ベルリン五輪の日本選手のアルバム見つかる 独の会社制作か

ベルリン五輪の日本選手のアルバム見つかる 独の会社制作か
1936年に開かれたベルリンオリンピックで、日本選手が活躍する姿などをまとめたアルバムが東京都内の写真家の自宅で見つかりました。4年後の開催が決まっていた東京大会への期待を込めてドイツの民間会社が制作したとみられ、調査にあたった専門家は「選手が交流する様子なども写っていて、ベルリン大会を振り返る資料として大きな意味を持つ」としています。
このアルバムは、表紙に日の丸が飾られ、1936年8月のベルリンオリンピックと、その半年前にドイツの別の都市で開催された冬の大会で撮影された113枚の写真が収められています。

秩父宮記念スポーツ博物館に1冊が残されているほか、東京都内の写真家が同じものを持っていることが新たに分かりました。

博物館によりますと、アルバムはドイツの大手たばこ会社が日本の関係者向けに制作したとみられ、冒頭には4年後の1940年に開催することが決まっていた東京オリンピックの成功を期待するベルリンオリンピック組織委員会からのメッセージが記されています。

ベルリンオリンピックはナチス政権下のドイツで開かれ、日本からは、およそ180人の選手が参加して、20人がメダルを獲得しました。
アルバムには、水泳の前畑秀子など、日本選手が活躍する姿を記録した写真のほか、選手村での海外の選手たちとの交流の様子を撮影した写真なども多く掲載されています。

秩父宮記念スポーツ博物館の学芸員、新名佐知子さんは「ヒトラー政権下の、ものものしい空気が伝わってくる一方で、選手が競技に集中している様子や、交流する様子がしっかり写っている。ベルリン大会を1つの側面だけでなく別の側面から振り返る資料として、非常に大きな意味を持つ」と話しています。

アルバムの写真は全部で113枚

アルバムに掲載されている写真は、全部で113枚におよび、1枚目は、ヒトラーが日本人に囲まれて何かをのぞき込んでいる様子を写した写真です。

秩父宮記念スポーツ博物館によりますと、当時の東京市の関係者がヒトラーに贈った「はかま」を見ている様子だということで、日本とドイツの親密さを強調していることがうかがえます。
そのあとには、日本選手の競技の様子を記録した写真が、説明文とともに競技ごとに掲載されています。

日本人女性として初めて金メダルを獲得した水泳の前畑秀子がゴールのあと、ほかの選手と健闘をたたえ合っている様子や、マラソンで金メダルを獲得したソン・ギジョン(孫基禎)のレース中の様子なども記録されています。

一方で目を引くのが、選手村での選手どうしの交流の様子を捉えた写真です。

各国の選手が集まって記念写真を撮影したり、記念品を交換し合ったりする様子が記録されているほか、日本の選手がボードゲームに興じたり、風呂に入ったりしている時の写真もあります。

秩父宮記念スポーツ博物館の学芸員、新名佐知子さんは「緊張のなか実施された大会の中でも、いろんな選手が一堂に集まって柔らかな表情をして談笑しているのは初めて見た」と指摘しています。

写真家の父の遺品として保管

新たに見つかったアルバムは、写真家の秋山亮二さんが、41年前に亡くなった写真家の父 青磁さんの遺品として保管していました。

アルバムの内容や、手に入れた経緯について父から話を聞く機会はなかったということですが、競技中の選手たち一人一人の表情などが的確に撮影されていて、当時のドイツの撮影技術の高さに驚いたといいます。

秋山さんは「今とは全然違う機材で、実にしっかりとした仕事をしている。当時のカメラマンたちの優れた業績も多くの人に知ってもらいたい」と話していました。

また、秩父宮記念スポーツ博物館は、2年前に同じアルバムの寄贈を受けましたが、これまで詳しい調査は行っていないということです。

アルバムからは、日本とドイツが協力して1940年の東京オリンピックを盛り上げようとしていたことがうかがえますが、日中戦争の影響で開催には至りませんでした。