日本が初のベスト8 強豪スコットランド破り4連勝で決勝Tへ

日本が初のベスト8 強豪スコットランド破り4連勝で決勝Tへ
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ラグビーワールドカップ日本大会で、日本は1次リーグの最終戦でスコットランドに28対21で勝ってグループAの1位となり、9回目の出場で初めてのベスト8進出を決めました。
ここまで3連勝の日本と、2勝1敗のスコットランドがともにベスト8進出をかけた1次リーグの最終戦は、台風19号の影響で実施できるか懸念されましたが、会場を早朝から確認した結果、予定どおり実施することが決まりました。
大一番の会場となった横浜市の横浜国際総合競技場は6万7000人を超える観客で埋まり、試合前には両チームの選手たちが観客とともに台風の犠牲者に黙とうをささげました。
試合は、スコットランドが前半6分にトライを決めて先制しましたが、その後は日本が相手陣内でボールをキープし、17分に福岡堅樹選手から松島幸太朗選手へとつないでトライを返し、ゴールも決まって7対7の同点に追いつきました。

日本はタックルを受けながらもつなぐ「オフロードパス」を効果的に使って、25分にフォワードの稲垣啓太選手が代表で初めてとなるトライを決めて勝ち越し、前半終了間際の39分には福岡選手が3試合連続のトライを決めて21対7とリードして折り返しました。

さらに後半2分に福岡選手がこの試合チーム4つ目となるトライを決めてリードを広げ、その後、スコットランドに2つのトライを返されましたが、最後まで集中した守備を見せ、28対21で逃げきりました。

日本はトライを4つ以上決めたチームに与えられるボーナスポイントも獲得して勝ち点を「19」に伸ばし、1次リーグ4連勝でグループAの1位となり、9回目の出場で初めてのベスト8進出を決めました。

「ティア1」と呼ばれる世界の強豪10チーム以外のチームが1次リーグを全勝するのは、今回の日本が初めてです。
スコットランドは2勝2敗の勝ち点「11」で、1次リーグ敗退となりました。
日本の決勝トーナメント初戦となる準々決勝は、今月20日に東京 調布市の東京スタジアムで行われ、グループB2位で優勝2回の強豪、南アフリカと対戦します。

世界ランキング 日本は過去最高の7位に

スコットランドに勝ったことで、日本は最新の世界ランキングで、過去最高を更新する7位に上がりました。
ラグビーの世界ランキングは、国際統括団体の「ワールドラグビー」が各チームの試合結果をポイントに換算していて、ワールドカップの期間中は各試合を終えるたびに更新しています。
日本はスコットランドに勝利したことで、世界ランキングが8位から過去最高を更新する7位に上がりました。
トップ10では、日本と入れ代わって、フランスが8位に下がりました。
準々決勝で対戦する南アフリカは、世界5位です。

日本 ジョセフHC「ディフェンスもアタックの1つ」

日本のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは試合後の記者会見で、冒頭に「台風で甚大な被害が出て、亡くなった方や行方不明の方もいて、そのことをチームで話した。試合中厳しい時間帯のときにもそのことが頭をよぎった。多くの方のおかげてきょうの試合が開催できた」と話しました。

そして、「スコットランドは最初から真っ向勝負で来た。きっ抗する場面もあったが、私たちは最後まで諦めない心で、この試合の正念場をなんとか乗り越えることができた」と、強豪を破って初のベスト8進出という快挙を成し遂げた試合を振り返りました。

ジョセフヘッドコーチはさらに、「アタックと言うとボールを持っている時のことを考えると思うが、私たちはディフェンスもアタックの1つだ。ディフェンスからチャンスが生まれ、トライになったこともあった」と話し、得点につながった積極的なディフェンスを評価しました。

そのうえで「チームは一夜にして築けるものではない。本当にタフな試合をくぐり抜けてきた。日本の選手のメンタリティーは変わったと思う」と話し、厳しい練習を積み重ねて日本のラグビーの新たな歴史を作った選手たちをたたえました。

