5+3が7になるのはなぜ?共感覚という個性

5+3が7になるのはなぜ?共感覚という個性
「子どもが、5+3=7と間違える。聞いてみたら、数字に色が付いて見えていた」子どもの母親という人のツイートです。子どもがなぜ、こうした答えを書いたのか、色が付いて見えたのか。

実は数字や文字などに、色彩などほかの感覚が一緒になって感じられる人がいます。「共感覚」と呼ばれる現象です。5+3を7にしたのには理由があったんです。(ネットワーク報道部 記者 目見田健・加藤陽平)

数字に色を感じる

5+3=7 いったい、どういうことか。

ツイートによると、子どもは、それぞれの数字に色がついているように感じるといいます。

5は深い緑を感じ3は黄色、7は黄緑を感じるといいます。

つまり数式だと5+3=ですが
色の感覚では深い緑+黄色なのです。
そこで子どもは深い緑に黄色を混ぜると黄緑になる。
黄緑を感じるのは自分の中では「7」だったというわけです。

エピソード続々

この共感覚のエピソードに対して、インターネット上では、“自分もそうだ” “子どもに共感覚がある”といった反応がたくさん寄せられていました。
なかには「まさに十人十色の感覚ですよね」と、自分の見える数字と色の対応表をアップする人も。
一方、少し苦労したというエピソードも。

共感覚とは

共感覚を研究している専門家がいました。みずからも共感覚があるという関西学院大学理工学部の長田典子教授です。人の感性を数値化して物作りに生かすという「感性工学」が専門です。
長田教授によると共感覚は文字や数字に色が付いて見えたり、音を聞くと色が見えたりするなど、通常の感覚に加えて別の感覚が無意識に引き起こされる現象のこと。

多くの種類があり、文字や数字に色を感じる「色字」。音を聞くと色を感じる「色聴」などがあります。

このほかにも
▽痛みから色を感じる
▽曜日や月から色を感じる
▽味から形を感じる
など150種類以上の共感覚が確認されているということです。

長田教授によると最近は「およそ4%の人に共感覚が見られる」との研究も発表されたそうです。

共感覚のしくみ

共感覚がなぜ生じるのか、メカニズムは解明されていないということですが、現在は大きく分けて2つの仮説があるといいます。

「脳の文字を知覚する部分と色を知覚する部分の神経が強く結ばれている」などといった異なった感覚の部分の間に強い結び付きがあるという仮説。

もう1つは、「脳に異なった感覚を統合する仕組みがあり、例えば聞いた音の感覚が本来なら流れない色の感覚の経路に信号として伝わる」という仮説です。

共感覚の特徴

また研究の結果、共感覚を持つ人に4つの特徴があるといいます。
【1】自分でコントロールできない。

【2】 人によって感じる色などは異なるが、その人の中では、変わることはなく一貫性がある。

【3】 名前や電話番号を色の並びで覚えるなど記憶を助ける役割をしている。

【4】 好き・嫌いや快・不快といった感情を伴う。
例えば共感覚がある子どもの中には計算の結果、答えの数字が汚い色・不快な色に感じて、きれいな色を感じる数字に置き換えてしまうケースもあるそうです。

実は長田教授自身も「色字」と「色聴」の共感覚があり、これまでの経験を踏まえて「好き嫌いなどの感情が伴うので共感覚が強すぎてコントロールできない場合は不都合なときもあると思います」と話していました。

【4】のように計算の答えが自分にとって「汚い色」という理由で「きれいな色」の数字に書き換えてしまうようなケースです。

一方で「成長するにしたがって多くの人が色と数字などを分けて受け入れてコントロールできるようになると思います」と話していました。

ちょっと困ったエピソード

文字に色が見える「色字」の共感覚を持つという24歳の会社員の方に取材することができました。

例えば、「紫」という文字は緑色に見えて、「白」という文字は青色に見えるそうです。
色ははっきりと付いて見えて、例えば紫という漢字を思いだそうとする時には、「どんな字だっけな、緑色なんだけどな」と考えてしまうので、「一瞬、混乱することもある」ということです。

そして少しだけ困ったというエピソードを1つ教えてくれました。会社に入社したてのころ、別の名字だけど、文字の色の組み合わせが全く同じに見える社員がいたということです。
どういうことかというと、仮に佐藤さんと田中さんがいたとしたら、「佐」も「田」も赤で、「藤」も「中」もピンクに見えたのです。

2人のことをうっかり逆の名前で呼んでしまうこともあったそうです。ただし、「頭の中で色がついているという感覚で生活に支障はないですよ」と話してくれました。

共感覚は個性

共感覚を研究している長田教授によると芸術家などに共感覚がある人が多いという研究もあり、芸術大学の学生では共感覚がある人の割合が高くなるという調査結果もあるそうです。
「共感覚は個性です。その個性を生かした可能性もたくさんあります。自分の子どもに共感覚があるようなら、なおそうとする必要はありません。考え方や整理のしかたを教えるサポートをしてあげてください」(長田教授)
共感覚がある人や子どもに共感覚があることがわかった人に対するアドバイスを聞くとそう答えてくれました。