る新幹線の最高時速は320キロ。それを、「ALFAーX」の導入でさらに40キロアップの360キロにしようというのです。

「私たちはその問題を解決するために、いろいろ工夫したんですよ」(広報)
こだわりその1
新幹線がどんどん高速化していくと、実はどんどん大きくなるものがあります。それが騒音です。一般的に列車がトンネルに入ると、トンネルの中にある空気が圧縮されて反対側の出口付近で大きな音となって響かせるため、沿線周辺への配慮が必要になってくるのです。んー、わかったようなわかんないような…。簡単にいうと、昔、子どものころに遊んだ空気鉄砲のような感じなんだとか。確かに、筒の両端にゴム製の玉を詰め、押し棒で突くと、ポンという音がなりますよね。だから、車両の先端を“長い鼻”にすれば、空気の圧縮がゆるやかになり、大きな音も出にくいというのです。
こだわりその2
これだけ速く走ると、1つ気になることが…。「速いのはいいけど、何か異常事態が起きたらどうするの?」 これにも、JR東日本のこだわりが。実は、車両の屋根に“秘密兵器”があるんです。それが「空力抵抗板ユニット」!高速で走る車両に万が一の事態が起きた場合、1車両につき14個の突起物を使い、空気抵抗で少しでも早く速度を落とすことができるようになっています。

高速化したいそのわけって?

JR東日本が、これほどまでに高速化を目指す背景には、理由があります。それが飛行機との競争です。東京~札幌間の移動は、ほとんどの人が飛行機。利用者は国内線で最も多い約905万人にのぼっています。

これに対し、新幹線では、終点の新函館北斗駅から特急などを乗り継いで約8時間。このため速度アップが欠かせないというのです。鉄道業界では「4時間の壁」と呼ばれることばがあるといいます。乗車時間が4時間までであれば新幹線。それ以上になると、利用者は飛行機に流れるとされています。

かつて、東北新幹線や上越新幹線の開業で新幹線が航空路線のシェアを奪ったほか、4年前に開業した北陸新幹線は、約5時間だった東京~金沢間の鉄道の所要時間をほぼ半分に縮め、新幹線と飛行機のシェアが逆転したこともあり、東京~札幌間でも期待が高まっているのです。

ただ現在、320キロで走行している区間は東北新幹線の宇都宮~盛岡の間だけ。それより北の盛岡~新函館北斗間については、国の法律で最高速度が260キロと決まっており、簡単に速度を引き上げることができないのです。JR東日本では、最高速度を320キロに引き上げることも視野に国と協議するなどし検討を進めているとのこと。実現すれば、東京~札幌間で4時間半も夢じゃないというのですから驚きです。

JR東日本 新幹線の歴史

ところで、ちょっとブレイク。東日本で走る新幹線の歴史を振り返ると、実にさまざまな車両が登場しました。ちょっとその主な雄姿を見ていきます。
200系
国鉄時代、昭和57年の東北・上越新幹線開業と同時に登場した200系。雪国を走る新幹線らしく、先頭車両には“スノープラウ”と呼ばれる排雪板を取り付けているのが特徴で、後継車両にも付いています。開業当初の最高時速は210キロでした。
E1系
平成6年に、新幹線としては初の2階建て車両。東北新幹線や上越新幹線に投入され、この頃の最高時速は240キロになりました。
E5系
高速化を目指して開発。平成23年に東北新幹線に導入され、その2年後の平成25年には、国内の鉄道としては最速の最高時速320キロでの運転が行われました。
E7系・W7系
平成27年に北陸新幹線の長野~金沢間での延伸開業に伴い、260キロで走行するために導入された車両でJR東日本のE7系とJR西日本のW7系で、構造や性能、それにデザインはほぼ同じです。

子どもにも大人気

実はこの「ALFA―X」、開発段階にもかかわらず、子どもたちにも大人気。すでに、おもちゃの電車として今月発売される予定です。製造・販売を手がける大手玩具メーカーによると、本物の車両完成前から「ALFA-X」の研究・開発チームも交えて企画検討を進めてきたとのこと。特徴的な長い鼻や、あの秘密兵器、「空力抵抗板ユニット」など、細部にこだわりも見られます。
さらに、今月上映される子どもたちに人気のアニメ劇場版「新幹線変形ロボ シンカリオン」にまで登場するとのことで、子どもたちの注目はうなぎ登りです。
ネット上でも「めちゃくちゃカッコいい!!!」「息子の欲しがっているALFAーX!お年玉で買えるかな」という声も見られ、もはやアイドル並みの注目ぶり。

ただ、次世代新幹線の実用化はまだまだ先の話。それでもこれだけ注目を集めていることについて玩具メーカーの手塚友浩さんは「デザインのインパクトがあり、子どもたちから人気が出る要素が詰まっていたので、見た時から作るしかないと思いました」と話していました。

専門家もとりこです

こんなにも試験車両が注目されることを、専門家はどう見ているのでしょう。
鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん(以前からALFAーXに注目)
「今の新幹線に比べて、ALFAーXには、さらなる速さと安全性が兼ね備えられた車両だと言えます。さらに、開発段階のため、車両がたくさんあるわけではないのでそうした希少性も手伝って、人気が出ているのではないでしょうか」
そんな梅原さんも最近、ALFAーXの写真を撮るなど、新型車両にハマっている1人なんだとか。

期待せずにはいられない

JR東日本によると、ALFA-Xは、3年後の2022年3月まで走行試験を行い、デビューに向けて準備を進めるということです。いかがでしたか?新型新幹線の登場まではまだ先ですが、こうしてかいま見ただけでもわくわくしてきませんか?新型車両が登場すると、いつもの帰省で見る車窓の景色もまた一層、目新しいものになるのかもしれませんよ。
社会部記者
都築孝明
平成16年入局 北九州局 札幌局を経て社会部 その後、甲府局へ赴任し平成30年7月から社会部で国交省担当として鉄道などを取材 趣味は2歳の長男と鉄道車両を見学すること
ネットワーク報道部記者
郡義之
新聞社勤務を経て平成22年入局 前橋局、釧路局を経て現職 子どもの頃から鉄道が好きで、発車メロディーや車内チャイムがお気に入り
「九州新幹線の車内チャイム最高です」