正規職員だけでは災害対応限界 見直しへ 茨城 鹿嶋

正規職員だけでは災害対応限界 見直しへ 茨城 鹿嶋
ことしも台風被害が相次ぎ、自治体の災害への対応が喫緊の課題となる中、非正規職員の割合が全体のおよそ5割まで増えた茨城県鹿嶋市は、正規職員だけで災害に対応するとした現在の防災計画では限界があるとして見直しを検討することを決めました。同じように正規職員だけが災害対応を担っている自治体は複数あり、今後、見直しの動きが出る可能性もあります。
人口およそ6万7000人の鹿嶋市では、人件費の削減などを背景に、臨時や非常勤で働く非正規職員が増加し、ことし4月の時点で全職員849人のうち、409人とおよそ48%に上っています。

その一方で、避難所の開設や高齢者の避難誘導などへの対応を定めた市の防災計画では、災害対応に当たるのは「あらかじめ定める防災関係職員」などと記され、非正規は想定せず、正規職員だけで対応するとしてきました。

このため、台風被害などが相次ぐ中、職員のほぼ半数しか災害対応に当たることができないのが現状で、今のままでは対応の遅れが懸念されるという声が出ています。

こうした中、鹿嶋市は現在の防災計画を見直して非正規職員についても災害対応に当たることができるよう検討を進めることを決めました。

市によりますと、非正規職員は待遇が正規職員と違い、子育てをしている女性も少なくないことなどから、どこまで災害対応に当たることができるのか課題があるということです。

鹿嶋市では、台風や豪雨の際の住民からの電話対応などを正規職員の代わりに担ってもらうことを検討したいとしています。

全国の自治体で非正規職員が増える中で、鹿嶋市と同じように防災計画に基づいて正規職員だけが災害対応を担っている自治体は複数あり、今後、見直しの動きが出る可能性もあります。

市長「非正規職員も災害時の役割」

鹿嶋市の錦織孝一市長は「住民の安全・安心や命に関わる場合は、行政が率先して責任を持たないといけないと思うし、正規職員と制度上の立場の違いはあるものの、非正規職員にも災害時に担うべき役割はあると考えている。災害に備えた体制作りを進めていきたい」と話しています。

台風19号 鹿嶋市の対応

茨城県鹿嶋市は台風19号の接近を前に、先月11日に災害対策本部を設置し、高齢者に早めの避難を呼びかけるとともに、豪雨などへの警戒を強化しました。

翌日の12日には、防災計画に基づいて正規職員全体のおよそ30%に当たる129人が出勤し、避難所の開設や高齢者の避難誘導などに当たりました。

鹿嶋市では、台風19号による住宅の浸水被害はありませんでしたが、最大でおよそ1万戸が停電しました。市によりますと、先月12日と13日の2日間で倒木や停電の復旧状況などに関する住民からの電話がおよそ500件あったということで、電話が鳴りやまない状況が続きました。

また福祉を担当する部署では、台風が接近する前に高齢者や障害のある人を避難所まで車で誘導しましたが、ふだんは面識のない正規職員が行わざるをえなかったということです。市によりますと、市役所の窓口で高齢者からの相談に直接応じたり障害のある人の自宅を訪問し生活相談などに当たったりしているのはいずれも非正規職員だということです。

鹿嶋市によりますと非正規職員の数は2005年には259人、職員全体の33.3%でしたが、ことし4月の時点では409人と48.2%まで増えています。

一方、正規職員の数は2005年は518人でしたが、ことし4月には440人に減っています。

鹿嶋市の現在の防災計画は、およそ50年前に原形が作られたもので、これまで改定を重ねてきましたが、非正規職員が災害対応に当たることができないかという視点での検討はされてこなかったということです。

専門家「非正規職員増え防災計画見直し必要」

自治体の防災対策について詳しい明治大学都市政策・危機管理研究所の中林一樹研究推進員は、東京 豊島区や神奈川県大和市などの防災計画の作成や見直しに携わっています。

中林研究推進員は「非正規職員が増えてしまった自治体では、必ずしも災害対応がうまくいっていない現状があると思う。これまでと同じように正規職員だけで対応したため、災害対応が後手に回ってしまったということにならないようにすべきだ」と指摘しています。

そのうえで「非正規職員の中にも豊富な経験があり災害時に対応できる人材もいるので、適材適所で活動してもらえるよう防災計画を見直す必要がある。ただ、どこまで責任を持たせるのかなど検討課題もあると思う。高齢化が進む一方で、全国の自治体では非正規職員が増えていて、自治体が災害にどう対応すべきか国も方向性を示すべきではないか」と話しています。