どうなる?将来の車 ~モーターショーで見た、乗った、考えた

どうなる?将来の車 ~モーターショーで見た、乗った、考えた
自動運転や電動化、つながる車など、自動車業界は100年に1度の変革期と言われる。11月4日まで開かれる2年に1度の東京モーターショーでは、先を見据えた技術が一同に集まった。東京モーターショーは異業種参入で様変わりしたとは言え、やはり気になるのは車!自動車メーカー各社は「次世代の車」をどう展望しているのだろうか。(経済部記者 鈴木啓太・大江麻衣子)

電気自動車の投入相次ぐ!

今回の東京モーターショーで各社が相次いで発表したのが、電気自動車(EV)。将来のコンセプトカーだけでなく、来年、日本国内で発売予定の車が相次いで出展された。
トヨタ自動車が披露したのは、来年冬に発売する超小型EV。2人乗りで、幅がおよそ1メートル30センチと軽自動車よりもさらに小さい。

近所での買い物などの利用を想定していて、1回の充電で走行できる距離は100キロにとどめた。これによって販売価格を抑えたい考えだ。
ホンダも走行距離が200キロ程度の小型EVを発表。

さらに、マツダも同社としては初めてとなるEVをお披露目。SUV(多目的スポーツ車)で、まずはヨーロッパに投入し、国内での販売も念頭に置いている。
国内では日産自動車が2010年にEVの販売を開始したが、これまでほかの国内メーカーの動きは鈍かった。EVの去年1年間の販売台数は合わせて2万6000台余りと、新車全体のわずか0.5%。

ここにきて、ようやく各社の足並みがそろってきた形だ。これで日本でも本格的な「EV時代」が到来するのだろうか。

本格普及には、なお時間?

そもそも、各社がEVを投入する背景には、ヨーロッパや中国などで環境規制が厳しくなっていることがある。例えば、ヨーロッパでは基準を満たさなければ、当局に罰金を支払うことになり、自動車メーカーの中には、年間100億円規模を負担しているところもあるという。

日本でも新たな燃費基準の案が示されている。こうした環境規制への対応が必要なのだ。

ただ、EVの普及にあたって課題になるのは、依然として販売価格が高いこと。コストの中で大きなウエイトを占めるリチウムイオン電池の価格が下がっていないためだ。
デロイトトーマツグループがことし8月に行った消費者意識調査(インターネットを使って約2000人対象)では、約70%がEVの購入価格として「250万円未満」を希望しているという。

すでに市販されている日産のEVの車両価格は、1回の充電で走行できる距離が322キロ(WLTCモード)のタイプで330万円から、走行距離が458キロのタイプでは423万円からだ。消費者が求める販売価格との間にまだまだギャップがあるのだ。
今回、モーターショーで披露されたEVは、価格を抑えるために利用の範囲が限定されている。いずれも走行距離は100キロから200キロ程度と、遠出を想定していない。

取材していると、「まずは消費者がどういう使い方をするのか、ニーズがあるのかを把握していきたい」という声が聞かれた。各社が販売に乗り出したとしても、EVが一気にガソリン車に取って代わる存在になるとまでは言えなさそうだ。

自動運転社会を見据えて

自動車業界は始まって以来の大変革期にあると言われている。生き残るためには、電動化や自動運転、インターネットとつながる車、車を所有から利用のシェアといった最新の技術に対応できるかがカギとなる。こうした技術の実用化に向けた展示も多く見られた。
自動運転社会を見据えた技術の1つとして、目立ったのは「無人駐車」の技術だ。

日産自動車は、軽自動車タイプのEVに、駐車のための自動運転機能を搭載した。車がみずから駐車場で空きスペースを見つけて移動し、自動で停車。車に乗りたいときには、スマートフォンで呼び出せば、駐車場から自分の居る場所に来るというシステムだ。

一方、トヨタ自動車は、センサーやカメラなどの技術で、隣の車との距離がわずか20センチという狭いスペースでも自動で車庫入れができる技術を発表した。

実現間近!車はより便利に

また、車とインターネットをつないだサービスでは、大手部品メーカーのデンソーが車のトランクをいわば宅配ボックスとして活用するシステムを発表した。

インターネットで商品を注文すると、そのデータが配達員に送られる。配達員は、車の場所が示された地図をもとに移動。そして、車が止まっている場所に着くと、スマートフォンをカギがわりにトランクを開けて、商品を納める。外出先でも荷物を受け取ることができるようになるという。

一方で、遊び心をくすぐるのは、スズキのコンセプトカー。言うならば、“変身する車”だ。
ベースはクーペタイプだが、スイッチを押すと車の後部が動き出し、ワゴンタイプに変わる。外見だけでなく、運転するモードをスポーツモードやEVモードに変えたり、車内の内装も液晶や木目調に変更したりできる。

「ドライブそのものを楽しみたい」
「たくさんの荷物を乗せるスペースが重要」

車の保有台数が減る中でも、家族それぞれの好みや目的に応じた使い方に切り替えられるようにすれば、1つの車をシェアして楽しんでもらえるのではないか。そんな発想だ。

車をどう使いたいですか

自分なら、将来、車をどのように使うだろうか。モーターショーを歩き回りながら、そんなことを考えた。

便利さとともに、事故の防止や運転の負担軽減につながるような技術の進展に期待したい。自動運転技術がさらに進み、公道で当たり前のように走行するようになるには、事故やシステムトラブルが起きたときの責任や対応など、社会的に議論しなければなならない課題も残されている。

技術の進展と合わせてそうした議論が進み、100年に1度の変革期の先に、誰にとっても、安心・安全で便利な車が生まれていればよいと思う。
経済部記者
鈴木啓太
平成15年入局
経済部から帯広局で1次産業を中心に取材
現在自動車業界を担当
経済部記者
大江麻衣子
平成21年入局
水戸局 福岡局を経て経済部
自動車業界を担当