「少しでも力に」 支援始まる

「少しでも力に」 支援始まる
「少しでも力になりたい」
「ふんばって」
「一刻も早く日常が戻るように」ーー

大切なふるさと、仲間やお世話になった人が暮らす地域への支援が始まっています。

台風19号で被害を受けた人たちをいち早く支援したいという気持ちが「ふるさと納税」に集まっています。(ネットワーク報道部 野田綾 目見田健)

「返礼品のない寄付」に2700万超

被害が広い範囲におよんでいる台風19号。
被害の全容の把握と共にどこにどのような支援が必要か、情報発信や体制作りが求められています。

そんな中、心配と応援の気持ちがいち早く集まっているのが、被災した自治体へのふるさと納税です。

支援したい自治体に直接寄付することができ、寄付金は各自治体の判断で必要な復旧活動に使われます。

たとえば、台風15号の被害にあった千葉県南房総市では、集まった寄付金を被害に遭った保育園や幼稚園、小中学校、それに道の駅などの施設の修復に活用する方針が決まりました。
台風19号が接近、上陸した直後の13日、ふるさと納税仲介サイトの1つ「ふるさとチョイス」は被災地支援ページを立ち上げ、手数料無しで寄付の受付を始めました。

返礼品で注目を集めたふるさと納税。被災地の支援を目的とした「返礼品のない寄付」に15日午後5時の時点で42の自治体に2700万円余りの寄付が集まっています。
このほか、仲介サイト「さとふる」にも21の自治体に1600万円余りが集まっています。

応援させてください。落ち着いたら観光に行きます!

仲介サイトには寄付と一緒にたくさんの応援メッセージが届いています。「不便な生活から早く抜け出せるよう、応援しています」
「台風の日、地元のみんなの安否が心配でなりませんでした。大好きなふるさとで、みんなが安心して暮らせますように」

旅行で訪れた土地の被害を知り支援を届けた人も。
「毎年、上田に旅行に行ってはいろんな方の優しさに触れています。どうか皆様のお役に立ててほしいです」
「真田丸ファンです。毎日少しずつでも前に進めるように微力ですが応援させていただきます」
「微力ながら応援させてください。落ち着いたら観光に行きます!」

ありがたい反面、悩みも

災害からの復旧を進める自治体にとって貴重な寄付金。
しかし、災害対応に当たりながらその事務手続きをするのは困難を極めます。

そこで被害を受けていない自治体が被災地の自治体の代わりに寄付を受け付ける「代理寄付」という仕組みが取り入れられました。
「ふるさとチョイス」のサイトで全国の自治体で初めて代理寄付を引き受けたのは茨城県境町。

きっかけは、4年前、平成27年9月の関東・東北豪雨でした。被害からの復旧に取り組む境町におよそ2000万円もの寄付がふるさと納税によって集まった反面、災害対応にあたるなか、納税証明書の発行という事務手続きが職員を悩ませました。

代理すればいいのでは?

「どこか別の自治体が代理で受け付ければいいのでは?」

対応に苦しんだ自分たちの経験から、こう考えた境町。
3年前の熊本地震のときに熊本県へのふるさと納税の代理寄付の受け付けを全国の自治体で初めて行いました。

受け付けた寄付は全額、被災した自治体に送り、事務作業の経費は代理している町が負担します。

その後、この動きは他の自治体にも広がり最終的には40を超える自治体が代理寄付を行ったということです。

大きな被害知って代理を申し出ることも

境町では今回の台風19号で被害を受けた▽長野県長野市、▽神奈川県山北町、▽茨城県水戸市の合わせて3つの自治体のふるさと納税の代理寄付を行っています。

このうち長野市は、ニュースなどを見て被害が大きいことを知った境町の職員が長野市に直接連絡して代理寄付を申し出たそうです。

境町の担当者は、「過去の経験から誰かがやらないと被災した自治体に負担がかかると思いました。助け合えるところは助け合って少しでも早く被災地が復興することを願っています」と話していました。

強まる自治体のつながり

一方、先月の台風15号の影響で大きな被害を受けた千葉県の鋸南町。
ふるさと納税の代理寄付を、友好都市関係を結んでいる長野県辰野町が担ってくれました。

鋸南町は被災当時、電話もインターネットもつながらず、外部との連絡手段がなかったといいます。

そこで動いたのが、近隣にある館山市。鋸南町の厳しい状況を館山市の職員が辰野町に伝えたことで、ふるさと納税の代理寄付を引き受けてくれたそうです。

15日までに「ふるさとチョイス」に寄せられた鋸南町へのふるさと納税は、およそ2600件、総額は4200万円余りです。

鋸南町によるとふるさと納税の担当者は1人だということで、担当者は「もしも、受け付けを引き受けてもらわなかったら1人で2000枚以上の納税証明書の発行業務を行わなければならなかった可能性がありました」と話していました。

代理受付によって、この担当者は支援物資の配布などにあたることができたということです。

一方で、こんな苦しい胸の内も。
「書類の発行などふるさと納税の業務が増えることは明白なので、被災している自治体だからといってほかの自治体に代理寄付をお願いするのは気が引けてしまう。当時、連絡手段があったとしてもお願いできたかどうか…。こちらから言わなくても引き受けてくれた自治体には感謝しかありません」(鋸南町の担当者)
ふるさと納税制度に詳しい神戸大学大学院経営学研究科の保田隆明准教授も災害時の自治体間のつながりが大切だと指摘しています。
「災害時は被災地の自治体にとって寄付にかかる事務作業が負担になるため、他の自治体が代理寄付を受けてくれることが望ましい。そのために被災地は、代理寄付をお願いしたいという希望を積極的に発信する必要がある」
さらに災害の支援の手段としてふるさと納税が利用されることについて「ふるさと納税は間接コストがかからないこと、どのように使われるか明確に示されること、短時間で自治体に届けられることという3つのメリットがある。災害時はふるさと納税のもつ本来の地域支援という目的がいちばん機能する機会だ」と話しています。

そのうえで、「まずはお金で寄付をし、どのような支援が求められているか明らかになってきたら、物資やボランティアなどに支援を広げていくことが望ましい」と話していました。