安倍首相 在任期間 通算2886日 歴代最長に並ぶ

安倍首相 在任期間 通算2886日 歴代最長に並ぶ
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安倍総理大臣の在任期間は、19日で通算2886日となり、歴代最長の桂太郎 元総理大臣と並びました。
安倍総理大臣の在任期間は19日で第一次政権と合わせて通算で2886日となり、歴代最長の桂太郎 元総理大臣と並びました。

菅官房長官は18日、長期政権となった要因について、「政権発足以来、経済最優先を掲げ、金融政策や財政政策、地方創生などを実行に移し、成果をあげてきたことが大きい」と指摘しました。

安倍総理大臣の在任期間は20日、桂氏を抜いて、憲政史上最長となります。

自民党総裁としての任期は2021年9月末までで、残された任期で、憲法改正の実現を目指すとともに経済の再生や全世代型社会保障の実現、それに、北朝鮮による拉致問題や、ロシアとの平和条約交渉で道筋をつけたい考えです。

安倍内閣 2つの新組織

安倍総理大臣は第二次政権発足後、省庁の縦割りを排除し、政治主導の意思決定を進めるとして内閣に2つの組織を新設しました。

外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議=NSC」と、中央省庁の幹部人事を一元的に管理する「内閣人事局」です。

1:国家安全保障会議

「国家安全保障会議」は中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発など安全保障環境の変化に加え、大規模災害やテロなどに総理大臣官邸の主導で迅速に対応できる体制が必要だとしてアメリカのNSCをモデルに、平成25年12月に設置されました。

総理大臣を議長に、外務大臣、防衛大臣、官房長官の4人がメンバーの「4大臣会合」、国家公安委員長や国土交通大臣らを加えた「9大臣会合」などで対応を協議するとともに意思決定を行います。

会合は、定例のものだけでなく、北朝鮮による弾道ミサイルの発射や、海外での大規模なテロ事件などの際に開かれていて、これまでに200回余りに上っています。

会議を支える事務局として、内閣官房に「国家安全保障局」が置かれ、外務省、防衛省、警察庁などの職員をはじめおよそ80人が各省庁の情報を集約して、分析を進めています。

初代局長には外務省出身の谷内正太郎氏が就任しました。

現在の局長は警察庁出身で内閣情報官を務めていた北村滋氏です。

2:内閣人事局

「内閣人事局」は、中央省庁の事務次官など、およそ700人の幹部職員の人事を一元的に管理することを目的に、平成26年5月に設置されました。

幹部職員の人事は、それまで各省庁が主導して行っていましたが、現在は、官房長官が作成する候補者の名簿をもとに、各大臣が人事案を検討し、総理大臣や官房長官と協議して決定されています。

また、人事院や総務省が担ってきた、国家公務員の採用試験の一部や各行政機関の定員管理などの業務も内閣人事局に移されました。

このほか、第二次安倍政権以降では、サイバー攻撃に対する情報収集や分析、不正アクセスの監視などに取り組む、「内閣サイバーセキュリティセンター」なども設けられました。

安倍総理の目玉政策

安倍総理大臣は、第二次政権発足後、「目玉政策」として次のような取り組みを進めてきました。

アベノミクス

経済政策「アベノミクス」は、デフレからの脱却を目指して、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3つを「三本の矢」に掲げています。

特に、日銀による“異次元”の金融緩和は、円安・株高をもたらし、輸出企業を中心に業績の改善が進み、昨年度の企業収益はおよそ84兆円と過去最高となりました。

また、名目GDPも過去最高の水準となっているほか就業者数も6年連続で増えるなど各種の指標が改善し、政府はことし1月、第二次安倍政権の発足以降の景気回復期間は、「戦後最長になったとみられる」と発表しました。

一方、目標としてきた「2%の物価上昇率」は達成できておらず、日銀の最新の見通しでは、再来年度の時点でも、1.5%にとどまるとされています。

賃金が期待どおりに上がっておらず企業の内部留保が増え続けているという指摘もあり賃上げや成長分野への投資をしやすくする環境の整備などを通じて、「経済の好循環」を実現できるかが課題となっています。

全世代型社会保障

ことし秋から議論を本格化させているのが、「全世代型社会保障制度の実現」です。

9月には、みずからがトップを務め、関係閣僚や有識者がメンバーの「全世代型社会保障検討会議」を設けました。

会議では、希望すれば70歳まで働ける就業機会の確保や、年金受給開始年齢の選択肢の拡大、健康寿命を延ばすための病気や介護の予防、いわゆる「就職氷河期」世代などの低年金対策として、パートで働く人などへの厚生年金の適用拡大などについて議論が行われる見通しです。

