北陸新幹線 車両浸水 全体の3分の1 専門家「最悪 廃車か」

北陸新幹線 車両浸水 全体の3分の1 専門家「最悪 廃車か」
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台風19号の影響で長野市内を流れる千曲川が氾濫したため、JR東日本の「長野新幹線車両センター」が浸水し、留め置いていた北陸新幹線の120両も水につかりました。被害は全車両の3分の1にのぼります。専門家は「最悪、廃車になるかもしれない」と話しています。

北陸新幹線 全車両の3分の1が被害に

JR東日本によりますと、長野市内を流れる千曲川が氾濫した影響で、長野市赤沼にある「長野新幹線車両センター」が浸水し、留め置いていた北陸新幹線の10編成、あわせて120車両が水につかりました。

北陸新幹線はJR東日本が所有するE7系とJR西日本が所有するW7系の合わせて30編成ありますが、今回の浸水でE7系の8編成とW7系の2編成が被害を受けていて、北陸新幹線の全車両の3分の1が被害にあったことになります。

このためJR東日本は東京駅と富山駅の間で、13日は終日、運転を見合わせるとしていましたが、安全が確認されたとして、13日夜、東京駅と長野駅の間で、臨時列車を走らせるほか、14日以降は列車の運行本数を減らした上で、この区間で折り返し運転を行うということです。

ただ、長野駅と富山駅の間については運転再開のめどはたっておらず、会社はホームページなどで最新の情報を確認するよう呼びかけています。

ハザードマップでは「10メートル以上浸水するおそれ」

「長野新幹線車両センター」はJR長野駅から北東に10キロ余りの場所にあり、今回氾濫した千曲川が東に流れています。

長野県のハザードマップでは、付近の川が氾濫した際には、10メートル以上浸水するおそれがあるとされていました。

JR東日本は「被害の実態把握を進めるとともに、被害を受けていない車両を使って出来るだけ利用者に迷惑がかからない形で運行をしていきたい」と話しています。

全日空・日本航空が臨時便

北陸新幹線の3分の1の車両が浸水の被害を受け、運転再開のめどがたっていないことを受け、全日空は、13日夜、富山と羽田を結ぶ臨時便の運航を決めました。

午後8時10分に富山発羽田行きの1便です。さらに14日以降も臨時便を検討しているということです。

また、日本航空は13日▽午後7時55分の羽田発小松行きの便と、▽14午前7時45分の小松発羽田行きの便についてはそれぞれ、客席数が多い飛行機に変更します。

各社ではホームページなどで最新の情報を確認するよう呼びかけています。

専門家「最悪、廃車になるかもしれない」

多くの北陸新幹線の車両が浸水被害を受けたことについて、鉄道のシステムに詳しい工学院大学の高木亮教授は「新幹線がここまで大規模に水没した事例は今回が初めてではないか」と述べました。

そのうえで「車両が汚れた水につかってしまうと乾いたとしてもそのまま運転すると火が出る可能性があり、完全にきれいにする必要がある。しかし、電子機器などを隅々まで完全にきれいにするのは現実的には難しく、映像を見たかぎりでは、少なくとも床下にある機器類はすべて交換する必要があるのではないか」と指摘しています。

さらに「床上にある空調の配線なども痛んでいた場合は最悪、廃車という事になるかもしれない。ただ、新幹線の車両120両をこれからすぐに製造するというのは難しく、仮に廃車となった場合の影響は利用者にとっても会社にとっても甚大だ」と話しています。

1編成12両の製造におよそ32億円超

JR西日本の平成27年3月期の有価証券報告書によりますと、北陸新幹線120両を製造する費用として、328億1100万円が記載されています。これを単純計算し、1編成あたりの費用を試算してみると、1編成12両を製造するのにおよそ32億8000万円かかることになります。

北陸新幹線 車両の特徴は

北陸新幹線は4年前の平成27年に東京と金沢間が開通し、途中、埼玉県、群馬県、長野県、新潟県、それに富山県を通過します。

車両はJR東日本が所有するE7系とJR西日本が所有するW7系がありますが、1編成は12両で基本的な構造や性能は同じです。

営業最高速度は260キロ、車両のコンセプトは「和」で、白色をベースとした車体に青色や銅色のラインが入っています。

特徴の1つが「グランクラス」と呼ばれるグリーン車よりも上級の車両をすべての編成の12号車に設けていることです。

「グランクラス」は席が1両で18席しかない上、座席は本革製で、グリーン車よりもさらに5センチほど広くなっているということです。

また、北陸新幹線は雪が多い場所を走るため、長野から金沢までの区間は44%がトンネルになっているほか、トンネルとトンネルの間の短い区間でも雪の影響を受けないように、「スノーシェルター」と呼ばれる覆いをかけています。