出生届は大変!? でもこんな方法も

出生届は大変!? でもこんな方法も
赤ちゃんが生まれる時にすることは何ですか?
名前を決めたり、服をそろえたりと大忙しですよね。その1つに「出生届」もあります。生まれてから「14日以内」に最寄りの役所窓口に出すと法律で定められていますが、お母さんたちから悲鳴にも似た声があがっています。何が起きているのかを探ると、「え、こんな方法もあるの?」ということが見えてきました。
(ネットワーク報道部記者 和田麻子 鮎合真介 / 神戸放送局記者 堀内新 / 松江放送局記者 川田侑彦)

ネット上「苦労した」の声相次ぐ

ネット上では、自分で役所の窓口を訪れて「出生届」を提出した母親とみられる人から「出すのに苦労した」という声が相次いでいます。
また、自分の親の体験談を紹介している人も。
「私が生まれた時、親が2か月近く出生届を出さず『罰金』払ったと言ってたのを思い出した」
なかには、海外ではすべての行政手続きをオンラインでできる国があることを紹介している人もいました。

さらに「14日以内」という期限について「もう少し余裕がほしい」という声も見られます。
「2週間はやっぱり期間短いなって思うよ。1号ちゃんは早産で地元より300キロ離れた病院で産んだけど、元旦那が出産見届けて、雪どけ間近の危ない雪道トンボ帰りして出生届出して、また迎えに来て…余裕あったらなとは思ったよ」

夫が激務、実家や友人も離れていて…

ほかにもツイッターにこんな投稿がありました。
「私も新生児を連れて出しに行った。実家の助けなし、夫激務、友人知人皆無の土地に引っ越した直後だったので…」
メッセージをつづったのは岩手県内に住む40代の女性。

話を聞いたところ、14年前に娘が生まれた時、夫が激務だったことに加え、引っ越したばかりで実家の家族や友人など頼れる人もいなかったそうです。

みずから役所の窓口に行こうにも、生まれて間もない娘はひとときも目が離せません。

当時は今ほどネットが身近なものとして広がっていなかったこともあって、どのように出生届を提出すればいいのか、子どもを一時的に預けられるサービスは利用できるのかといった情報を自宅や病院にいながら集めることが難しかったといいます。

産後で体調が悪い中、引っ越しに関する手続きもしなければならなかった女性にとって、出生届の提出は大きな負担でした。
「どうにもならないし、自分でやるしかない」
娘を自宅に1人置いていくわけにもいかず、結局、自分で車を運転し、娘を連れて窓口に行きました。

しかし、居合わせた人から「かわいそう」「こんなに小さい子を連れ出しちゃダメ!」と言われたり、じろじろ見られたり…。

「そうするほかないのに…」とショックを受けたそうです。

“14日以内”は短い?

そもそも、なぜ「14日以内」なのでしょうか?
法務省に問い合わせたところ、提出の時期を14日以内と定めた戸籍法は昭和23年に施行されたもので、「当時の詳しい立法過程は不明で、根拠はわからない」との答えが返ってきました。

では、出生届の提出は親でなければできないのでしょうか?
担当者によると、もし届け出ができない場合は、親族などの同居者のほか、出産に立ち会った医師や助産婦なども可能だということです。

ただ、注意が必要なのは、もし正当な理由がないまま期間内に提出しないと、5万円以下の過料が科せられるおそれがあるということ。

ちなみに、その判断は、簡易裁判所が行うため、実際にどんなケースが該当するかは把握していないということでした。

さらに担当者は、こう続けました。
「最近は夫のDVから逃れるため、住所を知られないために提出できなかったり、手続きが面倒で出生届を出さなかったりなど、さまざまな理由で子どもの『無戸籍』が問題になっていて、14日の期間について議論になっているという話は聞いたことがありません」
そのうえで、こんなことも。
「死亡届の提出は7日以内ですし、出生届は役所に出向かなくても郵送できますので、出生届の期間が短いと言えるかどうか…」
えっ?
出生届は郵送でも提出できるんですか。

実際に手続きにあたっている区役所に取材しました。

渋谷区役所に行ってみた

対応してくれたのは渋谷区の住民戸籍課の保科慎子さん。

渋谷区では出生届のほか、児童手当の申請なども郵送で対応しているといいます。

郵送での対応を求める人の多くは、海外に住んでいる日本人が現地で出産した子どもの出生届を提出する場合ということですが、国内に住んでいても利用できるそうです。

さらに郵送にあたっては、事前に担当者に電話で事情を話したうえで、記入した出生届をPDFファイルにしてメールに添付して送れば、記入漏れやミスが無いか確認してくれるということです。
「核家族化が進んだり、単身赴任の家庭もあったりすることから期限内に窓口に来て、提出するのは負担が大きいことは理解しています。事情がある場合は気軽に相談してほしい」(保科慎子さん)
でも、渋谷区のホームページには「郵送で出生届を提出できます」とはひと言も記載されていませんが…。

そう指摘すると、保科さんは「なるべく早く、書き足すようにします」と話していました。

郵送OK、そんなの知らなかった…

来年の春に出産を控えているという関東地方の30代の女性にも話を聞くことができました。

この女性は外国にいるパートナーとの間の子どもを妊娠していて、現在、1人での出産に向けて準備を進めています。

今月、出産後の手続きについて直接、自治体に問い合わせたところ、担当者から「出生届を提出するには、自分で窓口に行くしかない」などと説明を受け、「産後の期間に無理をして体を動かさなければならないのか」と不安を覚えたといいます。

その後、SNSを通して郵送でも出生届を提出できることを知ったということで、女性は「ホームページで『郵送で受付する』と明記していない自治体もあるので、なるべく早く改善して広く周知してほしい」と話していました。
「出生届」は赤ちゃんがこの世に生を受けた1つの証しのようなもの。
それだけに公的機関がしっかりと確認をとることは欠かせませんし、法律でルールを設けるのは必要です。

ただ、さまざまな電子化が進む今、手続きの簡略化や「14日以内」という期限の延長を含め、親の負担をできるだけ抑える方法も模索すべきだと感じました。

皆さんはどう思いますか?