川そばの避難所は浸水 高台の避難所には鍵 宮城 丸森町

川そばの避難所は浸水 高台の避難所には鍵 宮城 丸森町
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台風19号による浸水被害を受けた宮城県丸森町で、氾濫した川のそばにある避難所が浸水して住民が危険にさらされた一方、高台にある避難所には鍵がかけられ、住民が車中泊を余儀なくされていたことが町への取材でわかりました。防災計画では川のそばの避難所を優先的に開設することになっていたということで、町は今後、計画を見直すことにしています。
町などによりますと、先月の台風19号で、丸森町金山地区では氾濫した雉子尾川から100メートルほどの場所にある避難所「金山まちづくりセンター」の1階が水につかり、避難していたおよそ20人が一時、危険にさらされました。

一方、住民の一部は地区の高台にある別の避難所に向かったものの鍵がかけられて入れなかったことが町への取材でわかりました。

住民たちは結局、駐車場での車中泊を余儀なくされたということです。

町では雉子尾川などの中小河川の氾濫を想定していなかったため、防災計画で地区の中心部にある「金山まちづくりセンター」を優先的に開設する1次避難所に指定し、避難者が多くなった場合にほかの避難所を開設することになっていたということです。

住民からは今回の対応に不満が出ていて、町は今後、高台の避難所を優先的に開けるなど防災計画を見直すことにしています。

高台で車中泊の住民「トイレもなく大変だった」

町の防災計画に基づく判断が引き起こした今回の事態。

当時、高台の避難所が使えず、車中泊を余儀なくされた住民からは疑問の声が挙がっています。

丸森町金山地区の齋藤米子さん(69)は雉子尾川からおよそ300メートル離れた自宅に住んでいます。

齋藤さんは、災害時には「金山まちづくりセンター」に避難するよう町の担当者から伝えられていましたが、施設は自宅よりも川に近く、ふだんから不安を感じていたといいます。

台風19号で自宅が浸水するおそれがあると感じた齋藤さんは避難することを決めましたが、「金山まちづくりセンター」は危険だと判断し、当日の午後7時すぎ、中学生の孫とともに車で高台にある「旧丸森東中学校体育館」へ向かいました。

町の防災計画ではこの施設も避難所に指定されています。

ところが、齋藤さんが中に入ろうとしたところ鍵がかかっており、町の職員もいなかったということです。

施設には被害が大きくなるにつれて住民たちが車で次々に避難してきましたが、中に入れないため、少なくとも20人ほどが駐車場での車中泊を余儀なくされたということです。

これについて齋藤さんは「避難してきた人たちはみんな『川が怖くて高台に来た』と話していましたが、避難所が開かず、トイレもない中でひと晩過ごして大変でした。丸森町は川が多く危険なところもあると思うので、今回の台風をきっかけに水害の時は高台の避難所を優先的に開けるようにしてほしい」と話していました。

浸水想定なく 川のそばに1次避難所

自治体が防災計画を作る際の前提となるのが国や県が作成する河川の浸水想定区域図です。

最大規模の大雨が降って川が氾濫した場合に備えて、浸水が想定される範囲を地図上に示したもので、自治体はこれをもとに避難場所や避難経路を検討し、防災計画に記載することが決められています。

さらに、丸森町を含む全国の一部の自治体では、避難所のうち洪水が起きた際、優先的に開設する1次避難所をあらかじめ指定しているということです。

一方、洪水などへの備えを定めた水防法では、浸水想定区域図を作成する対象は流域面積が広い河川や洪水が起きた場合に影響が大きい河川とされています。

このため、阿武隈川の支流で規模が小さい雉子尾川などは作成の対象にはなっていませんでした。

その結果、町の防災計画では雉子尾川の氾濫が想定されず、川のそばにある施設が1次避難所に指定される事態になっていたということです。

これについて丸森町総務課の山本勝宏危機管理専門官は「1次避難所の指定にあたって氾濫や浸水のリスクが考慮されていなかったのは事実であり、今後は専門家などの支援も受けながら防災計画を見直すとともに、支流を管理する県にも浸水想定区域図の作成を働きかけていきたい」と話しています。