「地下神殿」が市街地守る 浸水被害を大幅減 埼玉 春日部

「地下神殿」が市街地守る 浸水被害を大幅減 埼玉 春日部
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台風19号の大雨では、埼玉県春日部市にある「地下神殿」とも呼ばれる世界最大級の地下放水路が、浸水の被害を大幅に軽減する役割を果たしました。
春日部市にある「首都圏外郭放水路」は、埼玉県東部の水害対策のために国がおよそ2300億円かけて建設しました。

近くを流れる5つの川から取り込んだ水をいったん放水路にため、ポンプを使って川幅が広い江戸川に排出して氾濫を防ぐ仕組みです。

長さが6.3キロと世界最大級の地下放水路で、水をためる巨大な水槽は59本の柱がそびえ、「地下神殿」とも呼ばれています。

江戸川河川事務所によりますと、今月12日の午前11時半から地下の水槽に水が入り始め、午後7時前には巨大な水槽から江戸川に排出を始めたということです。

一時的に貯水した量はおよそ1200万立方メートル、東京ドーム9杯分に達し、施設が完成した平成18年以降3番目に多かったということです。

河川事務所によりますと、この放水路をはじめ4つの施設が稼働したことなどで、今回と同じ程度の雨量を観測した昭和57年の台風18号と比べて、中川と綾瀬川流域の県内24の自治体の浸水被害は以前の20分の1以下に減ったということです。

首都圏外郭放水路管理支所の高橋正樹支所長は「江戸川の水位があと1m高ければ排水できず緊迫する場面もあったが、地域の浸水被害を軽減することができて安心した」と話していました。

専門家「内水対策に効果」

川の氾濫や防災に詳しい埼玉大学の田中規夫教授は「川が決壊するなどして住民が危ないと思ったときには、市街地で水があふれる『内水』氾濫で避難できないこともある。放水路は『内水』を逃がすために効果的だった」と指摘しています。

田中教授は、首都圏外郭放水路をはじめ複数の放水路と遊水池が、埼玉県東部や、低地にある東京 江戸川区や葛飾区などの浸水被害を抑える効果があったと分析しました。

そのうえで、首都圏外郭放水路のような施設があるからといって洪水は起きないと安心せず、地域のハザードマップなどを確認し、避難など適切な行動をとることが必要だとしています。

また、大規模な施設だけでなく、建物や道路の地下を遊水池として活用するなど、対策を強化する必要があるとしています。