子どもの貧困対策 実態把握に新指標を追加 新大綱を閣議決定

子どもの貧困対策 実態把握に新指標を追加 新大綱を閣議決定
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子どもの貧困対策で、政府は、実態をより詳しく把握するため、食料や衣服に困った経験や公共料金の滞納経験がある世帯の割合など、生活に即した指標を新たに加えて分析を進め、切れ目ない支援に取り組むなどとした、新たな大綱を閣議決定しました。
平成26年に決定された「子供の貧困対策に関する大綱」は、5年ごとに見直すことになっていて、政府は、29日の閣議で新たな大綱を決定しました。

それによりますと、子どもの貧困の実態をより詳しく把握するため、幅広い視点から分析する必要があると指摘しています。

そして、子どもの貧困率などの従来の指標に加えて、新たに、食料や衣服に困った経験のある世帯の割合や、電気やガスなどの公共料金を滞納した経験がある世帯の割合、それに重要な相談や金銭の援助などで頼れる人がいないと答えた人の割合など、生活に即した指標を設定するとしています。

そのうえで、生活の改善に向けて、幼児教育の無償化や、低所得世帯を対象とした高等教育の無償化を着実に進めることや、妊娠・出産の段階から子どもが学校を卒業して就職するまで切れ目なく支援できるよう、相談体制を充実させることなどが盛り込まれています。

閣議に先立って開かれた対策会議で、安倍総理大臣は、「子どもの貧困対策は、未来を担う子どもたちへの投資だ。これからも手を緩めることなく、新たな対策を力強く推進していく。関係大臣は引き続き、施策の実施状況などを検証、評価しながら、一丸となって対策に取り組んでもらいたい」と述べました。

1人親世帯の貧困率は半数超

厚生労働省によりますと、貧困状態にある17歳以下の子どもの割合を示した「子どもの貧困率」は、平成27年の時点で13.9%と推計されています。

調査開始以来、最も高かった平成24年の16.3%に比べ、2ポイント余り改善しましたが、OECD=経済協力開発機構が平成25年に公表した36か国の平均を上回っています。

中でも、母子家庭など、1人親世帯の貧困率は50.8%と半数を超えていて、1人親世帯の生活が苦しくなっている実態が浮き彫りになっています。

「未来担う子どもたちへの投資」官房長官

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で「誰もが夢に向かって頑張る社会をつくることは安倍内閣の基本方針で、これまでも幼児教育、保育の無償化などさまざまな支援の充実を実現してきた。こうした中で安倍政権になり、子どもの相対的貧困率は低下している」と述べました。

そのうえで「子どもの貧困対策は未来を担う子どもたちへの投資だ。新たな大綱に基づき、貧困の実態をより多面的に把握するため、指標を拡充するとともに教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の各分野で施策を充実することとしている。地方自治体とも連携し、実施状況などをしっかり検証、評価しながら政府一丸となって取り組んでいきたい」と述べました。

専門家「具体的な削減目標入らなかったの残念」

子どもたちの学習支援に取り組むNPO法人「キッズドア」の理事長で、政府の有識者会議のメンバーとして大綱づくりにも関わった渡辺由美子さんは、貧困の実態を網羅的に把握する指標が設定されたことを評価したうえで、「子どもの相対的貧困率の具体的な削減目標が入らなかったのは残念だ。また対策として示された教育の無償化や切れ目のない支援についても税の再分配に関する議論が出ている今だからこそ予算の枠組みを示すなどもう少し踏み込めたらよかったと思う」と話していました。