テレビ朝日「スーパーJチャンネル」不適切演出で謝罪

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」不適切演出で謝罪
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テレビ朝日は、報道番組「スーパーJチャンネル」で業務用スーパーマーケットを利用する一般の客などとして取り上げた複数の出演者が、実際には番組の契約ディレクターの知人で初対面のように偽って撮影していたと発表しました。テレビ朝日は「極めて不適切な演出で、やらせと言われても仕方がない」として謝罪しました。
テレビ朝日は、ことし3月15日の夕方の報道番組「スーパーJチャンネル」で、業務用スーパーマーケットを利用する一般の客の人間模様を伝える企画を放送しました。

しかし、今月、匿名の情報提供を受けて、社内調査を行った結果、取り上げた客のうちの4人がこの企画を取材・編集した関連会社の契約ディレクターの男性の知人だったことがわかったということです。

ディレクターは4人に直接、撮影の依頼はしていなかったものの、スーパーでの取材のスケジュールを事前に伝えていて、現場では初対面であるかのように偽って撮影していたということです。

企画には、客として出演した1人が、別の女性と登場する場面がありましたが、この女性もディレクターの知人で、初対面のように撮影されていたということです。

ディレクターは俳優養成教室の講師も務めていましたが、5人のうちの4人は教室の生徒で、調査に対し、知人やスーパーに謝礼は支払っていないとしたうえで「知人に声をかけることは許されないにもかかわらず、明確な指示をしなければいいのではないかと都合よく解釈をした」と話しているということです。

テレビ朝日の篠塚浩常務は「極めて不適切な演出で、『やらせ』『しこみ』だと言われても仕方がない。番組に対する信頼を著しく傷つける大変重大な問題であり、関係者の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪しました。

そのうえでテレビ朝日や関連会社は、幹部らを報酬の一部返上や懲戒停職などの処分にしました。

テレビ朝日は今後、番組は継続するものの、この企画のコーナーの放送を一部中止し、今後さらに調査を進めてBPO=「放送倫理・番組向上機構」に結果を報告するとしています。
以下、テレビ朝日が16日に行った記者会見の説明です。

会見冒頭

当社の夕方のニュース番組、「スーパーJチャンネル」の、ことし3月に放送いたしました企画コーナーにおきまして、極めて不適切な演出があったことが判明いたしました。

匿名の情報提供をきっかけに社内で検証プロジェクトを立ち上げて調査を進めてまいりましたが、このたび事実関係につきまして一定の確認が取れたことから、これまでに明らかになった事実につきましてご説明をさせていただきたいと思っております。

問題の企画とは

問題の企画は、3月15日金曜日の17時36分から17時53分の枠で放送しました。

業務用の食品などを扱うスーパーマーケットに密着し、業務用でありながら業者でなく個人で買い物に来たお客さんたちの人間模様を描く業務用スーパーの意外な利用法、というタイトルでおととし2月から不定期放送していますシリーズの第5弾です。

このなかで登場するスーパーのお客さんのうち主要な部分を構成している4人が、この企画を取材・編集した契約ディレクターの知人だったことが判明いたしました。

お配りいたしました資料補足と書いた資料をご覧いただければと思います。

出演者がディレクターの知人

人物1から人物5まで記入してありますが、このうち1番の袋入りの焼きそばの麺を大量に購入する女性、2番の子どもの使いを見守る女性、3番のサラダを購入する男性、5番のブロッコリーを大量購入する女性、これらがスーパーのお客さんとして登場いたしますが、この4人は当該ディレクターの知人でした。

ディレクターはこの4人を含む多くの知人に対し、店に来てほしいなどといった直接的な依頼はしていないものの、ロケのスケジュールなどを教えていました。

これを聞いた知人の何人かは自発的に来店するだろうと想定していたということです。

これを受け、4人がそれぞれ来店したところを、あたかも初対面のふりをしてカメラを回していました。

当該ディレクターは映画監督の経験があり、俳優養成教室の講師をしていて、資料にあります4人のうちの3人の方はその教室の生徒でした。

それから別の専門学校の講師もしていて、2番の女性はそちらの仕事で面識のある人物でした。

この4人は当該ディレクターの想定どおり来店しましたが、現在までの当社の調査では、事前に当該ディレクターとロケ内容の打ち合わせをした形跡はありません。

また店内の撮影ではスーパーの関係者が原則は同行していましたので、その場で指示や相談する機会はなかったと思われます。

4人は店内ではそれぞれの必要に応じて自分用の買い物をしていて、その際に受けたインタビューでもそれぞれ本人自身の家庭のエピソードなどを話していたと当該ディレクターは説明をしています。