日本 リーチ主将「こういう試合が必要だった」

日本代表のキャプテン、リーチ マイケル選手は、試合後の記者会見で「ベスト8は日本のラグビーにとってすばらしい事だ。台風で多くの犠牲や被害が出た状況だからこそ、日本にとってこういう試合が必要だと思った」と話しました。

そのうえで4連勝でベスト8進出を決めた要因については、「いちばんは信じること。レベルの高いコーチ陣の指導を信頼したし、自分たちは入念に準備をして遂行することができるのが強みだと思う」と分析し、準々決勝に向けては「また勝つ気で準備していく」と意気込みを話しました。

日本 福岡「積み上げてきたもの出し切った」

スコットランド戦が今大会初先発となった福岡選手は、2つのトライを奪うなどして最優秀選手に選ばれました。

この試合では持ち味のスピードだけでなくジョセフヘッドコーチのもと磨いてきた技術が随所に光りました。

その1つが、最初のトライの場面です。福岡選手は、タッチライン際で抜け出したあと、相手のタックルを受けて体勢を崩しながらも味方につなげる「オフロードパス」を成功させて松島幸太朗選手のトライにつなげました。
もう1つは、みずから決めた2つ目のトライです。密集でボールを持っている相手に絡んでボールをもぎ取ったもので、そこから独走につないで決めました。

この2つのプレーについて福岡選手は「コーチ陣からはスピードだけじゃないということをたくさん教わってきました。宮崎合宿でも練習を積み重ね、きつかったですけどそれができるようになったからこそ、大事なところでボールをもらえる信頼を得ることができている。きょうは積み上げてきたものを本当に出し切ったと思うし、歴史を変えられた」と充実した表情で話していました。

そのうえで「前回大会で世界を相手にも戦える、勝てるという文化がチームに根付いたことで今大会は自信をもって臨めている。自分はこのときのためにラグビーを続けてきた。このあとの試合も後悔がないよう、やりきったと思えるプレーをしたい」と話しました。

日本 稲垣「いちばんいいトライできた」

この試合でトライを決めたプロップの稲垣啓太選手は「ベスト8を目標に、ここまでいろいろなことを犠牲にしてきて本当によかった。代表に入って初めてトライを決めたが、いちばんよい舞台でいちばんいいトライができた」と話しました。

そして決勝トーナメントに向けては「もっといい景色が見られるよう、チーム一丸となって頑張りたい。台風で被災された方にもラグビーで元気を取り戻してほしいと思う」と意気込みを話しました。

歴史作った「ONE TEAM(=ワンチーム)」

ラグビーワールドカップで初のベスト8入りを果たした日本代表。各ポジションの中心選手がリーダーの役割を果たしてチームを引っ張り、アジア初の開催国の誇りと自信を胸に「ONE TEAM(=ワンチーム)」として結束し、日本ラグビー界に新たな歴史をつくりました。

日本代表の選手たちは、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチのもと、1つに結束する「ONE TEAM」をテーマに掲げ、初の決勝トーナメントに進むための模索を続けてきました。

キックを積極的に使う新たな戦術の導入やフィジカルやフィットネスの徹底的な強化。さらに重要な要素として、選手たちみずからが試合の状況を的確に判断し、臨機応変に戦術を変える自主性や、日本代表としての心構えなどさまざまなことに取り組んできました。
その中で、特徴的だったのは、キャプテンのリーチ マイケル選手を中心にプロップの稲垣啓太選手や、フランカーのピーター・ラブスカフニ選手、ナンバー8の姫野和樹選手、スクラムハーフの流大選手など各ポジションの中心選手で10人のリーダーグループをつくったことです。

リーダーに選ばれた選手たちは、攻撃や守備、密集での攻防などそれぞれの分野でチームを引っ張ることを求められ、キャプテンのリーチ選手が不在のときには、ゲームキャプテンを務めることもありました。

