関西電力 八木会長辞任 岩根社長 第三者委員会調査後に辞任へ

関西電力 八木会長辞任 岩根社長 第三者委員会調査後に辞任へ
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関西電力は経営幹部らが3億円を超える金品を受け取っていた問題で、八木誠会長は社会の信頼を失墜させた経営責任をとって9日付けで辞任しました。また、岩根茂樹社長は第三者委員会の結論が出たあと、辞任することを明らかにしました。
関西電力の八木会長と岩根社長は、経営幹部らが原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から合わせて3億円を超える金品を受け取っていた問題で9日午後、記者会見を開きました。

冒頭で八木会長は「今回の事態によって広く社会の信頼を失墜させ、多大な迷惑をかけた。経営責任を明確にするため辞任という結論に至った」と述べ、9日付けで辞任することを明らかにしました。

また岩根社長は第三者委員会の調査の結論が出たあと辞任することを明らかにしました。

調査の結論が出るまで社長を続ける理由について岩根社長は「会社を代表して社会の批判や叱責を受けつつ、今回の問題を徹底的にあぶりだすため、第三者委員会の調査に真摯(しんし)に対応することが経営トップとして私に課せられた最後の責務と考えた」と説明しました。

これに合わせて八木会長は関西経済連合会の副会長を、岩根社長は電力会社でつくる電気事業連合会の会長をそれぞれ辞任することも発表しました。

このほか森中郁雄副社長など金品を受け取っていた4人の役員が辞任を申し入れ、いずれも9日付けで役職を外れ、総務室付きとなりました。

またさらなる調査を行うための第三者委員会について、元検事総長の但木敬一弁護士など4人をメンバーにすることも発表されました。第三者委員会は9日付けで発足し、調査結果についてはことし12月下旬に報告を受け、内容については直ちに公表するとしています。

会長「経営責任を明確にするほうがいいと判断」

八木会長はこれまで否定していた辞任を一転して決めた理由について、「先日の会見の際には今回の問題の責任は経営トップにあり、原因を究明する前に職を投げ出すのは事態を投げ出すものと考えていた。しかし根本原因を徹底的にあぶり出して信頼を回復するためにも社会の声を真摯に受け止め、経営責任を明確にするほうがいいと判断した。また第三者委員会の道筋がある程度たったため、会見をすることにした」と述べました。

そして今回の問題の背景について、「対応する者は金品をもらってはいけないとよくわかっていたうえで、原子力事業に大きな影響があるので受け取らざるをえないという思いでやってきた。個人の判断にゆだねてしまって、会社としてきぜんとして対応するという判断ができなかったことが、大きな問題だったと思っている。そうした判断について第三者委員会でしっかりと検証していただきたいと思う」と述べました。
また八木会長は関西経済連合会の副会長を辞任する理由について、「今回の事態でお客様や社会の皆様に対して会社の信頼を失墜させ多大なご迷惑をおかけしたことと、関西電力として関西財界での活動は逆に迷惑をかけると判断して辞任の申し出をした」と述べました。

社長「会長は退職金全額辞退」

岩根社長は記者会見で八木会長の退職金について「残りの在籍期間に応じて支払う規定があるが、今回、八木会長は全額辞退している」と述べて、退職金を受け取らないことを明らかにしました。

一方、自身の退職金については「私が役員になった時にはすでに退職金の規定が終了していて私の退職金の額は算定されない」と述べました。

また電気事業連合会の会長を辞任する理由について、「関西電力のみならず電気事業全体の信頼を失墜させ、他の電力事業者の原子力事業への不信感も出ている。他電力には申し訳ない」と述べました。

そして岩根社長は国会で参考人招致を求められた場合の対応を問われ、「国会の要請に応じて真摯に対応したい」と述べました。

さらに福井県に使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」の候補地を2020年を念頭にできるだけ早く示すとしていることについて経営トップらの辞任も含め今回の問題が影響するか質問されたのに対し、「福井県との約束はいまも生きていると思っている。どのくらい影響が出るかは申し上げられないが、会社を挙げて全力で約束を守るべくがんばっていく」と述べました。

金品を受け取っていた副社長らに代わって新たに就任することになった役員について、「森山氏からの金品の受け取りはないことを確認している」と述べました。

岩根茂樹社長の経歴

関西電力の岩根茂樹社長は66歳。1976年に入社し、総務室や購買室など主に管理系のポストを歴任します。

その後、原発の安全対策を担当する室長や核燃料サイクルの担当役員として原子力事業に携わった経験があります。

2016年6月からは社長を務めています。関西電力では、福島の原発事故のあと原発の稼働が停止し、最終赤字が続いていました。岩根社長は就任からおよそ1年後の2017年に高浜原発3号機と4号機を再稼働させ、業績の改善につなげました。

