被災4県「さらなる支援必要」 解決する3つの方法とは

被災4県「さらなる支援必要」 解決する3つの方法とは
台風19号などで被害を受けた被災地を訪れたボランティアは、5日までに11万人以上にのぼっています。一方、被害が深刻な4つの県ではさらなるボランティアが必要だとしています。

丸森町 長野市など「さらなるボランティアを」

全国社会福祉協議会によりますと、ことし9月以降の台風で被害をうけた被災地では、5日までに延べ11万4389人が水につかった住宅の片づけや廃棄物の撤去などの支援にあたってきました。

台風19号の被害が発生して3週間がすぎ、一部の地域では片づけが進みボランティアの募集を終えたところもありますが、被害が深刻な地域では被災者のニーズに対して応えきれない状態が続いていて、さらなるボランティアの支援を必要としているということです。
7日正午の時点で、さらなる協力を求めているのは、
東北では、
▽宮城県丸森町、福島県いわき市、郡山市、南相馬市、
関東甲信越では、
▽栃木県佐野市、長野市の
合わせて5市1町です。

全国社会福祉協議会では、各地のボランティアの募集状況をホームページで公表していて、必要な装備や手続きを確認したうえで、活動に参加してほしいとしています。

SNS 国自治体に対応求める声 “有償”も話題に

先週、連休を前にNHKを始めとする報道各社が「ボランティアが足りない」と伝えたところ、SNSにはさまざまな反応が寄せられました。

「ボランティアは自由意志で参加する人たちなのに、それが不足という話は違う」とか、「ボランティアが不足と言われると違和感がある。公的責任が完全にスルーされている」、「多くの人が手伝いたいと思っているはずですが仕事を休めない、遠方で被災地に行けない。だから税金を払っての共助なのでは?」などと、国や自治体に対応を求める声や、「給料が出る仕事ですら人手不足。ボランティアの有償化を検討する時期だ」とか、「交通費を出してほしい。自腹って続けられない。持続的であることが意味があると思う」、「外国では有償ボランティアが当たり前だと聞いたことがある」などと、ボランティアを有償で行うことについても話題となっていました。

「ボランティア不足」街の声は

「ボランティア不足」ということばに街の人たちの反応はさまざまです。

25歳の男性は「足りないので募集するということなら、お金を払うべきだと思います」と話していました。

79歳の男性は「ボランティア不足と聞くと、関心が低いのかなと思います」と話していました。

一方で、まだボランティアに参加していないという人の中には、交通費などの経済的負担が障害になっているという声もあります。

都内に住む18歳の大学生の女性は「もし、交通費を出してもらえるなら、参加してみたいです」と話していました。

神奈川県に住む33歳の会社員の男性は「被災地までの交通費や宿泊費などの費用は気になります」と話していました。

対策1 “One Nagano” 自治体自衛隊と連携

内閣府によりますと、千曲川が決壊して多くの家屋が浸水した長野市では、ボランティアと自衛隊、それに自治体が役割分担して被災地で発生した「災害ごみ」の撤去にあたる取り組みが行われています。

具体的には、まず、昼間に集まったボランティアが、道路や広場などに出された大量の災害ごみを自治体の職員とも連携して大規模な集積場に運び出します。そして、集められた災害ごみは分別を行ったうえで、夜間に自衛隊や業者ががまとめて地区の外へ運び出す仕組みだということで、今月2日からの3連休で8200人余りのボランティアが参加したということです。

「One Nagano」と呼ばれるこの取り組みはボランティアや自治体、自衛隊などが事前に情報共有を行ったうえで連携して被災地の復旧にあたった全国初の事例だということです。
兵庫県立大学減災復興政策研究科長の室崎益輝教授は「被災地の復旧・復興にボランティアは今や欠かせない存在で、旅費や宿泊費の補助など、
より多くの人が参加しやすい環境を整え、ボランティアのすそ野を広げていくことが必要だ。そのうえで、復旧をボランティア任せにせず、行政が活動を後押しする姿勢や取り組みが重要になってくる」と話していました。