会議は、年末に中間報告、来年夏までに最終報告をまとめることにしていて、給付と負担の見直しを含めた抜本的な改革の議論に踏み込めるのかが焦点となっています。

地方創生

人口減少などの課題に直面する地方の活性化を目指すのが「地方創生」です。

地域を限定して大胆な規制改革などを行う「国家戦略特区」を創設。これまでに合わせて10の区域が指定されています。

また、東京一極集中を是正するため、東京23区から地方に移住して就職する人などを対象に、最大300万円を給付する制度などを設けました。

さらに、地方創生につながる自治体の取り組みに寄付した企業の法人税などを軽減する、「企業版ふるさと納税制度」も導入しました。

政府は、こうした取り組みで、すべての都道府県で有効求人倍率が1倍を超えるなど成果が出ているとしています。

ただ、東京一極集中は、依然解消されておらず、政府は、来年までに東京圏への人口の転入と転出を均衡させるとした目標の達成を断念しました。

今後は、地方への移住などに加え、都市部に居住しながら週末に地方で過ごす人の増加を図るとしています。

国土強じん化

自然災害が相次ぐ中、安倍政権が防災・減災のキーワードとして掲げるのが、「国土強じん化」です。

平成25年には、大規模災害に備え、広くインフラ整備を進めることを明文化した「国土強じん化基本法」が成立。総理大臣を本部長とする「推進本部」を設置し、担当大臣も任命しました。

また、道路や橋などの維持管理や更新を確実に実施することなどを盛り込んだ「国土強じん化政策大綱」をまとめました。

さらに、去年の西日本豪雨などを受けて、防災・減災対策の3年間の「緊急対策」をまとめ、来年度までの3年間で総額7兆円程度の事業を行うとしています。

ことしの台風19号をはじめとする一連の自然災害を受けて、政府・与党内からは、対策の延長と予算の拡充を求める声が出ています。

一億総活躍

少子高齢化が進む中、政府は、誰もが活躍できる社会をつくり、持続的な経済成長を目指そうと、働き方改革や子育て支援、女性活躍などの政策を総合的に進めるとしています。

具体的な目標として、「希望出生率1.8」や「介護離職ゼロ」などを掲げ、保育士や介護職員の処遇改善などを進めています。

働き方改革では、同一労働同一賃金の実現や、すべての企業に労働時間の把握を義務づける規定を盛り込んだ、働き方改革関連法を去年6月に成立させました。

また、労働規制を緩和する新たな仕組みとして、高収入の一部専門職を対象に労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」も導入しました。

女性活躍

「女性活躍」は、一億総活躍社会の実現に向けた重要政策の1つとして、成長戦略の中核に位置づけられています。

平成27年に成立した女性活躍推進法では、国と自治体に加え、従業員が300人を超える企業には、女性の採用比率や管理職の割合について数値目標を盛り込んだ行動計画の策定が義務づけられています。

また、5月に成立した改正法は、採用比率などを公表しなければならない企業の対象を広げ、中小企業にも取り組みを促しています。

こうした取り組みを背景に、平成26年には25歳から44歳の女性の就業率が7割を超え、女性の就業者数も、ことし6月に初めて3000万人を超えました。

しかし、女性の管理職の割合は依然として低く、男性との賃金格差が大きいのも課題となっています。

人づくり革命

人生100年の時代を見据えて、人材への投資を重視しようと掲げたのが「人づくり革命」です。

柱の1つが、幼児教育の無償化で、消費税率引き上げによる増収分を財源に、ことし10月から、0歳から2歳までは所得の低い世帯を対象に、3歳から5歳までは世帯の所得にかかわらず一律で、認可保育所や幼稚園などの利用料を無償化しました。

また、高等教育についても、来年4月から、所得の低い世帯を対象に、大学などの入学金や授業料を減免するなどの制度を実施することにしています。

安倍政権の外交・安保戦略

第二次安倍政権は発足後、アメリカをはじめ関係国と協調して、テロ、自然災害など国際的な課題の解決に取り組む「積極的平和主義」と、世界全体をふかんし、自由や法の支配など基本的な価値に立脚しながら、戦略的な外交を展開する「地球儀を俯瞰する外交」を掲げました。

こうした方針を踏まえ、政府は、2013年、外交・安全保障政策の司令塔、NSC=国家安全保障会議と、その事務局の「国家安全保障局」を発足させ、官邸主導で首脳外交を展開する体制を整えました。

そして、外交・防衛の基本方針となる初めての「国家安全保障戦略」を決定。日本が直面する安全保障上の課題として、北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為、中国の急速な台頭とさまざまな領域への積極進出などをあげました。

また2014年に、これまでの憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定し、翌年9月には、安全保障関連法も成立しました。

2016年には、太平洋からインド洋にまたがる地域で、自由や法の支配に基づく国際秩序の確保や航行の自由、自由貿易の促進などを目指す、「自由で開かれたインド太平洋」という外交構想を打ち出しました。

また、経済外交も重視し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定や日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定を締結するなど、自由貿易のルール作りに取り組みました。

外国訪問は延べ172の国と地域

「地球儀を俯瞰する外交」を掲げる安倍総理大臣が、第二次政権以降、今月までの6年11か月で訪れたのは80の国と地域、延べ172の国と地域になります。

その移動距離は155万キロ余り。実に地球およそ38周に相当します。

外務省によりますと、訪問国数や移動距離は、確認できるかぎりで過去最多だということです。

最も多く訪れているのはアメリカで16回にのぼります。

第一次政権の時に訪れた国は18か国、延べ20か国でした。

一方、過去の総理大臣の訪問国数は、野田氏が10か国、延べ16か国、菅氏が7か国、延べ8か国、鳩山氏が8か国、延べ11か国、麻生氏が12か国、延べ15か国、福田氏が9か国、延べ10か国、小泉氏が、2回の北朝鮮訪問も含めて、49の国と地域、延べ81の国と地域などとなっています。

