マラソンと競歩 札幌実施へ IOC最終決定 都「合意なき」

マラソンと競歩 札幌実施へ IOC最終決定 都「合意なき」
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東京オリンピックの猛暑対策としてマラソンと競歩の会場を札幌に移す案について、東京都の小池知事は正午から開かれた4者協議の中で、「IOCの決定に同意することはできないが、最終決定権限を有するIOCが下した決定を妨げることはしないという東京都としての決断を行った。あえて申し上げるならば、合意なき決定だ」と述べました。そのうえで、IOC=国際オリンピック委員会は最終的に札幌での実施が決まったことを表明しました。
東京オリンピックの猛暑対策としてIOCが提案したマラソンと競歩の会場を札幌に移す案は、IOCの調整委員会で議論が行われ、最終日の1日は正午からIOCのコーツ調整委員長、東京都の小池知事、大会組織委員会の森会長、それに、国の橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣による4者協議が行われました。

この中で東京都の小池知事は、「IOCの決定に同意することはできないが、最終決定権限を有するIOCが下した決定を妨げることはしないという東京都としての決断を行った」と述べました。

そのうえで、IOC=国際オリンピック委員会は最終的に札幌での実施が決まったことを表明しました。

先月31日までの議論では、東京都が東京で開催できる可能性を提示し、IOCにこれまでの経緯や暑さに関する判断の科学的根拠の説明を求めたほか、札幌に移す場合でも費用を負担しない考えなどを示していました。

ただ、IOCと東京都などが結ぶ開催都市契約では、調整委員会で解決できない問題がある場合は、IOCが最終的な決定を行うと明記されていて、東京都の小池知事は4者協議の中で「あえて申し上げるならば、合意なき決定だ」と述べました。

橋本五輪相「1日も早くトレーニングできる環境を」

橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は、記者団に対し「短期間で、それぞれの立場に敬意を払いながら議論を重ね、結論が出されたことは、関係者に心から感謝したい。合意を受け止めて、国として、できることをしっかりとやっていく」と述べました。

そのうえで「選手たちにとっては、突然のコース変更や、開催地変更は非常にとまどいがある。少しでも早く次のコースが設定され、本番に向けたトレーニングが、1日も早くできる環境をつくってあげてほしい」と指摘しました。

一方、開催地の変更に伴う費用について、国が負担することにはならないという認識を示しました。

武藤事務総長「北海道マラソンの実績ある」

4者協議のあと組織委員会の武藤事務総長は記者団に対し「コースもまだ決まっていないので、できるだけ早く決めていかなければならない。このタイミングなので、できるだけ効率的に、むだな投資がないようにする。時間的にも資金的にも効率性が非常に大事になる」と述べました。

また記者団から「北海道マラソンのコースが軸になるのか」と質問されたのに対し、「そこまでは結論はまだ出ていないが、ものの考え方としてはそういうことだと思う。北海道マラソンという実績がある」と述べ、札幌での実施に向けた準備作業を進めていく考えを示しました。

一方、経費については「その話はこれからしていく」と述べるにとどめました。

北海道知事「オール北海道で全力で」

北海道の鈴木知事は札幌市で記者団に対し「9か月しか時間が無い一方でやらなければならないことが多くある。札幌で競技が行われるが、北海道のみんなで力を合わせ前例なき状況に対応し、協力して世界に向け大会成功につなげていかなければならない。オール北海道で全力で取り組んでいく気持ちを新たにした」と述べました。

そのうえで鈴木知事は「唐突な形で会場が変更になったことは前例の無いことで、多くのとまどいがあったと思う。東京都の小池知事が判断したことをしっかり受け止めなければならないと思っている」と述べ東京都への配慮も示しました。

札幌市長「早期に事務的な協議を」

札幌市の秋元市長は札幌市で記者団に対し大会組織委員会の森会長から連絡を受けたことを明らかにしたうえで「時間があまりない状況なので、森会長にはできるだけ早期に事務的な協議をさせてほしいとお願いした。コースが決まらないといろいろな課題の解決に取り組めないので早急に組織委員会や陸上の関係者で協議してほしい。関係者としっかり協議しながら万全の態勢をとっていくよう努力したい」と述べました。

選手は

【男子20キロ競歩・山西利和選手】
東京オリンピックの陸上男子20キロ競歩の代表に内定している山西利和選手は「一選手として、やるべきことは変わらないので、引き続き、金メダルを獲得できるように取り組んで参ります」とコメントしています。

