中高生への無償の「学習支援事業」業者選定方法見直しへ

中高生への無償の「学習支援事業」業者選定方法見直しへ
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さいたま市は、経済状況が厳しい家庭の中高生を対象にした「学習支援事業」について、運営の委託先を最も低い価格を提示した業者が落札する方式に変えたところ、事業開始が遅れるなど混乱を招いたとして、選定方法を見直すことになりました。
これは8日、さいたま市の清水市長が記者会見で明らかにしました。

さいたま市は経済状況の厳しい家庭の中高生が無償で学ぶことのできる「学習支援事業」の運営を、2012年度から市内のNPO法人に委託してきました。

この事業は家でも学校でもない「第3の居場所」としての役割も期待されていて、200人余りの生徒が利用しています。

しかし「業者が全国的に増えた」などとして、今年度から最も低い価格を示した業者が落札する一般競争入札に変えたところ、新たな委託先となった大手学習塾の運営会社に生徒の情報などの引き継ぎが間に合わず、事業開始が1週間ずれ込んだということです。

また支援の内容にも苦情が寄せられたことなどから、市は来年度以降、具体的な事業内容の提案に基づいて業者を決める方式に改めるほか、継続的な支援を行うため契約期間を複数年度とする方針を決めました。

清水市長は「学習支援事業はさいたま市が先駆的に行ってきたが、原点に立ち返って改善方法を考えたい。子どもたちのためによりよい事業にしていきたい」と話しました。

さいたま市の学習支援事業

さいたま市は、生活保護を受給している世帯など経済状況が厳しい家庭の中学生と高校生を対象に、2012年度から学習支援事業を行っています。

市内10区すべてに教室が設けられ無償で勉強を教えてもらえるほか、家でも学校でもない「第3の居場所」としての役割も期待されていて、ことし9月末の時点で215人の生徒が通っています。

専門家「議論されるのはいいことだ」

教育社会学が専門の東京電機大学の山本宏樹准教授は「問題が生じたことがきっかけではあるが、改めて議論が行われ、子どものために何が大切か議論されるのはいいことだ」と評価しました。

そのうえで「学習支援事業は子どもが勉強を通じて努力する喜びや社会を担う気持ちを育むなど、ある意味では教育でもあり、福祉事業でもある。子どもにとって何がよい方法なのか事業の評価をしていくことが大切だ」と指摘し、事業の効果について検証していく必要があるという考えを示しました。