ことし6月からは、全国の電力会社10社が加盟する電気事業連合会の会長を務めています。

関西電力が去年行った社内調査では、金貨を150万円分受け取ったことが判明しています。

第三者委 委員長「お断りするわけにいかない」

第三者委員会の委員長を務める元検事総長の但木敬一弁護士は、9日夜、記者会見で委員長を引き受けた理由について、「先日の千葉の台風による被害をみても電力がいかに人々の暮らしに役に立っているか、それがないと暮らせないという現実を考えると、私自身が多忙であるという理由だけでお断りするわけにはいかないだろうなと思い、前向きに考えることにした」と述べました。

但木弁護士は「調査チームは15人ほどの弁護士で結成する。重要なヒアリングには私たちも入って関係者から事情を聴くことになろうかと思う。審議は4人でやるが、4人の意見が一致するまでとことん議論するつもりだ」と述べました。

そのうえで調査結果を出す時期について、「12月下旬までに意見をまとめることを目指すが、中途半端な段階で調査を打ち切ることはできない。調査事項についてきちんと調査ができ、結論を出してから終えるつもりでいる」と述べ、関西電力が期限として設定した12月下旬までに調査結果を出すことは必ずしも約束できないという考えを示しました。

また関西電力の経営体質や情報の出し方について問われ、「全く固定観念を持たないで調べたいと思っている。調査をして原因が分かったうえで評価はしたいが、公正な目できちんと見るとしか、今の段階ではお答えできない。中立・公正な立場から評価し、会社にとってもユーザーにとっても受けてもらえるよう努力する」と述べました。

そして調査の内容について、「関西電力に必要であるのであれば、歴史的にさかのぼらなければならないこともあるだろうし、幅も広げざるをえないかもしれないが、一方で限度もある」と述べました。

さらに関西電力の去年の社内調査では聞き取りをしなかった元助役が顧問を務めていた建設会社など、関西電力の外部の関係先についても調査対象に含めるかを問われ、「必要な限りにおいて調査する。誰を調査するとは言わないが、必要な人には話を聞いたうえで、結論を出すことをお約束する」と述べました。

第三者委のメンバーは

関西電力は、第三者委員会のメンバーについて委員長に元検事総長の但木敬一弁護士、2人の委員に第一東京弁護士会の元会長の奈良道博弁護士と、東京地方裁判所の元所長、貝阿彌誠弁護士、それに特別顧問に日本弁護士連合会の元会長、久保井一匡弁護士を選んだことを明らかにしました。

第三者委員会は9日付けで発足し、調査結果についてはことし12月下旬に報告を受け、内容については直ちに公表するとしています。

関西電力の岩根社長は第三者委員会の人選について、「中立性、独立性を確保するため、法曹界の著名人の方を選ばせていただいた。今回の問題については、検事出身の方がよいと思い、実績や経歴から但木弁護士が委員長として、最もふさわしいと考えた。そのほかの委員は但木弁護士の選定で、元裁判官、弁護士が就任することになった。関西電力との利害関係がなく、独立した立場の社外の弁護士で、豊富な実務経験に基づき、客観的な調査、検証を徹底して実施していただけると考えている」と述べました。

そして第三者委員会が調査する対象の期間について「前回の調査報告でも事案が歴史的に古くから起こっていて前例踏襲主義ということが原因であるということだったので、歴史をさかのぼってこの根本原因を第三者委員会にしっかりと調査、原因究明していただきたいと考えている」と述べたうえで、「八木と私が辞めることで企業風土が変わるのであれば辞めればいいが、もう少し底深いもの、歴史的なものがあると思っているので、その全貌を徹底的に暴き出すことを行わないと、関西電力が信頼してもらえるように生まれ変われない。過去のしがらみや、うみ、関西電力の組織風土なりを全部出すことしか信頼してもらえる道はなく、これをやることが私の最後の責務だ」と述べました。

さらに森山元助役が顧問を務めていた吉田開発への発注が適切だったとする認識に変わりがないか問われたのに対し、「社内調査の報告書では吉田開発への発注プロセスや発注価格は適正なものと評価されているが、もう一度、第三者委員会で評価されると思っている」と述べました。