【男子50キロ競歩・鈴木雄介選手】
東京オリンピックの陸上男子50キロ競歩で、代表に内定している鈴木雄介選手は「開催地が決定しましたが、以前より『日陰のあるコースに』と要望しておりましたので、今後、詳細を決めていくうえで、ぜひ検討していただきたいと思います。また、オリンピックで50キロ競歩が開催されるのは、東京大会が最後となりますので、出場選手に対して、多くのご声援をいただけると幸いです。私自身もよい結果を残せるよう、懸命に取り組んで参ります」とコメントしています。

【男子マラソン・中村匠吾選手】
東京オリンピックの男子マラソンの代表に内定している中村匠吾選手は「開催地が札幌に変更となりましたが、これまで東京開催に向けて多くの方々が準備を重ねてこられたので正直、複雑な思いがあります。決定した以上は気持ちを切り替え、どのような条件、状況でも力を発揮できるよう練習に取り組んでいきます」というコメントを出しました。

【男子マラソン・服部勇馬選手】
男子マラソンの代表に内定している服部勇馬選手は「札幌に決まり、これから監督と相談し、大会までの対策、準備をして、全力を出し切れるようにしたいと思います」とコメントしています。

【女子マラソン・鈴木亜由子選手】
女子マラソンの代表に内定している鈴木亜由子選手は、所属する陸上部のフェイスブックの中で「札幌は昨年初マラソンを走った思い出の地でもあります。今度はオリンピックの日本代表として再び札幌の地を走れることを誇りに、しっかり準備してまいります」とコメントしています。

札幌商工会議所 岩田会頭「名誉なこと」

札幌商工会議所の岩田圭剛会頭は記者会見で「札幌開催はとても名誉なことで経済波及効果も含め大いに期待したい。札幌のすばらしさを世界にアピールするチャンスなので、道や市に最大の支援をしていきたい」と述べ、歓迎する考えを示しました。

北海道陸上競技協会 橋本専務理事「早急にコースを」

大会組織委員会の森会長が、12月に予定されているIOCの理事会でコースの承認を得たいと会見で話したことを受けて、毎年夏に行われている「北海道マラソン」を主管する北海道陸上競技協会の橋本秀樹専務理事は、「運営を支援する立場としてもコースが決まらなければ、何も手をつけられないのが現状なので、組織委員会には、選手が力を発揮するためにも札幌で、雪が降る前に早急にコースを決めてほしい。時間がないので北海道マラソンのコースを活用してもらうのがいちばんよいのではないかと思う。札幌開催が決まったので、地元としても全面協力、全力疾走で準備を進めたい」と話しました。

札幌市内では新聞の号外も

東京オリンピックの猛暑対策として、マラソンと競歩の会場を札幌に移すことが決まったのを受けて、札幌市内では新聞の号外が配られました。

号外には「五輪マラソン・競歩札幌開催決定」と、大きな見出しが書かれ、JR札幌駅前の地下街で配布が始まると、買い物客や会社員などが次々と受け取り、わずか10分ほどでなくなりました。

号外を受け取った札幌市内の30代の女性は「まさか札幌に決まると思っていなかったので、うれしい」と話していたほか、江別市に住む30代の男性も「道民としてはうれしい。会場運営などの課題はあるが、楽しみだ」と話していました。

中には「この号外を、額に入れて大切に保管したい」と話す人もいました。

札幌の人は

IOCが最終的に札幌での実施が決まったことを表明したことについて札幌市中心部の大通公園で聞きました。

7歳の子どもと一緒にいた40代の母親は「突然、札幌開催の話が出てきたので、いろいろと問題があって心配していたが、決まってよかった。せっかくの機会なので息子と一緒に見たい」と話していました。

またマラソンのコースとして大通公園を発着点とする案が最有力となっていることについて20代の男性は「ビアガーデンは中止になるかもしれないが、一年くらいならいいのではないか。オリンピック優先でいい」と話していました。

また60代の女性は、「多くの人が詰めかけることになるため、交通整備なども心配だ。より多くの人が楽しめるように対策を考えてほしい」などと話していました。

観光で訪れていた東京の30代の女性は、「東京でないことは悲しいが、東京の思いを託したい。日本各地で盛り上がれるのはよいことだと思う」と話していました。

東京 渋谷の人は

渋谷区に住む男性は「東京オリンピックなのに札幌開催は違和感があります。マラソンを見たかったので、ちょっとさみしいです。いずれにせよ選手にとってベストな形で開催してもらいたいです」と話していました。

また別の男性は「東京の暑さの中、マラソンで100%のパフォーマンスを発揮するのは難しいと思っていました。いまさらという感はあるが、しかたないと思います。この状況なら札幌開催が最善だと思う一方で東京で準備を進めてきた関係者の方々の思いを考えると何のためのオリンピックかと複雑な気持ちになります」と話していました。