マラソン・競歩の「札幌」検討 陸上関係者は困惑

マラソン・競歩の「札幌」検討 陸上関係者は困惑
東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌へ変更する検討が始まったことについて、国内の陸上競技関係者からは困惑の声が相次ぎました。
IOC=国際オリンピック委員会は、16日夜7時半すぎ、東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を猛暑の対策を理由に札幌へ変更することを検討していると発表しました。

これについて日本陸上競技連盟の風間明事務局長は、国際陸上競技連盟などから事前の連絡がなかったことを明かしました。

また、マラソンの強化を担当する幹部なども一様に「知らなかった」「なぜいまになって」と話すなど戸惑いは大きく、IOCの対応が極めて異例のものだったことを物語っていました。

東京オリンピックのマラソンと競歩のコースは、去年5月に発表され、日本陸連は先月、このコースでマラソンの代表選考レースMGC=マラソン グランド チャンピオンシップを開催しました。

スタートとフィニッシュ以外は、オリンピック本番と同じコースという触れ込みで、気候条件も本番に近い環境で行われるため、日本選手は来年の東京オリンピックに向けて大きなアドバンテージになると考えられていました。

そうした中で、突然、会場変更が検討されることについて、代表に内定した指導者からは「もともと暑い時期で大丈夫かという話がある中、準備を進めてきた。いまさらだ」などと一様に困惑の声があがりました。

女子マラソンの代表に内定している鈴木亜由子選手を指導する高橋昌彦監督は「監督のわれわれは戦略を考えればいいが、選手たちはあのコースをイメージして練習を積んできたのでとまどいが大きいだろう。決まれば頭を切り替えてやるしかない」と、これまで準備に準備を重ねてきた日本の選手たちに与える影響を心配していました。

有森さん「考えていくことは大事」

女子マラソンでオリンピック2大会連続のメダルを獲得した有森裕子さんは「この時期に、この場所での変更というのは少し驚きだった。ただ、実際に可能かどうかは別にして、こういうことを考えていくことは大事なのではないか」と述べ、開催地の変更を検討していることについて一定の評価をしました。

検討の要因については、先月からカタールのドーハで開かれた世界選手権をあげ「過酷な天候や状況で本当に大丈夫かと思い、判断したのだと思う」と述べました。

そのうえで「選手への影響は少ないと思う。涼しくなるのはありがたい話だし、コースの変更もそれほど慌てることではない。どういう条件であっても強い選手は強いし、勝敗が大きく左右されることはないはずだ。この変更がプラスに働いてほしいし、プラスに働かせるべきだ」と話しました。

組織委「選手の健康は最重要事項」

IOCが東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を移すことを検討していると発表したことについて、大会組織委員会は「選手の健康は、組織委員会にとっても最重要事項です。組織委員会としてはIOCとの調整委員会で、東京都とも連携し、この件の関係者と議論します」とコメントを出しました。

東京 小池知事「驚きを感じる」

来年の東京オリンピックのマラソン競技は、開催都市の東京都にとって、都内の観光名所をめぐり、多くの観客に見てもらうことができる、大会を象徴する競技の1つでした。

このため、暑さへの懸念が出る中で、都として沿道の観客を暑さから守る対策などにも力を入れてきました。

それだけに、IOCがオリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移すことを検討していると発表したことについて、都の幹部からは「チケットを持っていない都民も楽しめる競技で、沿道の自治体も独自のボランティアを出そうとするなど準備を進めてきた。突然の発表にがっかりしている」という声も聞かれました。

東京都の小池知事は「マラソン・競歩の変更に関する計画が、唐突な形で発表されました。このような進め方については、多くの課題を残すものであります。都は組織委員会とも連携して、ハード・ソフト両面からさまざまな暑さ対策を講じてまいりました。マラソン・競歩のコースや開始時間は、開催都市である東京都、組織委員会が、IOCなど関係団体と協議しながら決定してまいりました。それだけに、今回の突然の変更には、驚きを感じるところです。都民をはじめ、多くの関係者に対する十分な説明を求めます。今月末に開催される調整委員会での協議には、地元自治体などと協力し、対応いたします」というコメントを発表しました。

札幌で行われる北海道マラソン

今回、東京から会場を移すことが検討されている札幌では、日本陸上競技連盟が公認する唯一のフルマラソンのレースとして、毎年夏に北海道マラソンが行われています。

北海道マラソンは、国内では珍しい真夏に行われる大会で、女子の日本代表に内定している前田穂南選手と鈴木亜由子選手はこの大会の優勝経験者で、過去にはオリンピックで2大会連続してメダルを獲得した有森裕子さんも優勝しています。

北海道マラソンは札幌市中心部の大通公園をスタートとフィニッシュするコースで、北海道大学の構内を走るなど特徴的な大会として市民ランナーの人気も集めています。