こうして千曲川は決壊した 決壊場所から離れても4mの浸水に

こうして千曲川は決壊した 決壊場所から離れても4mの浸水に
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台風19号による豪雨で各地で発生した河川の氾濫で、堤防が「決壊」してからの避難は、命の危険に直結することを示すシミュレーション結果が出ました。長野県の千曲川では、氾濫のあとの堤防の「決壊」で一気に浸水が広がり、決壊場所から2キロほど離れた地域でも深さが最大で4メートルに達していました。
河川氾濫のメカニズムに詳しい東京理科大学の二瓶泰雄教授は、「氾濫」や「決壊」に至るこれまでの情報や現地での調査、住民への聞き取りなどをもとに、当時の浸水の広がりや深さをシミュレーションしました。

それによりますと、午前1時ごろ、千曲川の長野市穂保で水が堤防を越える「越水」による氾濫が発生すると、堤防に近い地域で浸水が始まります。

2時間ほどたった午前3時ごろには、堤防の南北約1キロもの範囲で「越水」による氾濫が発生。西側に1キロほど離れた国道117号線にかけての一帯で浸水の深さは最大1メートルほどに達します。

そして午前4時ごろ、堤防が「決壊」すると、浸水範囲が一気に広がり、1時間後の午前5時ごろには、浸水は国道を越えて北西にある新幹線の線路や車両基地に到達し、深さは最大で2メートル以上になりました。

さらに決壊から3時間後の午前7時ごろには、浸水の範囲は新幹線の線路を大きく越えて広がり、決壊した場所から2キロほど離れた地域で深さは最大で4メートルほどに達しました。

決壊から4時間後の午前8時ごろには浸水はほぼ止まりますが、最終的には950ヘクタールに及ぶ広い範囲が浸水しました。

二瓶教授によりますと、深さが2メートルを超えると、建物の中でも身動きが取れずに命を落とす人が増え、4メートルになると1階部分が完全に水につかってしまうということで、「決壊」してからの避難は極めて危険だとしています。

そのうえで二瓶教授は「決壊すると状況が一変し、水の量が桁違いに多くなる。水の勢いも格段に強くなることから、その段階の避難は命に関わる。そうなる前の早めの避難が何よりも重要だ」と話しています。

シミュレーションの詳細は

東京理科大学の二瓶教授は、判明している浸水の範囲や、推定されている氾濫や決壊の時間に加え、現地での痕跡調査や住民の聞き取り調査をもとにシミュレーションしました。

浸水は深くなるつれて青色から緑色、そして黄色へと変わります。

青色が最大で1メートルほど、緑色が最大で3メートルほど、黄色が最大で4メートルほどとなっています。

氾濫発生

午前1時ごろ、長野市穂保で水が堤防を越える「越水」による氾濫が発生すると、西側に1キロほど離れた国道117号線にかけての一帯が水につかり始めます。

決壊する前の午前3時ごろには、堤防の南北約1キロもの範囲で「越水」による氾濫が発生。浸水の深さは最大1メートルほどに達します。

この時、2メートルのかさ上げが行われている新幹線の車両センターはまだ水にはつかっていません。

午前4時“決壊”

午前4時ごろに堤防が「決壊」すると、浸水範囲が一気に広がります。

国道117号線の東側では浸水が深まり、浸水は国道を越えて西側にも及んでいきます。

決壊から1時間後の午前5時ごろには、国道のさらに西側の新幹線の線路や車両基地にも達します。国道の東側と西側の浸水の深さは最大で2メートル以上になりました。

二瓶教授によりますと、深さが2メートルを超えると、建物の中でも身動きが取りにくくなり、命を落とす人が増え始めるということです。

決壊3時間後

「決壊」から3時間後の午前7時ごろには、新幹線の線路を越えて広がり、決壊した場所から2キロほど離れた豊野で、浸水の深さは最大で4メートルほどに達しました。

浸水の深さが4メートルになると、住宅の1階部分は完全に水につかり、2階でも身動きを取るのが難しくなります。

そして、「決壊」から4時間後の午前8時ごろには浸水はほぼ止まりますが、最終的に950ヘクタールに及ぶ範囲が浸水しました。

ハザードマップ確認を

シミュレーションでは、千曲川から離れた場所で浸水が最も深くなっています。

二瓶教授は「川から離れていても今回のように大きな川が氾濫すると低い土地に水が流れ込んで浸水が深くなる。ハザードマップを確認し、自分の住む場所の水害のリスクを改めて確認してほしい」と話していました。

シミュレーションには、千曲川の西側を流れる支流や水路の氾濫の影響は入っていないため、実際の浸水のスピードはさらに速かった可能性もあり、二瓶教授は分析を進めることにしています。