そして、2番、3番、5番の人物はエピソードの補強のため、スーパーの後に自宅の撮影もしています。

このうち3番の男性については路上で4番の女性に交際を申し込むシーンを撮影し、放送しましたが、こちらの4番の女性も俳優養成教室の教え子でした。

当該ディレクターはこの交際を申し込む場面を撮影したいなどといった依頼はしていないと説明しています。

当該ディレクターは出演したこの5人に対して謝礼などは支払っていないと話しています。

念のため付け加えますと今回のロケの現場を提供して下さったスーパーは当該ディレクターからは何も知らされていませんし、このような不適切な演出には一切関わっていませんでした。

当社としましてはこのような事態となり大変なご迷惑をおかけしてまことに申し訳ございませんとすでに謝罪をしております。

チェック体制あるも不適切な演出発見できず

問題の企画枠は、当社との業務請け負い契約に基づきまして、関連会社でありますテレビ朝日映像株式会社が制作しています。

当該ディレクターはさらに別の派遣会社と契約していまして、この派遣会社とテレビ朝日映像との派遣契約に基づき去年の3月から、スーパーJチャンネルの企画枠の制作に携わっていました。

先ほど不定期のシリーズ企画の第5弾と申し上げましたが、過去4回は別のディレクターが担当しており、当該ディレクターがこのシリーズを担当したのはこの企画が初めてです。

当該ディレクターはこの企画が放送された後、4月からは派遣先が変わっていまして現在は当社での仕事はしていません。

体制ですが、テレビ朝日映像の業務請負枠ということで、当該ディレクターの上にはテレビ朝日映像のチーフディレクター、さらにその上にはテレビ朝日映像のプロデューサーがいます。

お配りした資料の後段をご覧ください。

まず企画会議でテレビ朝日映像から企画提案があり、テレビ朝日が了承いたしました。

その前後に当該ディレクターがこの企画の担当に指名されました。

ほぼ1週間のスーパー密着ロケは当該ディレクター1人で行っています。

3月5日にはロケ内容の報告書がテレビ朝日映像のチーフディレクターに提出され、そのあとに編集作業があり、テレビ朝日のデスクらも交えての3回のプレビューを経て放送に至っています。

この一連の過程で不適切な演出には誰も気付きませんでした。

当該ディレクターからは過剰な演出や仕組みなどをしていないかなどといった項目を自己申告させる報道局のチェックシートが提出されています。

さらに放送後のトラブルを避けるために取材対象者の顔写真と名前連絡先の提出も義務づけているんですが、これも先ほどから申し上げているお客さん4人分は提出されています。

手続き的には当社報道局のルールどおりにチェックしたのですが、不適切な演出を発見できませんでした。

当該ディレクターは当社の聴取に対し、不適切な演出を行ったことを認めたうえで深く反省していると話しています。

今後は当該ディレクターが取材編集した別の企画についても問題がなかったかどうかを検証を進めます。チェック体制に不備がなかったかどうか。

さらには制作体制に問題がなかったかどうかについても徹底的に検証したうえで、しっかりとした再発防止策を策定いたします。

また当該企画を放送したスーパーJチャンネル金曜日17時36分からの枠については、今後は企画の放送を中止いたします。

この案件に関しましては放送倫理に関する事案ですので近くBPOに報告する予定です。

今回の問題は、当社の番組に対する信用を著しく毀損する傷つける大変重大な問題であると認識しております。

視聴者の皆様方関係者の皆様、そしてロケ現場を提供して下さったお店の関係者の方々に深くおわび申し上げます。

記者との一問一答

Q 当該のディレクターが関わったものは何本あって、すべてスーパーJチャンネルなのか。
A 合計で13本あり、すべてスーパーJチャンネルです。今回問題になった企画を入れ、13本です。

