日産 内田新社長「ルノーと経営統合の議論はしていない」

日産 内田新社長「ルノーと経営統合の議論はしていない」
日産自動車の新しい社長に就任した内田誠氏が2日、初めて記者会見し、ルノーとの関係について、経営統合の議論はしていないとしたうえで、双方の利益になるような形で関係を強化していく考えを示しました。
1日付けで日産自動車の新しい社長に就任した、内田誠氏は2日夕方、横浜市の本社で初めて記者会見しました。

内田社長は冒頭、ゴーン元会長の事件以降の会社の混乱を厳粛に受け止めるとしたうえで「私が大事にしているのは尊重、透明性、信頼の3つのことばだ。役員、従業員全体がワンチームとして取り組む風土を醸成し、透明性の高い業務運営を行っていきたい」と述べました。

そしてゴーン元会長の事件のあと、ルノーが日産に対して経営統合を求めるなどして関係がぎくしゃくしてきたことについては「ルノーのスナール会長らとは経営統合といった話は全くしていない」と述べました。

また、「ルノーとは、ウィン・ウィンの原則のもと、双方のメリットを追求しながら協力関係を深めた結果、日産はここまで成長できた。今後もこの原則にしたがって、会社の独立性を保持しながら活動を進めていきたいと考えている」と述べ、お互いの独立性を重視しつつ、双方の利益になるように関係を強化していく考えを示しました。

さらに内田社長は、低迷する業績について「信頼回復とともに業績の立て直しにも対処しなければならない。前の経営陣が築いてきた基礎を実行し、形にしていく」と述べ、アメリカ市場の立て直しや新車の投入による販売のてこ入れなどに、全力を挙げる考えを示しました。

指名委員会委員長「内田氏は海外経験豊富なリーダー」

内田誠氏は53歳。同志社大学の神学部を卒業後、1991年に当時の日商岩井に入社しました。

子どものころは、父親の仕事の都合で、エジプトとマレーシアで過ごしたほか、商社時代にはフィリピンに駐在した経験があり、英語が堪能だということです。フィリピンに駐在した当時は、タガログ語を勉強し、現地の人たちとコミュニケーションを取っていたとしています。

そうした経験も踏まえて、内田氏は記者会見で「いろんな環境において順応性を持って対応できることが私の強みだと思っている」と述べました。

2003年に日産自動車に入った内田氏は2016年には日産・ルノー連合の購買を担当する常務執行役員に昇格。去年からは専務執行役員として世界最大の市場の中国の合弁会社、東風自動車の総裁を務めました。

西川廣人前社長が不透明な報酬の問題を受けてことし9月に辞任したあと、社外取締役らでつくる指名委員会で新しい経営トップの人選が進められ、1日付けで、社長兼CEO=最高経営責任者に就任しました。

内田氏は、世界160以上の国や地域で事業を展開し、従業員13万8000人余りの日産を率いることになります。

指名委員会の豊田正和委員長は10月、内田氏を選んだ理由について「海外経験が豊富で、多彩な経験をもっていて、今のような難しい時期のリーダーとしてふさわしいと思う。今の最大の課題はスピードアップだが、内田氏も決断のスピードアップが大事だと言っていて、全員一致で内田氏にお願いしようということになった」と話していました。

グプタ新COO 業績を着実に回復させたい

日産自動車の新しいCOO=最高執行責任者に就任したアシュワニ・グプタ氏はインド出身の49歳。フランスのビジネススクールを出たあと、1996年にホンダに入り、日本でも勤務しました。

2006年にフランスのルノーに入社し、購買担当として実績を積んだあと、おととしからは日産・ルノー連合の小型商用車事業の責任者を務めました。

ことし4月からは提携関係にある三菱自動車工業のCOOを務めていました。

グプタ氏は多くの自動車メーカーで経験を重ね、国内外の自動車通として知られます。

グプタ氏は流ちょうな日本語で、みずからが27年間、国内外の自動車メーカーでデザインや生産、販売に携わってきたとしたうえで「自動車業界を取り巻く環境は大きく、速く変化し、世界経済も厳しさを増している」と述べました。

そして「台数を追ってインセンティブ=販売促進費に頼った販売は行わず、販売の質の向上に努めてまいりたい。2020年以降は日産の魅力を満載した新車を投入し、そのために今は大切な仕込み時期となる。そのことを肝に銘じて事業運営に取り組んでいきたい」と述べ、業績を着実に回復させたいという考えを示しました。

さらにグプタ氏は「変化する自動車業界のトレンドに乗り遅れないよう素早くはっきりと意思決定を行い、社員のポテンシャルを最大限に引き出すことが私の最初の仕事であり、業績回復への近道だと考えている」と述べました。

業績の回復

日産自動車の新たな経営体制は多くの課題に取り組む必要に迫られています。喫緊の課題が低迷が続く業績の回復です。

日産は世界的に販売の不振が続き、ことし9月までの中間決算では営業利益が85%もの大幅な減益になりました。

世界の従業員全体のおよそ10%にあたる1万2500人規模を削減するなど、ゴーン元会長時代の拡大路線を見直していますが、他社に比べて遅れている新車の投入や、値引きに頼ってきたアメリカ市場での販売方法の見直しなども同時に進めていく必要があります。

ルノーとの関係

また連合を組むルノーとの関係では、ゴーン元会長の事件以降、ルノーが求める経営統合に日産が強く反発するなど、対立が続いてきただけに、新たな関係をどう構築するかも課題です。

経営の透明性

さらに一連の事件を受けて取り組んでいる経営の透明性を高めるためのガバナンス改革も道半ばです。

ことし6月に取締役会の半数以上を社外取締役にし、社外取締役を中心に人事や報酬などを決める「指名委員会等設置会社」に移行しましたが、経営のチェック機能を十分に果たしていけるかはこれからの取り組みにかかっているからです。

このほか日産はゴーン元会長に対する損害賠償請求も検討しています。

CASEへの対応

自動車業界は今、「100年に1度の変革期」を迎えていると言われています。

この変革とはつながることを意味する「コネクテッド」、自動運転の「オートノマス」、「シェアリング」、それに電動化の「エレクトリック」で、頭文字をとってCASEとも呼ばれています。

この分野には自動車メーカーのみならず、アメリカのIT企業のグーグルやアップルといった新たなライバルも参入していて競争が激しくなっていますが、日産はゴーン元会長の事件のあと、内部の混乱への対応に時間を取られてきました。

それだけに新たな経営体制が差し迫った課題に手腕を発揮できるか、早速問われることになります。