東京五輪・パラへ 国立競技場が完成 本体工事の着工から3年

東京五輪・パラへ 国立競技場が完成 本体工事の着工から3年
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来年の東京オリンピックとパラリンピックのメインスタジアムとなる、新しい国立競技場が30日、完成しました。
新しい国立競技場は、今月中旬にすべての工事を終えた後、検査が行われてきましたが、本体工事の着工から3年で、30日正午に完成しました。

外周に47都道府県の木材を使った「軒庇」を取り付けるなど、伝統的な日本建築の技法を取り入れたデザインが特徴で、神宮外苑の緑との調和を意識した「杜のスタジアム」と紹介されています。

スタンドはすり鉢状で3層に分かれ、およそ6万席の観客席の上には木のぬくもりを感じられるようにと設計された、長さおよそ60メートルの大きな屋根がせり出しています。

来年の東京オリンピックとパラリンピックではメインスタジアムとして開閉会式と陸上競技などが行われます。

国立競技場は費用が膨れ上がるなどした当初の整備計画が白紙撤回され、新たな計画のもと改築が進められ、競技場本体などの工事費は政府が決めた上限の範囲内の1529億円となりました。

国立競技場では来月中旬にしゅんこう式、21日には一般に完成を披露するイベントが予定されていて、来年の元日には最初のスポーツイベントとしてサッカー天皇杯の決勝が行われる予定です。

国立競技場の概要

国立競技場は、東京都新宿区が所在地で、高さおよそ47メートルの地上5階、地下2階、大きさは南北方向におよそ350メートル、東西におよそ260メートルあり、建物自体の建築面積は、旧競技場の2倍のおよそ6万9600平方メートルです。

観客席およそ6万席のうち、車いす席がおよそ500席となっています。
フィールドは天然芝で、全天候型の400メートルトラックが9レーンあります。

暑さ対策としてはミストによる冷却設備が8か所、3層からなるスタンドの1層と2層の観客席に向けた送風機が185台、設置されるなどしています。

来年の元日 サッカー天皇杯決勝

国立競技場では来月中旬にしゅんこう式が行われたあと、21日には一般向けに完成を披露するイベントが行われ、この中では、陸上の桐生祥秀選手やウサイン・ボルトさんら、国内外のオリンピックやパラリンピックのメダリストなどが参加してリレー対決が行われる予定です。

そして来年の元日には、最初のスポーツイベントとしてサッカー天皇杯・全日本選手権の決勝が行われるほか、1月11日にはラグビーの全国大学選手権の決勝が行われることが決まっています。

また、5月には人気アイドルグループのコンサートも予定されています。

そして、東京オリンピックでは7月24日の開会式と8月9日の閉会式、それに陸上競技とサッカー女子の決勝が行われます。

東京パラリンピックでは8月25日の開会式と9月6日の閉会式、それに陸上競技が行われます。

これまでの経緯

国立競技場の整備計画は、JSC=日本スポーツ振興センターが事業主体となって行われ、当初、イラク出身の女性建築家がデザインした作品が採用されました。

斬新なデザインが売りだったものの、費用が膨れあがったことや意志決定の不透明さに批判が集まり、2015年7月に白紙撤回されました。

そして、新たな整備計画の取りまとめが進められ、競技場本体などの工事費の上限を1550億円とすることや、世界的な建築家の隈研吾さんと大成建設それに梓設計で作るグループが設計と施工を行うことが決まりました。

本体工事は白紙撤回前の計画より1年2か月遅れて2016年12月に始まり、最も多い時期で1日当たりおよそ2800人が作業にあたり、整備が進められてきました。この中では、働いていた男性が自殺し、極度の残業での過労が原因だったとして労災に認定され、現場に医師を配置したり作業員のストレスチェックを促したりして健康管理の徹底が図られる事態にもなりました。

本体工事の3年間で従事した作業員の数は累計でおよそ150万人に上ったということです。

工事費は、政府が決めた上限の範囲内に収まる1529億円となり、設計などを含めた整備費でも上限の1590億円より少ない1569億円となりました。

球技専用化は事実上変更

国立競技場の東京オリンピックとパラリンピック後の利用方法は明確ではありません。

大会後の利用について、おととし11月、政府の関係閣僚会議は陸上トラックの部分に観客席を増設して8万人を収容できる球技専用のスタジアムに改修するほか、民間事業化してコンサートなどを開催して収益性を高めることなどを盛り込んだ基本的な考え方を了承しました。

しかし、関係者によりますと、球技専用への改修には少なくとも数十億円の費用がかかる見通しであることや、コンサートを開くためにステージをフィールドに置くと芝が大きく痛むなど、問題が多いことが分かってきたということです。

こうしたことを受け、競技場を球技専用のスタジアムにする方針を事実上変更し、陸上トラックを残す方向になっているということです。

また競技場の民間事業化に向けた計画をことしの半ばをめどに取りまとめる方針になっていましたが、東京大会の警備上の理由で競技場の詳細な図面を民間業者に示すことができないことなどから、大会後に先送りされています。
国立競技場の整備の事業主体、JSC=日本スポーツ振興センターの大東和美理事長は「新しい国立競技場は、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、『アスリートファースト』、『世界最高のユニバーサルデザイン』、『周辺環境等との調和や日本らしさ』をコンセプトとして、整備を進めてきました。東京大会、そしてその先を見据え、我が国のスポーツ界のさらなる発展に貢献するとともに、国民に開かれた親しみやすいスタジアムとなるよう、誠心誠意努めていきます」との談話を発表しました。