Q 対象となった番組の放送エリアは全国ネットだったかローカルだったか。この企画の17時36分の枠のコーナー名は。
A 17時36分から17時53分の金曜日で、この放送をしてした3月の段階の放送エリアは、テレビ朝日を含めて14局ネット。私ども24局ネットフルネットございますが、そのうちの14局ネット。コーナー名は特にございません。

Q お詫び放送の予定は。
A 私どもの報道番組で適宜扱わさせていただきますし、明日のスーパーJチャンネルで放送させていただきます。

Q このディレクターはこのようなことをしてしまった理由というか動機みたいなものはどのようにお話しされているんでしょうか。
A 本人からは何回か聴取しておりますが、こういうふうに説明しております。「番組制作に自信がなくなっていて知人に声をかけることは演出として許されないにもかかわらず、明確な指示さえなければやっていいのではないかと自分に都合よく解釈していた」と話しています。

Q 自信をなくしていたというのは具体的には、自分でその一般人をつかまえることができないとかそういったことなんですか。
A あくまでも本人の説明によると、先ほど申し上げた前にやった12本のうち、これに類似する企画もあるんですが、その時にあまり自分の思うようにできなかったことから、自信がなくなっていたということだと思います。

Q 実際にこの日の日程を伝えて、かつ面識があって登場されているのは5人なんでしょうか4人なんでしょうか。
A 人物1、2、3、5につきましては、ロケスケジュールを聞いて集まってきたものです。人物4に関しましては、人物3から告白を受けるというシーンが放送されたんですが、これに関しましてはロケスケジュールを聞いたわけではなくて人物3からの呼びかけに応じてきたという形です。

Q 日程を知らされていたのこの1、2、3、5のの4人ということか。
A 日程を知らせた人数はもっと多くいたんですが、実際に店を訪れてしかもロケをして、しかも放送で使われたのはこの4人になります。

Q 実際に日程を聞かされているのは何人ぐらいいらっしゃるのか。
A 私どもとして把握しておりません。

Q 匿名の情報提供がきっかけということですが、この情報提供があったのは、いつどういう形で提供があり、その後、社内でどういう調査をされたか。
A 匿名の情報提供があったのが10月4日です。7日月曜日に当社の専務をリーダーとし、調査チーム検証プロジェクトを立ちあげまして、この間、事実関係の調査をしてきたということです。どういう形で情報提供があったかは、匿名の方に結び付く可能性があるので答えは控えさせていただきます。

Q ディレクターは男性なんですか女性なんですか。
A 男性です。

Q 年齢は。
A 49歳です。

Q この特集は、匿名映像ではなくて直接顔を出しての放送だったのか。また大勢の場でロケスケジュールを伝えていたという、これは俳優養成教室の講師をされていたところなのでその授業とかの中で話をされていたんでしょうか。
A 5人のうち4人が実際に顔を出して画面に出ています。あと1人はロケのスケジュールを聞いていなかった方で、この方については映像を加工しています。また、ロケのスケジュールは俳優養成教室の授業の中ではなく、授業終了後の雑談の中で話をしたと説明しています。

Q 現場に来たらテレビに映りますよとか、そういう言い方をしていたのか。
A そこまで具体的な話ではありません。こんな事をやるんだよみたいな感じだったと聞いています。

Q 出演者は報酬のようなものを受け取っていたんでしょうか。
A 報酬は払っていないということです。

Q きょうこのタイミングで会見を開いた理由は。
A 10月4日に情報提供があってから10日余り。事実関係が確認され次第発表しようということでこの日のこの時間になりました。

Q 担当したディレクターはテレビ朝日映像に所属していたのか。
A 担当ディレクターは派遣会社に所属し、派遣会社からテレビ朝日映像に派遣されていました。

Q 再発防止に向けて、派遣社員の研修など今後の教育方針は。
A このディレクターは去年3月にテレビ朝日映像に派遣された際に1度コンプライアンスの研修を受けてます。こういう不適切な演出はだめだという内容です。さらには同じ月にもう1度、定例となっている研修も受けています。2回の研修を受けたけれども、こういう形になってしまったということです。今後、研修の在り方やテレビ朝日の制作体制、関連会社の制作体制、テレビ朝日からの発注のしかた、作品が出来上がるまでのチェック体制を改めて総ざらい検証してきちんとした再発防止策を立てていきたい。

