RCEP閣僚会合きょう開催 交渉妥結へ道筋つけられるか焦点

RCEP閣僚会合きょう開催 交渉妥結へ道筋つけられるか焦点
日本や中国など16か国が参加するRCEP=東アジア地域包括的経済連携の閣僚会合が、1日タイで開かれます。今月4日の首脳会議を前に、目標とする年内の交渉妥結に道筋をつけられるかが焦点です。
RCEPは日本や中国、韓国、インドのほかASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国など16か国が参加する大型の経済連携協定です。1日タイのバンコクで閣僚会合が開かれ、日本からは、牧原経済産業副大臣が出席します。

RCEPでは、関税や投資のルールなどおよそ25の分野で交渉し、これまでにおよそ20分野で実質的に合意しましたが、関税の撤廃などの分野で大きな意見の隔たりが残っています。

特に、中国がインドに対し大幅な市場開放を求める一方、インドは国内産業を守りたい立場で交渉は難航しています。

また、交渉開始から6年がすぎ、停滞感も出ているため、一部の国からは論点が残っていても一定の成果を示すメッセージを出すべきだという主張も出ています。

RCEPは年内の妥結が目標で、閣僚会合はことし5回目となり、交渉を加速させてきました。今月4日に予定される首脳会議を前に、妥結に向けた道筋をつけられるかが焦点です。

RCEP 参加国の経済成長につながると期待

RCEPは日本や中国、インドといった経済規模の大きな国が参加していることから、参加国のGDP=国内総生産や貿易額は世界全体の3割にのぼる大型の経済連携協定です。

これだけの規模の地域で貿易や投資が自由化されることで各国の経済成長につながると期待されています。

三菱総研の試算によりますとRCEPが発効し、域内の関税が撤廃された場合、日本のGDP=国内総生産は0.6%押し上げられ、アメリカを除く11か国によるTPP=環太平洋パートナーシップ協定を上回る経済効果があるとしています。

また、そのほかの参加国のGDPも成長が見込まれ、中国が0.4%、インドが1.4%などそれぞれ押し上げられるとしています。

一方、RCEP域内での貿易の増加が増える分、RCEPに参加していないアメリカやEU=ヨーロッパ連合などについては、わずかながら経済成長にマイナスに働くとされています。

中国 米中摩擦の中 RCEPに積極的

アメリカとの貿易摩擦が長期化する中、中国はASEAN=東南アジア諸国連合などRCEPの参加国との経済的な関係を強めています。

中国のことし1月から9月までの貿易統計によりますと、中国とアメリカとの間の輸出と輸入を合わせた貿易額は貿易摩擦の影響で去年の同じ時期に比べて14.8%減少しました。

その一方で中国とASEANとの貿易額は去年の同じ時期よりも5.9%増え、アメリカを逆転してEUに次ぐ第2の貿易相手となったほか、オーストラリアとの貿易額も10.3%増えています。

中国政府もRCEPの交渉に積極的な姿勢を示していて、交渉を担当する中国商務省の王受文次官はことし9月の記者会見で「RCEPは参加国の人口が世界で最も多く潜在力も大きい。グローバルで保護主義が力を増している中で、大型の自由貿易協定を速やかにまとめることは非常に大きな意義がある」と述べ、年内の交渉妥結に強い意欲を示しています。

中国としてはRCEPの交渉に積極的な姿勢を示すことで自由貿易に前向きな態度をアピールし、アジア諸国との連携を急ぐとともに、トランプ大統領のもと保護主義的な姿勢を強めるアメリカに代わって、この地域での影響力を拡大したい思惑もあるとみられます。

中国の専門家「米に対抗するうえで重要な意義」

中国と東南アジアとの経済関係に詳しい中国国際問題研究院の姜躍春研究員は中国にとってのRCEPの意義について、「RCEPの参加国は経済面で世界で最も活気と潜在力があり、この地域との貿易関係が発展することは中国の輸出にとっても非常に利益がある」と述べ、アメリカとの貿易摩擦が長期化する中、中国にとって経済的なメリットが大きいという見方を示しました。

そのうえで「アメリカは単独主義や貿易保護主義を強めており、自由貿易体制がこれまでにない打撃を受けている。多角的な経済連携を着実に進めていくことはアメリカの単独主義を抑え込んでいく上でも有用なことだ」と述べ、アメリカに対抗するうえで重要な意義があると強調しました。

一方で姜研究員は、交渉の妥結の見通しについて、「知的財産権や技術移転といった分野では、参加国の意見に隔たりがあり、短時間で克服できるものではない。各国が妥結を望んでいるとは言え、年内にはあと2か月しかなく、まだ懸念や憂慮もあるだけにかなり難しいのではないか」と述べ、厳しい認識を示しました。

インド 市場開放に慎重姿勢 交渉妥結なるかカギ握る

人口13億を超える大国・インドは、大幅な関税引き下げなど市場の開放に慎重な姿勢を示していて、交渉が妥結するかどうかカギを握るとされています。

インドは貿易赤字国で、とりわけ中国に対しては、昨年度、530億ドルを超える巨額の貿易赤字を記録するなど、安い輸入品の攻勢にさらされています。

このため、RCEPによって関税が引き下げられ、大量の安い輸入品が流入すれば、国内産業に深刻な打撃を与えかねないとして、鉄鋼や繊維、酪農といった幅広い産業から反対の声があがっています。

このうち、インドのグジャラート州で繊維工場を経営するベカワラさんは、すでに海外からの輸入品との厳しい競争にさらされているとしたうえで、「もし、インドがRCEPに合意して、安い製品がどんどん輸入されるようになったら私のビジネスは破綻してしまう」と懸念を示していました。

こうした声に配慮して、インド政府は、RCEPの交渉で、関税の引き下げによって、中国などから大量の輸入品が流入した場合には自動的に関税を引き上げられる措置を認めるよう求めています。