対策2 兵庫県 ボランティアに助成金支給

兵庫県では、「ふるさと納税」の寄付金を財源にして災害ボランティア団体への交通費や宿泊費の助成制度を全国に先駆けて今年度から設けました。

台風19号が制度の初めての適用となり、関西の2府4県などで構成する「関西広域連合」の割り当てで兵庫県が支援を担うことになった長野県で活動するボランティアに助成金を支給しています。

申請の窓口となっている兵庫県の外郭団体「ひょうごボランタリープラザ」には、年間50件ほどと考えていた見込みを大きく上回るペースで申請が寄せられていて、受け付けを始めてから6日までの10日間で25件の申し込みがあったということです。
「ひょうごボランタリープラザ」の高橋守雄所長は「小遣いなど使えるお金が限られる学生やお年寄りにとって、この制度が、活動の後押しになっていると改めて感じた。各地で災害が頻発する中、無償のボランティアだけでは限界があると思うので、こうした制度がほかの自治体や国レベルで広がってほしい」と話していました。

助成を受けた人「自己負担少なく すそ野も広がる」

台風19号の被災地で活動した神戸市内のボランティアグループは、兵庫県の制度を利用して移動のためのレンタカー代や宿泊費の一部の助成を受けました。
木下英吉さん(64)は先月29日から3日間、千曲川の堤防が決壊して広い範囲が浸水した長野市赤沼でほかのメンバーとともに住宅に入り込んだ泥のかき出しや家財の運搬などを手伝いました。

1人当たり3万円の費用がかかりましたが、助成の適用を受けたことで、自己負担は1人、1万2000円ほどで済んだということです。

木下さんは「これまで何度も災害ボランティアに参加してきたが、自己負担が少なくなるのはありがたい。制度によってボランティアに参加する人のすそ野も広がると思う」と話していました。

対策3 仕事のスキルいかす「プロボノ」に注目

現地に出向かなくても仕事で培ったスキルを生かして被災地を支援するボランティア活動もあります。

東日本大震災では、被災地でまちづくりを支援している団体の運営マニュアルをつくるため都内のIT企業などで働く人たちが現地とインターネットでつないで話を聞き取り、マニュアルを作成しました。

また熊本地震では、大手家電メーカーの社員たちが表計算ソフトのスキルをいかして、ボランティア団体がこれまでの議事録をキーワードごとにデータベース化して、見返しやすくしたということです。

こうした仕事のスキルを生かしたボランティアは「プロボノ」と呼ばれ、近年注目を集めているといいます。

スキルを持った人と被災地とを仲介しているNPO法人「サービスグラント」の嵯峨生馬さんは「災害への支援のしかたの選択肢の一つとして、自分のスキルや知恵をいかせるプロボノがあることを知ってもらいたい。復旧のあとの生活復興にこそ、プロボノのニーズが高まると思うので、いろんな職業の人に参加してもらいたい」と話していました。

専門家「いろいろな仕掛け きっかけが重要」

ボランティア活動を研究している独立行政法人労働政策研究・研修機構の小野晶子主任研究員は、SNSでこうした反応が出る背景として、災害ボランティアに参加する人は人の役に立ちたいという「利他的な動機」が特に強い一方、被災地が遠く多額の交通費などがかかる人にとっては参加したくてもできないという状況があると指摘します。

そのうえで「公的にできることとボランティアができることは違う。公的な部分が平等に行えることがあって、抜け落ちた部分をボランティア活動で補完していくことが必要だ」と話していました。
また、災害が相次ぐ中、「今後もボランティアが必要な場面というのはかなり出てくる。かなりボランティアをやる人も増えているが、欧米のように全員がやるというような文化ではない。ボランティアを増やしていくいろいろな仕掛け、きっかけを作っていくことが重要になってくる」と話し、交通費の実費分を支給するなどのある程度経済的負担をしたり、平常時に登録しておいて災害が発生したときに派遣できるようなボランティアの全国システムを作ったりする取り組みが必要だとしています。