Q 組織としての問題点があったと感じるところは。
A 今回は1人でロケをしています。当然1人がいい場合とそうでない場合もあると思います。例えばこういう形のロケの場合には複数で行くみたいな形が今後できないかなと考えています。こうした点を含めて全体を見直してしっかりした対策をとっていかなければならない。

Q 出演者へのヒアリングは行ったのか。
A 全員ではありませんが、ご了解いただいた方からはお話をうかがいました。「ロケスケジュールを聞いたので、面白そうだから来てみたらカメラを回された」とおっしゃっていて、一部の方はJチャンネルの取材だと気が付かなかったということです。

Q 出演を断りづらい関係性だったのではないか。
A そういうことではないと思います。人によって違うと思いますが、面白そうだから来たとか、ハプニングみたいだから来たとかいう方もいましたので断りにくいとかそういうことではないと思います。

Q ディレクターが「番組づくりに自信がなくなった」という趣旨のことを言っているということだが、局側から相当厳しい事を言われたということはあったのか。
A 基本的には業務契約のため局からこのディレクターに対して何らかの指示をするということはありません。私どもテレビ朝日が関わっているのは3月12日、放送の2日前の試写のタイミングです。この段階では当該のVTRの尺が少しだけ長いということでした。

Q 撮ってきたものに対して厳しく言ったということではなかったのか。
A テレビ朝日側がテレビ朝日映像に対して言うことはあると思います。それでテレビ朝日映像のほうから当該ディレクターにいろいろ話があるっていう場合は当然あると思います。実際現場でどういうやり取りがあったのかや制作体制の問題についてはしっかり検証して再発防止に役立てていきたい。

Q 今回の件はいわゆる「仕込み」や「やらせ」というものにあたるとお考えか。
A 正直いいますと、そういうご指摘を受けても否定はできないかなと思っております。

Q 担当したディレクターは、現在もテレビ制作に関わっているのか。
A 現在当社では仕事をしていません。

Q テレ朝映像のチェックや指導は、問題がなかったのか。
A これから制作体制に問題がなかったどうか徹底的に検証していこうと思っています。

Q このところBPOでいろいろ案件が増えている状況でこういう事になったことに対する率直な受け止めを。
A 大変重大な案件と受け止めておりまして、視聴者の皆様と関係者の皆様におわびするとともにしっかりとした再発防止策を立てなければいけないと思っています。こういう事案が起きてしまった以上はチェックが足りなかったというしかないと思います。

Q ディレクターさんご本人の責任追及、例えば損害賠償請求するということは。
A 現状は検討はしておりません。ただその派遣元に関しましては、派遣先であるテレビ朝日映像から何らかの抗議をすると聞いております。

Q こちらでも取材をしましたところ、お店の方は全く関知していないという説明でしたが、お店のほうから当該のディレクターさんに一定の謝礼みたいなものがいってる可能性もあるじゃないのかっていうようなお話もありまして。何らかの報酬を渡していたっていうことになるとちょっと話はまた変わってくると思いますが、そういったことがもし仮に明らかになった場合、番組自体の存続というか。そういうことも含めて処分は変わっていく可能性あるのか。
A 少なくとも私どもの調査ではそのような事実はございません。今の段階では。

Q 今回はあくまでも「仕込み」とか「やらせ」ということではなく不適切な演出だったのか。それとも「やらせ」とか「仕込み」ということについては否定できないという考えを示されていましたが、それについてのご認識を改めてお伺いできればと思います。
A 「仕込み」とか「やらせ」っていうことも、そういうご指摘を受けても致し方ない不適切な演出だったというふうに考えております。

Q BPOなんですけれども近く報告されるということですが、これはどういったタイミングでされますか.
A 内部検討したうえで報告をいたします。

Q 細かい点ですが、全部で今回のも含めて13本の当該ディレクターが担当した作品があったということですが、これの放送期間というのは何月から何月になるのでしょうか。
A 昨年の4月からことし3月です。(最後に)改めてですけれども今回の問題につきまして視聴者ならびに関係者の皆様まに改めておわびをいたします。大変申し訳ございませんでした。