外交戦略 アメリカ

2国間関係で最も重視するのが、同盟国、アメリカです。

政府は、北朝鮮による核・ミサイル開発や中国の海洋進出など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているという認識のもと、日米関係の一層の強化に努めてきました。

安倍総理大臣は、2017年に就任したトランプ大統領と首脳会談や会食、ゴルフなどを重ね個人的信頼関係を強めてきたことから、日米同盟はかつてなく強固だとしています。

政府は、アメリカと連携し、北朝鮮の非核化に向けて、制裁を維持しているほか、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指しアジア諸国などとの安全保障協力を促進しています。

一方、トランプ大統領が日本との貿易赤字を問題視する姿勢を示す中、日米の新たな貿易交渉を行い、ことし9月に最終的な合意に達しました。

中国

安倍総理大臣が第二次政権を発足させた当初、先の野田政権が行った沖縄県の尖閣諸島の国有化などの影響で、日中関係は冷え込んでいました。

政府としては、日中関係は最も重要な2国間関係の1つであり、関係改善を進めるべきだとして、議員外交なども積み重ねながら、繰り返し対話を呼びかけました。

その結果、2014年11月、安倍総理大臣と習近平国家主席との初めての首脳会談が実現。第一次政権で打ち出した「戦略的互恵関係」に立ち戻り、関係改善を目指すことで一致しました。

安倍総理大臣は去年、日本の総理大臣として7年ぶりに中国を公式訪問し、李克強首相との首脳会談を行いました。

そして、「競争から協調」、「脅威ではなくパートナー」、そして「自由で公正な貿易体制の発展」という新たな原則を確認しました。

また、ことし6月には習主席が、国家主席としては8年7か月ぶりに日本を訪問し、安倍総理大臣と首脳会談を行いました。

日中両政府は、両国関係が正常な軌道に戻ったと評価していて、関係をさらに強化するため、ハイレベルの相互往来を継続させていく方針です。

ロシア

安倍総理大臣は、ロシアとの関係強化を一貫して目指してきました。

2013年、日本の総理大臣としては10年ぶりにロシアを公式訪問してプーチン大統領と会談。戦後、平和条約が締結されていない状態は異常だという認識を共有し、条約交渉の再開で合意しました。

そして、2016年の首脳会談で、双方に受け入れ可能な解決策の作成に向け、「新しい発想のアプローチ」に基づいて交渉を進めていく方針を示し、12月の山口県長門市での会談で北方四島で共同経済活動を行うための特別な制度について交渉を開始することで合意しました。

さらに、去年11月の首脳会談では、「平和条約を締結したあと歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意しましたが、北方領土の主権をめぐる双方の立場の隔たりは埋まらず、交渉が続いています。

韓国

日韓関係は2012年、当時のイ・ミョンバク(李明博)大統領が島根県の竹島に上陸したことなどをきっかけに悪化しましたが、日韓国交正常化50年にあたる2015年、安倍総理大臣と当時のパク・クネ(朴槿恵)大統領の首脳会談が実現して改善に向かいその年の日韓外相会談で、両国間の最大の懸案だった慰安婦問題の最終的な解決で合意しました。

しかし、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が就任すると、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じる判決を出したほか、韓国政府が、元慰安婦を支援する財団を一方的に解散すると発表したことや、自衛隊の哨戒機に対する韓国軍の駆逐艦からのレーダー照射など、両国間の信頼関係を揺るがす事態が相次ぎ、両国関係は悪化の一途をたどっています。

北朝鮮

北朝鮮について、政府は、2002年の日朝ピョンヤン宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を図ることを基本方針としています。

拉致問題をめぐっては、2014年、スウェーデンのストックホルムで開かれた協議で北朝鮮が、「拉致問題は解決済み」としてきた従来の立場を改めて、「特別調査委員会」を設置し、拉致被害者を含む日本人行方不明者の全面的な調査を約束しました。

しかし北朝鮮の核実験や弾道ミサイルの発射を受けて政府が独自の制裁措置を強化したことに北朝鮮は反発し、調査の中止と特別調査委員会の解体を一方的に発表し、解決に向けた状況は行き詰まりを見せています。

また、核、ミサイル問題をめぐって、政府は、CVID=完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄を目指し、アメリカや韓国など関係国と連携し、国連の安保理決議に基づく制裁を維持しています。

安倍総理大臣は、「対話のための対話では意味がない」として、北朝鮮が具体的な行動をとるまでは、制裁などの「圧力」を維持する考えを強調していましたが、トランプ大統領が、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長に、拉致問題を提起したことなどを踏まえ、前提条件をつけずに日朝首脳会談の実現を目指す考えを表明しています。