第三者委の調査内容

第三者委員会では福井県高浜町の元助役と金品を受け取った幹部らとの関係を詳しく調査したり、ほかに似たような事案がないか原発以外の火力発電所や水力発電所などの部門にも対象を広げて調べることにしています。

さらに関西電力が工事の概要を事前に元助役側に伝えたことと工事の発注額との間につながりはなかったのか、問題を把握してからの会社の意思決定の仕組みや企業統治の在り方のどこに問題があったのかも詳しく検証することにしています。

この問題をめぐっては去年、人事やコンプライアンス担当の役員3人と外部の弁護士3人の合わせて6人で作る委員会が社内調査を実施しています。

しかし調査対象は主に原子力部門に関係する幹部や社員26人で、期間も2018年までの7年間に限られており、不十分だとの批判が出ていました。

4人の役員 役職外れる

関西電力は一連の問題を受けて森中郁雄副社長など金品を受け取っていた4人の役員が辞任を申し入れ、いずれも9日付けで役職を外れ総務室付きとなりました。

このうち4000万円を超える金品を受け取っていた森中郁雄副社長は取締役と副社長の役職から外れました。

このほか690万円相当を受け取っていた右城望常務、1億円を超える金品を受け取っていた鈴木聡常務、720万円相当を受け取っていた大塚茂樹常務もそれぞれ役職から外れました。

菅官房長官「中途半端なものは許されない」

菅官房長官は午後の記者会見で、「八木会長は事案の重大性に鑑み、経営に責任を持つ者として、みずから辞任を判断したと聞いている。関西電力は完全に独立した専門家からなる第三者委員会のもとで徹底的に全容を解明することが不可欠であり、そのうえで経営問題も含め再発防止などの措置を講じることで利用者の信頼回復に努めることが必要だ」と述べました。

また岩根社長については「社長も一連の経緯を把握する者として第三者委員会の調査に真摯に対応したのちに辞任することが決まったと承知している。まずは調査にしっかりと協力すべきだ」と述べました。

そのうえで調査結果の報告時期について菅官房長官は「過去にさかのぼって相当数の対象者へのヒアリングの実施なども必要になることが想定され、中途半端なものは許されない。第三者委員会はこうしたことを前提に徹底的に調査し、可能なかぎり速やかに実施する必要がある」と指摘しました。

菅原経産相「重い責任取った

八木会長と岩根社長が辞任することを明らかにしたことについて、菅原経済産業大臣は記者団に対して「みずから重い責任をとって辞任に至ったものと受け止めている」と述べました。

また元検事総長をはじめとする第三者委員会の4人のメンバーについては「法的な面でもエキスパートの集まりで、外部の第三者機関として独立性を持っている。どこまでさかのぼってどう調べるかを含めて委ね、結果の報告を待ちたい」と述べました。

福井県知事「けじめをつける人事」

福井県の杉本知事は「今回の問題について1つのけじめをつける人事だと思っている。第三者委員会で原因究明をしたうえで再発防止策を立て、企業統治が形だけでなく実際に動くようにしてほしい」と述べました。

また、「立地地域では実際に原発が稼働しており、現場の士気が下がるとトラブルが起きてしまうこともある。経営陣も士気が下がらないよう細心の注意を払い、現場は作業に集中してもらいたい」と求めました。

関西電力が使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設地を来年をめどに提示するとしてきた問題については「今回の問題で国民の目は厳しくなり、搬出が難しくなっている印象を受けるが、関西電力挙げて体制を作り約束を守ってほしい」と述べました。

福井 高浜町長「辞任やむをえない」

八木誠会長が辞任する事態になったことを受けて、福井県高浜町の野瀬豊町長は「今回の問題は社会的な影響が大きく、関西電力の信頼や信用という観点からいうと辞任という判断はやむをえない」と述べました。

一方、岩根茂樹社長が第三者委員会の調査が終了するまで留任することについては「辞任するという一定の覚悟は決めていて今後の新体制に向けた最後の処理をするということなので、その部分についても一定の評価をしたい」と述べました。

全原協会長「憤りを感じる」

関西電力の経営幹部らによる金品受領問題の責任を取って八木会長や岩根社長が辞任する事態になったことについて、全原協=全国原子力発電所所在市町村協議会の会長を務める福井県敦賀市の渕上隆信市長は9日開いた定例の記者会見で「原子力事業に対して国民に不安を抱かせるもので憤りを感じている」と話しました。

そのうえで、「立地地域の信頼を損なう問題で関西電力には今回の問題の責任を痛感してもらい、しっかりと調査を行ってもらいたい」と話しました。