マラソンと競歩 札幌開催の場合も課題は山積?

マラソンと競歩 札幌開催の場合も課題は山積?
東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移す場合、さまざまな課題があります。

追加の費用負担は?

急な変更に伴い、追加の費用負担が予想されます。

具体的には、
▽選手・関係者の宿泊費や飛行機などの交通費、
▽フィニッシュゲートやスタンドといった仮設の構造物や通信設備などの整備費などが新たにかかる見込みです。

費用負担についてIOCのコーツ調整委員長は「大会には予見しない状況に備えた予備費がある」と言及していますが、大会の予備費は東京都も含めてどこがどれだけ負担するかは決まっていません。

一方、東京都の小池知事は「会場が変更される場合、都としては負担ができない」と主張しているほか、組織委員会の武藤事務総長も「IOCがこの問題を投げかけたことを考えると、IOCにも負担をお願いしたい」としていて、IOCがどういう姿勢で臨むかが注目されています。

コースをどこにするのか?

札幌で実施する場合、マラソンのコースをどこにするかも決まっていません。

IOCが提案した札幌ドームを発着点とする案では公道につながる出入り口の幅が狭い上、ドームを借りられる期間も限られるなどとして、札幌市中心部の大通公園を発着点とする既存の北海道マラソンの案を最有力に課題の洗い出しを行っています。

雪が積もるとコースの測定などが難しくなることから、札幌に移す場合は早急なコース設定が必要になります。

また、関係者によりますと、札幌市の大通公園を発着点とする場合、大規模な観客席を設けることはスペースの面などで厳しいことから、競歩と同じようにチケット販売が行われない可能性もあるということです。

観戦チケットの取り扱いは?

その観戦チケットについても取り扱いが問題となります。

すでに8月9日に行われる男子マラソンと、8月2日に行われる女子マラソンを新国立競技場で観戦するチケットは販売されています。

札幌に移す場合、組織委員会は払い戻しに応じる方針ですが、女子マラソンは女子砲丸投げ決勝や男子400メートル予選などを含んだチケットになっていて、どのように払い戻すかは検討中です。

また、当選してチケットを購入した人たちについて、組織委員会マーケティング局の鈴木秀紀次長は「抽せんを経て購入していることを踏まえて、購入した人に寄り添う形でできるだけ丁寧に対応したい」と話しています。

選手や関係者の宿泊施設をどう確保?

夏の観光シーズンで全国から観光客が訪れる札幌市で、選手や関係者の宿泊施設をどう確保するかも課題です。

関係者によりますと、IOCは24時間食事を取れるといったサービスを受けられる選手村の「分村」はしなくていいという意向を示していることです。

ただ、セキュリティーの問題もあることから、一定程度の水準を満たした宿泊施設を確保できるよう、組織委員会はすでに調整を始めています。

運営スタッフやボランティアの確保は?

大会の運営に欠かせないのが、運営スタッフやボランティアの確保です。

東京大会では競技会場や選手村などで活動する「フィールドキャスト」と呼ばれる大会ボランティアに8万人を選んでいます。

このうち、マラソンと競歩にどの程度の規模のボランティアが必要か明らかになっていませんが、組織委員会は北海道在住のボランティアのほか、「札幌でも活動可能」として申し込んでいる道外のボランティアを充てることも検討しています。

ただ、長い沿道での活動など人手が必要だけに、十分な運営スタッフやボランティアを確保できるかは不透明です。

“心のレガシー”をどう残す?

会場が開催都市の東京から変更される場合に配慮が必要なのが、心のレガシーをどう残すかです。

マラソンはオリンピックの花形種目で、男子マラソンは閉会式の当日に新国立競技場で行われる唯一の種目です。

東京オリンピックのマラソンとほぼ同じコースで9月に行われた代表選考レース、MGC=マラソングランドチャンピオンシップには日本陸上競技連盟によりますと、沿道に52万5000人の観客がつめかけたということです。

マラソンと競歩はチケットがなくても沿道で観戦できる数少ない種目で、関係する地元の人たちも開催に向けた機運の醸成を図ってきました。

IOCのコーツ委員長は、マラソンや競歩など東京以外を競技会場とする選手たちが、閉会式の前に東京の沿道をパレードする案を提案していますが、組織委員会の森会長はこれまでに、「なかなか難しいと伝えた。オリンピック全体の日程は変更できないし、簡単に決めることではない」と実現は難しいという見方を示しています。