また、日本代表にはニュージーランドをはじめ、南アフリカやサモアなど多くの国の出身選手がいることもあり、日本を代表する集団をどうつくるかリーダーたちが頻繁にミーティングを重ね、日本の文化の理解を深めたりファンとの交流を進めたりする取り組みも行ってきました。
こうした中で「ONE TEAM」ができあがっていきました。
今大会では、1次リーグ第2戦のアイルランド戦で、リーチ選手が控えに回った際にも、ゲームキャプテンを務めたラブスカフニ選手や姫野選手などが攻守に活躍して接戦に持ち込み、リーチ選手が途中出場してからの歴史的な逆転勝利につなげました。

リーチ選手は「このチームは、すばらしいリーダーがたくさんそろっている。誰がキャプテンをやってもうまくいくチームになってきている」と手応えを話しました。

13日のスコットランド戦も、ジョセフヘッドコーチのもと磨いてきたキックやオフロードパスといったリスクを恐れない攻撃や、ダブルタックルなどでチーム一体となった攻撃と守備を見せて勝利をおさめました。
キャプテンのリーチ選手を中心に、多くのリーダーが育った「ONE TEAM」は、悲願だった初の決勝トーナメント進出を決めました。
4年間繰り返してきた過酷な練習、そして、ワールドカップの試合に出られなかった選手たちの悔しさなど、かけがえのない多くのものを積み上げてきた日本代表の選手たち。
アジア初の開催国の誇りと、勝利への確かな自信を胸にラグビー界に新たな歴史をつくりました。

大会前、リーチ選手が「日本が強いことを世界に示したい。ベスト8に行くが、それで終わりではなく、さらに勝っていくのが目標だ」と話していたとおり、さらなる高みを目指して今月20日に、優勝候補の一角、南アフリカと対戦します。

スコットランドHC「日本はチームとして団結」

敗れたスコットランドのグレガー・タウンセンドヘッドコーチは「準々決勝進出という非常に高い意志を持って試合に臨んだが、敗れてしまい非常に残念だ。立ち上がりはよくできたがこちらのミスで日本にボール与え、それで日本はポイントを重ねてきた。質の高いチームというのはそうしたチャンスで得点を積み上げるものだ」と試合を振り返りました。

そのうえで4戦全勝で準々決勝に進んだ日本については「非常にチームとして団結している。ボール回しが速く、セットプレーもうまい。すばらしいボール運びをする選手がフォワードにいる。サイドを使った攻撃や、ディフェンスもすばらしい。そして、日本の選手は自信を持っている。次の南アフリカとの試合は接戦になるだろう。日本は本当に相手チームに問題を起こさせるチームだ」と話し、日本の躍進をたたえました。

レイドロウ選手「日本はスクラムの質が高かった」

敗れたスコットランドのゲームキャプテンを務めたスクラムハーフのグレイグ・レイドロウ選手は、「日本は4年前の大会と比べて非常に進歩したチームになっていることをわかっていたし、きょうの試合でも日本がよりよいプレーをしたことを認めなければならない。先制のトライを決めることができたが、そこから相手に勢いを与えてしまい、前半に点差を広げられたことでわれわれは苦しんだ」と淡々とした表情で試合を振り返りました。

レイドロウ選手は前回大会の日本戦で、ずから20得点を奪って大勝した経験がありますが、この試合では「われわれは、スクラムでフラストレーションを感じた。日本のスクラムの質が非常に高かった」と述べたうえで、「日本が28点もの得点をしたことを、われわれは真剣に受け止めなければならない」と話し、日本の実力の高さを認めていました。

スコットランドの中心選手でフルバックのスチュアート・ホッグ選手は「日本のプレーは、風のような速さで守備がすごかった。本当に打ち負かすのが大変だった。そして日本のサポーターが背後にいて、信じられないような雰囲気だった」と日本のプレーと観客の応援をたたえました。

そのうえでこの大会を振り返り「スコットランドを代表してすばらしい日本でプレーができて、本当に楽しくて貴重な経験だった。日本ではどこにいても歓迎してくれて、すばらしい大会だった。私たちは日本代表が準々決勝も勝つよう、応援する」と話していました。